住宅を購入すると必ず加入する火災保険。ただでさえ多大な出費がかさむ住宅購入時、少しでも保険料を抑えたいですよね。”補償を薄くすれば保険料は下がる”ということはおそらく誰もが認識していると思いますが、もちろん大切な住宅だからこそ、補償も手厚くつけておきたい。そこで今回は、手厚い補償内容をキープしたうえでも出来る火災保険の節約方法をご紹介していきます。
目次
火災保険の相場は?
保険料の相場
そもそも火災保険の相場はどのくらいなのかを見ていきましょう。以下のように、建物の構造によって相場が変わってきます。
例:5年長期契約の場合
M構造 | T構造 | H構造 |
---|---|---|
約0.5~1.5万/年 | 約3~5万/年 | 約5~10万/年 |
建物構造によって、保険料に大きく差が出ることが分かります。マンションなどの共同住宅(M構造)が最も保険料が安くなる傾向にあり、続いてコンクリートや鉄骨 (T構造) などの戸建て、そして最も保険料の相場が高いのが、木造などの戸建て (H構造) となります。
保険料の構造
保険料の仕組みについても少し触れていきましょう。 図のように、火災保険に限らず保険料は大きく分けて「純保険料」と「付加保険料」から成り立っています。
「 純保険料」・・火災などが起こった際に保険会社が保険金を支払うための原資です。純保険料は発生頻度や損害額といった蓄積されたデータに基づいて算出された純保険料率をもとに決まります。
「付加保険料」・・保険会社が事業を運営するのに必要な費用や代理店手数料、保険会社の利益などから構成されています。付加保険料は、「合理的」「妥当」「不当に差別的でない」という料率三原則を満たすように各保険会社が独自に定めます。
保険料ってどうやって決まるの?
それでは、保険料は一体何に基づいて金額が決められているのでしょうか。以下にて、保険料を左右する3つの要素について記載します。
1.建物の広さによって保険料が変動
火災保険の相場を決めるポイントの中で、最も分かりやすい項目が「建坪」、いわゆるお部屋の広さです。保険料は「1平方メートルあたりの見積もり金額×建坪」で算出されます。つまり、建物が大きくなるほど保険料の相場も上昇します。一戸建ての購入を検討されている方は、建坪もしっかりチェックすることをオススメします。
2.地域によって保険料が変動
火災保険料は、地域によって異なります。理由としては、保険会社が地域ごとの災害の発生率や平均被害額のデータを基に保険料を算出しているためです。火事の際の延焼リスクの高さ(建物が密集しているかどうか)、消火施設の品質(消防署が近いかどうか、消防車が入りやすい大きな道に面しているかどうか)などが総合的に判断される傾向にあります。
3.建物構造によって保険料が変動
冒頭でも触れましたが、建物の構造は大きく分けて以下3つに分類されており、主に以下の図のような価格配置となっています。
建物構造とは
火災保険料に大きく関わってくる建物構造。ここで、それぞれの建物構造の詳細についても少し説明していきます。
①M構造(マンション構造)
「マンション」の頭文字である「M」を取った構造名が付けられています。3種類の構造の中でも、最も火災のリスクが低いとされている構造です。マンションはほとんどの場合がコンクリートやれんがで作られていますが、M構造に該当するためには、次の条件に当てはまっている必要があります。
■共同住宅である
■柱がコンクリート、コンクリートブロック、れんが、石のいずれかで造られている
■柱の材質が上記に該当せず、「耐火建築物」又は「耐火構造建築物」である
コンクリートやれんが以外の材質で建てられていたとしても、耐火構造建築物を含む耐火建築物に認定されていれば、M構造に当てはまるということになります。
②T構造(耐火構造)
「耐火」の頭文字である「T」が付けられている構造です。M構造よりも火災リスクは高いですが、H構造よりは低いという中間地点に位置しているので、保険料の相場も中間地点に位置します。T構造は集合住宅でも一戸建てでも該当する可能性があり、その条件は次の通りです。
■一戸建てで、柱がコンクリート、コンクリートブロック、れんが、石、鉄骨のいずれかで造られている
■一戸建てで、柱が上記以外の材質で造られており、耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建物に該当する
■集合住宅で、耐火建築物に該当せず、柱が鉄骨で造られている
耐火建築物の中には、耐火構造建築物を含み、準耐火建築物の中には、特定避難時間倒壊等防止建築物を含んでいます。
③H構造(非耐火構造)
「非耐火」の頭文字である「H」が付けられています。3つの構造の中で最も火災リスクが高いとされるため、保険料の相場も最も高くなるのが特徴です。主に木造の一戸建てが該当しますが、稀に共同住宅でも該当する場合があります。条件は以下になります。
■一戸建てで、柱がコンクリート、コンクリートブロック、れんが、石、鉄骨以外で造られており、耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建物のいずれにも該当しない
■集合住宅で、柱が上記の材質以外で造られており、耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建物に該当しない
木造一戸建てで耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建物でない場合は、全てH構造に該当すると考えて良いでしょう。
保険料を節約する3つのポイント
それでは、実際にどうすれば保険料を節約できるのか、3つのポイントに絞って説明していきます。
1.保険期間を長期にする
火災保険は、長期契約をすると保険料が割引になります。火災保険はこまめに更新するよりも、最長期間である5年で契約しておくほうが節約となります。ただ、長期契約は保険料の一括払いが前提になります。トータルで費用は抑えられますが、初期負担は大きくなるため、今の収支状況を鑑みたうえで検討することが大切です。
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2.割引制度を活用する
多くの火災保険では、 保険料の割引制度が用意されています。以下にて、保険料の主な割引の制度を5つ紹介します。
新築割引
建物が新築物件である場合の新築割引です。一般的には、火災保険の契約開始日を基準として、補償対象となる建物が新築年月から11ヵ月後の月末までである場合に新築割引を受けられます。
建物築浅割引
新築物件ではなくても、補償対象の建物が新しい場合に適用される割引です。10年未満であれば築浅割引が適用されるケースが多くなっています。
オール電化割引
空調や給湯、調理といった全ての設備用のエネルギーが電力によってまかなわれる「オール電化住宅」の場合に適用される割引です。なお、オール電化住宅であっても、石油ストーブやガスヒーターなどを使うのであれば、オール電化割引を利用できないといった条件が設定されている場合もあるようなので、注意しましょう。
WEB申込割引
WEB申込が可能な保険会社に多い割引です。保険会社が用意する専用の申込サイトから契約することで、割引を利用することができます。
耐火性能割引
補償対象の建物について、一定の耐火性能があると認められる場合に適用できる割引です。たとえば、外壁の耐火時間が60分以上(鉄骨造住宅等の耐火構造)、もしくは45分以上(木造住宅等の非耐火構造)の場合割引が適用される、などといった仕組みです。
POINT
3.保険料率が安い保険会社を選択する
例え同じ補償内容であっても、選ぶ保険会社によって保険料が大きく異なることがあります。補償内容と保険料のバランスを見て比較検討し、適切な保険料率の会社を選びましょう。また、一般的には、代理店型よりネット型保険の方が安いと言われています。
POINT
効率的に保険会社を選ぶには?
住宅ローンを借りる金融機関や不動産業者に紹介された火災保険にそのまま加入するのではなく、一括見積もりサービスで保険料や補償内容・サービスをしっかり比較して決めることをオススメします。
火災保険一括見積もりサービスなどで、気軽にあなたに合った保険会社を比較してみましょう。