火災保険の基礎知識

火災保険を住宅ローンに組み込む場合のポイントは?

投稿日:2021年7月21日 更新日:

住宅を購入する場合、住宅自体の購入代金のほかにさまざまな費用がかかります。そうした諸費用の中の一つに火災保険があります。火災保険を住宅ローンに組み込む場合のポイントを紹介します。

住宅ローンには火災保険が必須

住宅ローンを組む場合、火災保険の加入を必須としている金融機関がほとんどです。火災保険の加入が必須となっている理由としては、ローン返済中に火災等で住宅を失うなどした際に、ローンの返済が滞らないようにするためです。火災や自然災害で住宅を失ってもローンの返済がなくなるわけではありません。しかし、住宅を失った人は住宅を再建したり賃貸を借りたりして新たに住む場所を確保する必要があり、2重で費用負担することになります。そこで、住宅を失ったり大きな損害を受けたりした場合でも保険金の支払いを受けられるようにして、ローンの返済が滞らないようにしているのです。

なお、住宅ローンを借りる金融機関で紹介された火災保険に必ず入らなければならないということはありません。住宅ローンを融資するにあたってその金融機関が勧める火災保険に加入することを条件とすることは、保険業法で禁止されている「抱き合わせ販売」にあたるため認められていません。紹介された火災保険にそのまま加入するのが手続き上楽ではありますが、他の火災保険についても選択肢に入れておきましょう。

フラット35に必要な火災保険は?

住宅ローンを組む場合にフラット35を利用する方も多くいると思います。フラット35の利用条件の1つに返済終了まで建物に火災保険をつけることというものがあります。ただし、加入する保険会社・共済に制限はなく、保険業法の規制を受ける保険会社の火災保険、あるいは生協法の規制を受ける共済団体の火災共済であれば、どこの火災保険・火災共済を選んでも大丈夫です。

フラット35の利用条件には火災保険について以下のように記載されていますのでご確認ください。

  • 返済終了までの間、借入対象となる住宅については、火災保険(損害保険会社の火災保険または法律の規定による火災共済)に加入していただきます。※1
  • 建物の火災による損害を補償対象としていただきます。
  • 保険金額は、借入額以上※2としていただきます。
    • ※1 保険期間および火災保険料の払込方法は、取扱金融機関により異なります。 また、取扱金融機関によっては火災保険金請求権への質権設定が必要な場合があります。
    • ※2 借入額が損害保険会社の定める評価基準により算出した金額(評価額)を超える場合は評価額とします。

 * 火災保険料は、お客さまの負担となります。
* 火災保険に関する要件は、お申込みの取扱金融機関にご確認ください。

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住宅ローン完済後も火災保険は必要?

住宅ローンを組むときには火災保険の加入を求められますが、民間の保険ですのでローン完済後の火災保険の加入は自由です。ただし、ローンを完済したら火災や自然災害の被害に遭うリスクがなくなるわけではないので、修繕費用や再購入費用を自分の貯蓄から出せるほどの金銭的余裕がないのであれば引き続き火災保険の加入を続けるべきです。最近の火災保険は時価額ではなく再調達価額(同等の建物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額)で保険金額を設定するので、住宅が古くなったから火災保険に加入する意味はないということはありません。

銀行で紹介された火災保険に加入するメリット・デメリット

メリット

団体割引を受けられる

銀行経由で火災保険に加入した場合、団体割引が適用されて保険料が安くなる場合があります。同じ保険会社・同じ補償内容で火災保険に加入するのであれば、個人で申し込むよりも保険料の割引が受けられる銀行経由で申し込む方が得といえるでしょう。

申し込みの手続きがワンストップで済む

銀行経由で火災保険に申し込む場合、住宅ローンの手続きと一緒に行うことも可能です。火災保険加入のために別の場所に赴くという必要はないので、住宅購入といういろいろと忙しいときに面倒を避けることができます。

デメリット

選択肢が少ない

日本国内には多くの保険会社がありますが、住宅ローンを借りた銀行経由で申し込める火災保険は2、3社のみ、あるいは1社のみなどと選択肢が少なくなってしまいます。自分の住宅の状況に合った火災保険を選びにくかったり、団体割引で安くなっているといっても不要な特約が追加されていて結果的には保険料が高くなったりしているということもありえます。

銀行は保険のプロ集団ではない

銀行は保険のプロ集団というわけではありません。もちろん銀行員の中には保険に非常に詳しい人もいますが、全員がそうというわけではありません。あまり詳しくない人が担当にあたり、契約者のニーズにあった補償内容を勧めることができなかったり、逆に不必要な補償を勧めてしまったりすることも考えられます。

質権設定を求められることも

住宅ローンを組む場合、火災保険の保険金を請求する権利に対して質権の設定を求められることがあります。質権設定をした場合、火災や自然災害などで保険金を受け取るのは質権者である金融機関となります。また、質権者の同意なしに火災保険を解約することができなくなります。

金融機関が質権設定を求める理由としては、火災等で家を失ってしまった場合でも住宅ローンの貸付金を回収することができるからです。建物そのものに担保を設定する場合だと、火災で全焼してしまった場合は抵当権を実行して建物を競売にかけることができません。

ただし、最近は事務手続きの削減や利息を得るためなどの理由で質権設定を求められることも減っています。とはいえ、まったくなくなったわけではないので質権設定が求められることもあるということは覚えておきましょう。

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火災保険はいつまでに申し込む?

住宅を購入した場合、火災保険の補償開始日は住宅の引き渡し日とするのが普通です。火災保険の申し込みは補償開始日が引き渡し日に間に合うように行います。保険会社にもよりますが、申し込みから補償開始までには各種書類の提出やその内容の確認などで数日かかることがあります。どこの保険会社で火災保険に加入するか決めたらなるべく早めに、2週間前には申し込みを行うようにすると安心です。

また、火災保険の検討は1か月半~2カ月前には開始するのがよいでしょう。各保険会社から見積もりを取って、それが出そろうのには1~2週間見ておくとよいです。そこから、補償内容の吟味や保険会社の比較をじっくりと行うことを考えると、やはり住宅の引き渡し日の1か月半~2カ月前には準備を開始するのがよいと思われます。

保険会社各社の見積もりを取るうえで、一括見積もりサービスを利用すると便利です。1度の入力で複数社の見積もりが取れるので、1社1社個別に同じような内容のことを入力する手間が省けます。各保険会社の見積もり内容を比較して自分に合った火災保険を探しましょう。

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火災保険の補償内容は?

火災保険は火災のためだけでなく、自然災害などで被害を受けた場合にも補償を受けることができます。せっかく火災保険に加入するのですから、火災保険を使用できる状況で使えることを知らずに使わなかったということがないように、しっかりと補償内容を確認しておきましょう。個別の補償内容の有無は契約によりますが、一般的に用意されている補償内容を紹介します。

損害の種類内容
火災、破裂・爆発落雷失火・延焼・ボヤなどの火災、ガス漏れなどによる破損・爆発の損害、落雷による損害を補償。
風災・雹災・雪災台風等の強風による損害、雹(ひょう)や霰(あられ)による損害、豪雪の際の雪の重み、雪の落下などによる事故または雪崩により生じた損害を補償。
水災台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどにより生じた損害を補償。
水濡れ給排水設備の故障や他人の戸室で生じた事故による水濡れ損害(水漏れ)を補償。
物体の落下・飛来・衝突車の飛び込みや飛び石など建物外部から物体が落下・飛来・衝突したことにより生じた損害を補償。
盗難家財の盗難や盗難に伴う鍵や窓ガラス等の建物の損害を補償。
騒擾・集団行動等に伴う暴力行為集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償。
破損・汚損など子どもが室内でボールを投げ、窓ガラスが破損してしまった等、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって生じた建物や家財の損害を補償。
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地震・噴火・津波には地震保険が必要

火災保険は自然災害による被害を受けたときも補償を受けることができますが、上の表を見ればわかる通り、地震・噴火・津波に関しては補償内容に含まれていません。地震・噴火・津波による被害の補償を受けるには、火災保険に地震保険も付帯して契約する必要があります。

地震保険は国と民間が共同で運営する保険で、どこの保険会社で地震保険に入っても補償内容や保険料は変わりません。国と共同という形をとっているのは、地震による被害は広範囲かつ甚大になることがあり、その場合、民間の保険会社のみで保険金を支払うことが困難であるからです。

地震保険の対象となるのは地震、噴火またはこれらによる津波が原因で起きた火災・損壊・埋没・流出などの損害です。保険金額(支払われる保険金の上限)は火災保険の保険金額の30~50%の間で設定することになっています。実際の補償では、発生した損害の程度によって「全壊」「大半損」「小半損」「一部損」に分類され、その分類ごとに決められた割合の保険金が支払われます。

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火災保険を比較するには一括見積もりを利用しよう!

住宅ローンを借りる銀行などで紹介される火災保険は団体割引で保険料が安くなる場合がある、手続きがワンストップで済むといったメリットもありますが、それ以外の保険会社の火災保険に申し込むこともできます。火災保険を住宅ローンに組み込む場合は長期契約をすることが多いと思いますので、後で見直せばよいという考えではなく最初からしっかりと比較して決めるとよいでしょう。

ただ、火災保険を販売している保険会社も多くあり、1社1社火災保険を扱っている保険会社を調べて見積もりを取るのは大変です。そこで便利なのが火災保険の一括見積もりサービスです。1度の情報入力で複数の保険会社の見積もりを取得することができます。各社の保険料や補償内容・サービスを比較して納得のいく火災保険を選びましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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インズウェブ

「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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