火災保険の基礎知識

火災保険の不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)とは?対象・対象外事例を紹介!

投稿日:2019年3月8日 更新日:

火災保険の補償範囲の中には不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)が含まれています。しかし、火災や風災、水災などに対する補償とは違い、この名称から具体的にどのような場合に補償を受けられるのかわかりづらいです。どんな場合に補償を受けられるのか紹介します。

火災保険の対象となる事故区分

火災保険が補償される事故は主に以下8つの区分に分けられています。これら事故区分のうち今回は‟⑧不測かつ突発的な事故(破損・汚損)”について解説します。

  1. 火災、落雷、破裂、爆発
  2. 風災、雹災、雪災
  3. 水災
  4. 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など
  5. 漏水などによる水漏れ
  6. 騒擾・集団行動等に伴う暴力行為
  7. 盗難による盗取・損傷・汚損
  8. 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)

不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)とは

不測かつ突発的な事故(破損・汚損)とは、主に以下3点を満たす事象をいいます。

  • 火災や落雷等など上記①~⑦の火災保険の対象になる事故ではないこと
  • 必然的に発生する事故ではないこと
  • 特定の時点において発生したことが明確で、反復的・継続的に発生していない事故であること

1事故ずつ個別に判断していくこととなりますが、大まかな定義は上記のようになります。
ポイントは、「不測」かつ「突発的」であることです。例えば、長時間の時間経過とともに徐々に損害が発生した場合は、長い時間をかけて発生したことから、突発的とはいえずその結果の損害を十分に予測できたことから補償の対象外となります。

なお、上記を満たす事象であっても保険会社によっては、電気の作用に伴って発生したショート、アーク、スパーク、家電流など電気的事故や機械的事故に起因する損害は対象外としている場合もあります。

建物・家財の具体的事例

具体的にはどのようなときに補償を受けることができるのでしょうか。建物と家財に分けて事例を紹介します。

建物

不測かつ突発的な事故による建物の事故例

  • 浴槽で転倒して壁に穴が開いた。
  • 雪下ろしの際にスコップで屋根に穴を開けた。
  • 脚立が倒れて、室外機が破損した。
  • 浴槽にシャワーヘッドを落としてしまい、浴槽が一部割れた。
  • 年末の大掃除の際、荷物の搬出時に荷物が当たり玄関の窓ガラスが割れた。
  • 模様替えの際、誤ってベッドを立てかけた際、誤って倒してしまい、床暖房が破損。
  • 飼い犬に畳を掘られてしまい、穴が空いた。

家財

不測かつ突発的な事故による家財の事故例

  • 子供が兄弟げんかをしていて、ブラインドが破損した。
  • 引っ越しの際に家具同士をぶつけ、収納家具が破損した。
  • 子供が遊んでいて、液晶テレビが破損。
  • 模様替えの際に誤って本棚を落下させ、破損。
  • エアコンと壁の間から漏水し、エアコン下にあった家電製品が水濡れ。
  • 掃除中に誤って電子レンジを落下させ、破損。
  • 子供がおもちゃを投げて遊んでいて、テーブルの角が割れた。

補償を受けられないケース

不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)で補償を受けられないケースについて紹介します。以下の場合は補償を受けられません。

機能に支障がない

ポイント

保険の対象物の機能に支障が生じていない場合は、補償の対象にはなりません。

つまり、反対にいうと、その物の使用・利用が困難であると一般的に判断されるような場合は、補償の対象になります。

例えば、
・椅子を引いた際に、フローリング床のよく見ないと分からない程度のキズがついた。
・ペンを落とした際に床に小さくペン先の跡がついた。
などといったケースは機能的に支障が生じていないことから、補償対象外となります。

経年劣化による損害

ポイント

不測かつ突発的な事故を対象としているため、経年劣化による損傷は補償の対象にはなりません。

自然の消耗、劣化または性質による腐敗、変色、変質、さび、かび、腐食、浸食、キャビテーション、ひび割れ、はがれ、肌落ち、発酵、ネズミくい、虫食いなどは免責とされています。

例えば、排水管からの漏水により、洗面化粧台のキャビネット内部は水濡れにより腐食した場合は、不測かつ突発的な事故といえるのでしょうか。
腐食は排水管からの長時間にわたり滴り落ちたことによって発生したものである為、突発性を欠いていることから不測かつ突発的な事故には該当せず、補償の対象外となります。

スマホやメガネ

ポイント

不測かつ突発的な事故を補償とする場合、スマホやメガネは補償の対象にはなりません。

以下の2点は免責事項とされていることからスマホやメガネは補償の対象外となります。
・コンタクトレンズ、眼鏡、補聴器その他これらに類する物およびサングラスに生じた損害
・移動電話等の携帯式通信機器、ノート型パソコン・タブレット端末等の携帯式電子事務機器およびこれらの付属品について生じた損害

スマートフォンは携帯式通信機器に該当する為、家財とはみなされず補償されません。また、ニンテンドーDS、ニンテンドーSwitch、ソニーPSPなども携帯式通信機器に該当し、補償されません。

故意に破損・汚損させた場合

ポイント

不測かつ突発的な事故のみならず火災保険の補償内容として全体的にいえることですが、故意、つまりわざと壊した場合は補償の対象にはなりません。

火災保険の免責事項として「保険契約者または被保険者の故意、重大な過失または法令違反によって生じた損害」と定められています。

例えば、夫婦喧嘩で妻が火災保険の対象となる家財を故意に投げて破損させた場合は、投げることで壊れることは予測可能であり未然に防ぐ手段があったことからも、故意的に投げて壊した物は補償の対象にはなりません。

自宅の外で壊した場合

ポイント

自宅の外で発生した損害はそもそも‟家財”に該当せず、補償対象にはなりません。

火災保険の免責事項として「保険の対象である家財が保険証券記載の建物外にある間に生じた事故による損害」としていることから、自宅の外で生じた家財の損害は補償の対象外とされています。

では以下に外出先と家の中での事故として例を挙げます。
①外出先で時計を破損させた。
②自宅内で時計を保管ケースにいれててケースごと落下させ時計を破損させた
①は自宅の外の為、対象にはなりませんが、②は自宅内での事故の為対象となります。

なお①の場合は、自宅の外において被保険者が携行している身の回り品の偶然の事故を補償する特約として携行品損害特約があれば補償されます。外出先で所持する所有物に備えておきたい方は検討してみましょう。

免責金額以下の損害

ポイント

損害の額が免責金額以下の場合は保険金を受け取ることができません。

火災保険の補償対象となった時に、設定した免責金額を超えた分だけの保険金が受け取れます。

支払われる保険金額
損害の額(新価)-自己負担額(免責金額)=損害保険金

例えば、免責金額を5万円に設定した場合、損害額が30万円において支払われる保険金は30万円-5万円=25万円となります。したがって、損害額が自己負担額(免責金額)以下である場合は、補償を受けられないことになります。

補償が必要かも考えよう

うっかり傷つけてしまったモノに対して保険を使うことができるのは何だか得したような気持ちになりますが、補償が手厚くなればなるほど保険料も高くなるものです。本当に必要なのか考えて、もし不要であるのならば補償から外せば保険料を安くすることができます。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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