火災保険の基礎知識

火災保険でできること、できないこと

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住宅を購入したら皆さん入る火災保険ですが、どのような補償内容かよく知らないまま加入しているという方もいるのではないでしょうか?せっかく加入している火災保険なのだから、どのようなときに利用できてどのようなときには利用できないのか理解しておきましょう。

火災保険はどんな保険?

火災保険は損害保険の一種で、保険の対象となっている建物や家財が火災や自然災害などによって受けた損害を補償する保険です。損害保険なので受けた損害の穴埋めが基本であり、複数の火災保険に加入していても損害額の2倍、3倍と保険金を受け取ることはできません。

もし、家で火災を起こしてしまい、建物や家財の多くが焼けてしまったという場合、家の修復や家財を買いなおすのに多くの費用がかかってしまうでしょう。そうしたときに火災保険に加入していれば、損害額の分の保険金が支払われるので経済的に困窮することなく、住宅や家財の修復・再購入が可能になります。

保険の対象は建物と家財

火災保険の対象となるのは「建物」と「家財」です。建物は建物本体だけでなく、その建物と同じ敷地内にある門や塀、物置や車庫などの建物付属物も補償の対象に含まれます。ただし、申込書等で門・塀・垣、物置・車庫等を除く旨を記載していない場合に限ります。また、門や塀など以外にもエアコンや浴槽、調理台などの建物に取り付けてあるものや建物に固定してあるテレビアンテナも建物の対象となります。

一方で、家財の対象となるのは建物の中に収容されている電化製品、家具、衣類、食器などの生活に欠かせない「動かすことができるもの」です。引っ越しのときに持ち運んでくるものをイメージするとよいと思います。なお、1個(1組)の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨董等の「明記物件」は契約時に申告して保険証券へ明記していなければ保険の対象となりません。申告をしていなかった場合の扱いは保険会社によって異なります。

火災保険の補償内容は?

初めの「火災保険はどんな保険?」の中で少し触れましたが、火災保険は火災だけでなく自然災害などの被害も補償対象となります。「火災」保険だから火災のときにしか使えないと思っているともったいないです。具体的にどのような補償内容なのか紹介します。

損害の種類内容
火災、破裂・爆発落雷失火・延焼・ボヤなどの火災、ガス漏れなどによる破損・爆発の損害、落雷による損害を補償。
風災・雹災・雪災台風等の強風による損害、雹(ひょう)や霰(あられ)による損害、豪雪の際の雪の重み、雪の落下などによる事故または雪崩により生じた損害を補償。
水災台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどにより生じた損害を補償。
水濡れ給排水設備の故障や他人の戸室で生じた事故による水濡れ損害(水漏れ)を補償。
物体の落下・飛来・衝突車の飛び込みや飛び石など建物外部から物体が落下・飛来・衝突したことにより生じた損害を補償。
盗難家財の盗難や盗難に伴う鍵や窓ガラス等の建物の損害を補償。
騒擾・集団行動等に伴う暴力行為集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償。
破損・汚損など子どもが室内でボールを投げ、窓ガラスが破損してしまった等、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって生じた建物や家財の損害を補償。

かつての火災保険では補償内容があらかじめ決められた2、3個のパッケージの中から1つを選ぶような形式が多かったのですが、最近では自分で補償内容を取捨選択できるような商品も増えています。立地環境などにより明らかに不要な補償があればそれを外すことによって保険料を抑えることが可能です。

なお、当たり前のことですが、契約していない補償内容では補償を受けることができません。例えば、水災補償を外していて台風による洪水で床上浸水の被害を受けても補償対象外となります。保険料を安くすることだけにとらわれず、ハザードマップなどを確認して必要な補償はしっかりと含めるようにしましょう。

費用保険金で諸費用をカバー

火災や自然災害で損害が発生した場合、保険の対象である建物や家財そのものの損害以外に焼け残った建物や家財を片付けるための費用や使用した消火薬剤などの再取得に係る費用、自宅に住めない間にホテル等に宿泊する費用などさまざまな費用がかかります。こうした諸費用についても火災保険の費用保険金である程度カバーすることができます。

費用保険金にはさまざまな種類があり、自動的についてくるものとオプションとして契約するものがあります。同じような内容の費用保険金でも保険会社によって自動付帯の場合も任意付帯の場合もあります。メインとなる補償以外にも費用保険金にも目を向けるとよいでしょう。

費用保険金には以下のようなものがあります。

費用保険金内容
臨時費用保険金損害保険金が支払われるときに、損害保険金とは別に支払われる。臨時の出費に充てるものだが特に使い道は指定されていない。
1事故あたり損害保険金の10%~30%(限度額100万~300万円)であることが多い。
残存物取片付け費用保険金損害を受けた建物や家財の焼け残りや瓦礫などの残存物を片付けるための費用(建物の取り壊し費用、清掃費用、搬出費用など)の実費(損害保険金の10%が限度)が保険金として支払われる。
地震火災費用保険金地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災で建物が半焼以上、または保険の対象の家財が全焼した場合に保険金額の5%(300万円が限度)が支払われる。
失火見舞費用保険金保険の対象の建物・家財からの失火で近隣の家屋など第三者の所有物に損害が生じた場合に、支出した見舞金等の費用の額が支払われる。
1世帯あたり30万円、1事故につき損害保険金の30%までのように限度額が設けられている。
損害防止費用保険金火災、落雷、破裂・爆発が発生したときに、損害の発生や拡大の防止のために支出した実費が支払われる。
水道管凍結修理費用保険金建物の専用水道管が凍結によって損壊を受け、これを修理するときの費用が実費で支払われる。1事故あたり10万円など限度額が設けられている。
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火災保険を利用できない主な事例

火災保険は火災だけでなく自然災害や日常生活のトラブルなどさまざまな場合に利用することができますが、建物や家財の損害すべてに利用できるというわけではありません。火災保険を利用できない主な事例を紹介します。

経年劣化のとき

損害が経年劣化によって発生したものの場合は補償の対象外です。火災保険は不測かつ突発的に起こった損害の補償を行うものなので、経年劣化による損害では補償を受けることはできません。日ごろから適切にメンテナンスを行っていくことが大切になります。

故意、重大な過失、法令違反の場合

契約者や被保険者、またはその同居親族等の故意もしくは重大な過失または法令違反によって損害が生じた場合は免責事由にあたるので保険金が支払われません。例えば、保険金目当てで自宅に放火したというような場合は保険金が支払われません。

少しわかりにくいのが重大な過失です。重大な過失というのは、少しでも注意を払っていれば防げるのにもかかわらず漫然とそれを見過ごした場合です。ほとんど故意に近いような著しい注意欠如の状態のことをいいます。重大な過失にあたるか否かは個々のケースに即して判断されます。過去に重大な過失と判断されたケースとしては、てんぷら油の入った鍋を火にかけたままその場を離れて放置して火事に至ったというケースや危険性を認知しながら寝たばこを繰り返していて火災に至ったというようなケースがあります。

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地震、噴火またはこれらによる津波

地震、噴火またはこれらによる津波による損害は火災保険では補償対象外です。地震等による損害で補償を受けるには火災保険とセットで契約する地震保険が必要です。

地震保険の対象となるのは地震、噴火またはこれらによる津波が原因で起きた火災・損壊・埋没・流出などの損害です。保険金額(支払われる保険金の上限)は火災保険の保険金額の30~50%の間で設定することになっています。実際の補償では、発生した損害の程度によって「全壊」「大半損」「小半損」「一部損」に分類され、その分類ごとに決められた割合の保険金が支払われます。

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免責金額以下の損害

免責金額の設定がある場合、発生した損害が免責金額以下の場合は保険金を受け取ることができません。免責金額は簡単に言えば自己負担額です。設定した免責金額分は保険金を受け取れず、自己負担する必要があります。

免責金額にはフランチャイズ方式と免責方式の2つの方式があります。フランチャイズ方式の場合、基本的に20万円で設定されていますが、設定金額未満の損害では保険金が支払われず、設定金額以上の損害の場合は全額保険金が支払われます。20万円フランチャイズ方式だと、19万円の損害では全額自己負担する必要があり、21万円の損害の場合は保険金として21万円が支払われます。もう一方の免責方式では、損害額がいくらであっても免責金額を引いた額が保険金として支払われます。免責方式で免責金額が3万円の場合、10万円の損害では7万円の保険金、20万円の損害では17万円の保険金が支払われます。

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すり傷等の外観上の損傷

室内で飼っているペットが床をひっかいて傷つけてしまったという場合や何か重たい家具を動かすときに床にすり傷がついてしまったという場合は基本的に火災保険の補償の対象外となります。単に外観上だけの問題でそのものが持つ機能に支障をきたしていないという場合は補償を受けられません。

隙間からの雨等の吹き込み

窓や戸などの隙間から風や雨、砂塵等が建物内部に吹き込んだことによる損害は補償の対象外となります。ただし、強風で屋根瓦等が飛んできて建物に当たって破損し、そこから雨が吹き込んで損害が発生したというような場合には風災補償の対象となります。

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火災保険でリフォームできる?

ここ数年、「火災保険を利用してリフォームしませんか?」などと営業を行う業者が増えています。保険金を利用して自己負担なく、あるいは少ない自己負担でリフォームができるのであればうれしいところですが、「設備が老朽化したからリフォームしたい」というような要望はかなえられません。

火災保険は火災や自然災害などで受けた損害を穴埋めするものです。したがって、そうした被害を受けていないのに保険金を申請しても保険金は支払われません。自然災害の被害を受けたのを機に、保険金を費用の一部に充てて以前よりも使いやすくリフォームするということは可能ですが、「火災保険を利用できない主な事例」で説明した通り、経年劣化したものを火災保険でリフォームするということはできません。

ここ数年、火災保険を利用した悪徳な業者の被害が増えていて、国民生活センター日本損害保険協会も注意を呼び掛けています。火災保険でできること、できないことを理解して自衛するとともに、営業を受けてもその場で契約してしまうのではなく、一度冷静になって考えてみましょう。リフォーム会社はあなたが契約している火災保険の契約内容を知りませんし、保険金の支払対象となるのか判断するのは保険会社側です。少しでも不審に感じたら契約している保険会社や代理店に相談するようにしましょう。

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まとめ

火災保険は契約の対象である建物や家財が火災や自然災害などの被害を受けた場合に、その損害を補償する保険です。火災だけでなく、強風による被害や豪雨による洪水や土砂崩れの被害など自然災害による被害も補償を受けることができます。一方で、建物や家財の損害のすべてが補償対象となるわけではなく、経年劣化の場合や機能に問題がない外観上だけの損傷の場合は火災保険を利用することはできません。どのような場合に火災保険を使えるのかしっかりと理解して、利用できるときに利用しなかった、利用できない事例で悪徳業者の口車に乗ったということがないようにしましょう。

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