住宅を購入するとなると必要になるのが火災保険です。特に住宅ローンを借りるとなると、火災や自然災害の被害に遭ってもローンを返済できるように火災保険への加入を求められます。しかし、賃貸のときは不動産屋に言われるがまま加入していたので、どこで加入するのがよいのか分からないという人も多いと思います。マイホームの火災保険も銀行などで勧められるまま加入してよいのでしょうか。
目次
火災保険の主な加入経路
火災保険に加入する場合、主な加入経路としては以下のものが考えられます。
- 銀行やハウスメーカーなどの紹介で加入する
- 専業の保険代理店で加入する
- 保険会社の直販で加入する
それぞれの加入経路についてメリットとデメリットを紹介します。
銀行やハウスメーカーなどの紹介
銀行やハウスメーカーなどが保険代理店となっていて、ローンを借りるときや住宅を購入するときに勧められて加入するパターンです。ちなみに、銀行やハウスメーカーに勧められたまま加入しなければならないということはなく、加入する火災保険は自分で自由に選ぶことができます。ただし、ローンを借りるうえで最低限必要な補償内容が定められていることも多いのでそれは満たす必要があります。
メリット
- 手続きがワンストップで済む
- 団体割引を受けられる場合がある
銀行やハウスメーカーで勧められた火災保険に加入する場合、自分で保険会社や代理店を探す必要がなく他の手続きと一緒に火災保険の申し込みも進めることができます。住宅を購入するとなると多くの手続きが必要になりますので、連絡先を増やさずに済むというのは一つのメリットといえるでしょう。
また、銀行経由の場合、団体割引が適用されて保険料が安くなる場合があります。同じ保険会社・同じ補償内容で火災保険に加入するのであれば、個人で申し込むよりも保険料の割引が受けられる銀行経由で申し込む方が得といえるでしょう。
デメリット
- 選択肢が少ない
- 保険のプロではない
日本国内には多くの保険会社がありますが、銀行経由やハウスメーカー経由などで申し込める火災保険は2、3社のみ、あるいは1社のみなどと選択肢が少なくなってしまいます。自分の住宅の状況に合った火災保険を選びにくかったり、団体割引で安くなっているといっても不要な特約が追加されていて結果的には保険料が高くなったりしているということもありえます。
また、銀行やハウスメーカーは保険のプロ集団というわけではありません。中には保険に非常に詳しい人もいると思いますが、全員がそうというわけではありません。あまり詳しくない人が担当にあたり、契約者のニーズにあった補償内容を勧めることができなかったり、逆に不必要な補償を勧めてしまったりすることも考えられます。
火災保険を銀行経由で入るメリット・デメリットは?
住宅ローンを借りるときに銀行から火災保険の加入を案内されることがあります。特に何も考えずにそのまま加入してしまう人も多いのですが、大切な自分の家を守る保険なので ...続きを見る
専業の保険代理店
銀行やハウスメーカーなどの兼業の代理店ではなく、保険代理店を専業として行っているところで加入するパターンです。
メリット
- プロのアドバイスを受けられる
- 複数の商品を比較できる(乗合代理店の場合)
専業として保険を扱っているので保険について詳しい人からのアドバイスを受けながら火災保険の加入を進めることができます。大切なマイホームに損害が発生してしまったときのための保険なので疑問点を解消しやすいというのは大きなメリットでしょう。
また、複数の保険会社を扱う乗合代理店の場合、複数社の商品を比較して自分に合ったものを選ぶことができます。自分だけではどのような保険会社があるのか、どのような特徴を持っているのか分かりづらいですが、専門知識を持った担当者のアドバイスをもとに比較することができます。
デメリット
- 特定の保険会社しか扱っていない代理店もある
- 信頼できる代理店を探す必要がある
保険代理店の中には複数の保険会社を扱っているところもあれば特定の保険会社しか扱っていないところもあります。特定の保険会社しか扱っていない代理店であれば比較して選ぶということはできません。
また、どこで契約しても同じことは言えるのですが、代理店の中には経験不足だったり残念ながら契約者よりも自社の利益を優先したりするところも存在します。初めに見つけた代理店や近くの代理店が信頼できるところであればよいのですが、そうでなければ自分で信頼できる代理店を探す必要があります。
保険会社の直販
保険会社の中には代理店経由ではなくネットなどから直接申し込めるところもあります。そうした保険会社に申し込むパターンです。
メリット
- 保険料が安い傾向にある
- カスタマイズ性に優れる
保険会社直販の火災保険だと代理店を挟まない分、中間コストが少なくなるので保険料が安い傾向にあります。火災保険は長い間契約する保険なので、保険料の差は次第に大きくなっていきます。保険料が安いからと言って補償内容が不十分ということはないので、これは大きなメリットです。
また、火災保険はいくつかの補償がセットになったパッケージの中からどれかを選ぶというパターンも多いのですが、保険会社直販の火災保険ではより細かく補償内容を選択できる傾向にあります。不要な補償は削って保険料を抑えることが可能です。
デメリット
- 自分で保険会社を決める必要がある
- 自分で補償内容を決める必要がある
日本には複数の保険会社がありますので、その中からどの保険会社に申し込むのか自分で探してきて決める必要があります。他の手続きで忙しい中、十分に比較できない可能性もあります。
また、自分でどの補償内容が必要なのか判断して決める必要があります。契約していない内容の被害を受けても補償は受けられませんので慎重に決めなければいけません。なお、電話やメール、チャットなどで分からないところを保険会社に尋ねることは可能です。
一括見積もりサービスを使うのもおすすめ
3つの加入経路を紹介しましたが、一括見積もりサービスを利用するのもおすすめです。火災保険一括見積もりサービスを利用すれば、一度に複数の保険会社から見積もりを取ることができます。自分でどのような保険会社があるのか探す必要がありませんし、見積もり結果を比較することで契約する保険会社の候補を絞り込みやすくなります。火災保険に迷ったら一括見積もりサービスを利用してみましょう。
加入時のポイントは?
多くの方は住宅購入時に初めて火災保険を意識して選ぶことになると思います。そこでどのようなポイントに気を付けて加入すればよいのか紹介します。
火災保険の対象は?
火災保険の対象となるのは建物と家財です。建物を対象とする場合、建物本体はもちろんのこと、その建物と同じ敷地内にある門や塀、物置や車庫などの建物付属物も補償の対象に含まれます。また、門や塀など以外にもエアコンや浴槽、調理台などの建物に取り付けてあるものや建物に固定してあるテレビアンテナも建物の対象となります。
家財の対象となるのは建物内部に収容されている電化製品、家具、衣類、食器などの生活に欠かせない「動かすことができるもの」です。引っ越しの時に持ち運んでくるものをイメージするとよいと思います。
どのような損害が補償される?
火災保険は火災のみではなく風災や水災などの自然災害をはじめとしてさまざまな損害に対して補償を受けることができます。火災保険の一般的な補償内容は以下の通りです。
損害の種類 | 内容 |
---|---|
火災、破裂・爆発、落雷 | 失火・延焼・ボヤなどの火災、ガス漏れなどによる破損・爆発の損害、落雷による損害を補償。 |
風災・雹災・雪災 | 台風等の強風による損害、雹(ひょう)や霰(あられ)による損害、豪雪の際の雪の重み、雪の落下などによる事故または雪崩により生じた損害を補償。 |
水災 | 台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどにより生じた損害を補償。 |
水濡れ | 給排水設備の故障や他人の戸室で生じた事故による水濡れ損害(水漏れ)を補償。 |
物体の落下・飛来・衝突 | 車の飛び込みや飛び石など建物外部から物体が落下・飛来・衝突したことにより生じた損害を補償。 |
盗難 | 家財の盗難や盗難に伴う鍵や窓ガラス等の建物の損害を補償。 |
騒擾・集団行動等に伴う暴力行為 | 集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償。 |
破損・汚損など | 子どもが室内でボールを投げ、窓ガラスが破損してしまった等、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって生じた建物や家財の損害を補償。 |
保険金額はいくらにする?
保険金額というのは支払われる保険金の上限額です。ただし、保険金額をいくら大きくしても実際の損害額までしか保険金は支払われません。建物の保険金額は建物評価額と同じになるように、家財の保険金額は持っている家財を全て買い直すのに必要な金額で設定しましょう。
しかし、家財を全て買い直すのにいくら必要なのか把握している方は少ないと思います。各保険会社では家族構成や専有面積をもとにした簡易的な保険金額の目安表を用意しています。判断に迷う場合は保険会社に尋ねて参考にしてみるとよいでしょう。
何年契約にする?
火災保険は現在、最長で5年契約まで結ぶことができます。そして契約期間が長くなるほど1年あたりの保険料は安くなります。つまりは、途中で保険料の改定などがなければ、1年契約を5回繰り返すよりも5年契約をした方が保険料の総計は安くなるのです。ただし、火災保険は一括払いをすることが多いですが、5年分の保険料を一括払いすると金額が大きくなってしまいます。保険料を支払った後に家計の重しにならないか注意が必要です。
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まとめ
住宅を購入する際に火災保険を加入する経路としては、銀行やハウスメーカーなどで紹介される火災保険に加入する、専業の保険代理店経由で加入する、保険会社直販の火災保険を加入するといったものが考えられます。それぞれにメリット・デメリットがありますので、それを理解したうえで申し込むのがよいでしょう。
また、火災保険選びに迷った場合は一括見積もりサービスを利用するのもおすすめです。自分の家の情報や希望する補償内容などを基に一度に複数社の火災保険の見積もりを取ることができます。複数社の見積もり結果を比較して自分に合った保険会社を探してみましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。