火災保険の基礎知識

火災保険の請求方法と注意点

投稿日:2019年4月2日 更新日:

家を購入したときや賃貸のマンション・アパートを契約したときに、多くの方が火災保険に加入していると思います。しかし、火災保険の対象となる損害を受けたのに保険金の請求を行っていなかったり、請求を行おうと思ってもどのようにしたらいいか分からなかったりする方もいるようです。そこで、火災保険の請求対象や請求の流れについて紹介したいと思います。

また、火災保険は住宅に関わるさまざまな損害に備える保険ですが、火災保険を悪用した住宅修理に関わるトラブルも発生しているようです。悪質な修理業者とのトラブルを避けるために注意すべきことについて押さえておきましょう。

火災保険の請求対象

火災保険は名前の通りの「火災」による損害だけでなく、風災や水災、落雷、雪災といった自然災害による損害などでも保険金の請求を行うことができます。

また、個人賠償責任保険や破損・汚損を補償範囲に含めている場合では自転車事故での賠償やお店の商品棚から商品を落として壊してしまったときの賠償、掃除機で掃除中にドアにぶつけてドアを壊してしまった場合の修理費用といった日常のトラブルなどにも対応することができます。

火災保険で住宅を修理できる場合

火災保険は、偶発的な事故や災害によって受けた損害に備えるための保険です。火災や台風や暴風雨、大雪などの自然災害が原因で住宅に損害を受けた場合に火災保険で修理することが可能です。あくまでも、偶発的に起きた事故や災害で受けた損害を補償する保険であることを理解しておきましょう。

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保険金が支払われないケース

保険金支払の対象とならない主だったケースも紹介します。

火災保険の請求期限は3年

保険法により保険金請求の時効は支払事由が発生してから3年と定められています。損害を受けてから時間がたつと、保険金の支払対象になるかの調査や支払うべき保険金の決定が困難となってしまうからです。

損害を受けてすぐにあわてて火災保険の請求をする必要はありませんが、落ち着いてから請求しようと思っていて忘れたまま3年経過してしまったということがないようには気をつけましょう。

保険法 第95条(消滅時効)
保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。

補償を外してしまっている

火災保険の補償の種類はたくさんありますが、保険料を安くするために該当となる補償を外している場合には、その補償は受けられません。また、家財を保険の対象にしていない場合は家財の損害に対する補償はありません。現在の契約の補償範囲がどうなっているか確認しておきましょう。

経年劣化による損害

経年劣化による損害は火災保険の対象にはなりません。適切にメンテナンスを行って、万が一損害を受けた場合に経年劣化による損害だと判断されないようにしましょう。

免責金額以下の損害

免責金額というのは簡単に言えば自己負担しなければならない金額です。免責金額の設定がある場合で損害額が免責金額以下の場合には保険金を受け取ることができません。

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地震・噴火・津波による損害

地震・噴火、それらによる津波によって起こった損害については火災保険では補償の対象となりません。これらによる損害は地震保険に加入することで補償を受けることができます。

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故意や重大な過失がある場合

契約者や被保険者が故意に火をつけたような場合や故意でなくても重大な過失がある場合には保険金が支払われません。重大な過失は個別の事例で判断されますが、てんぷら油に火をかけたままその場を離れて放置して火事になった場合や寝たばこで火事になった場合などで重大な過失と判断された事例があります。

火災保険の請求の流れ

住宅に損害を受けた時、住宅の損害程度は表面上で確認できる範囲だけでは分からないこともあります。火災や水害などによる損害を自分で見極めることは難しく損害の程度を自分で判断することはできません。

火災保険の補償対象となる損害を受けた場合、損害を受けた直後の損害状況が分かる写真を証拠として残しておくとよいです。また、事故内容や損害を受けた日や時刻、状況をメモに残しておくなども保険会社に事実を正確に伝える情報として有効です。

step
1
保険会社に連絡

まず、契約する保険会社に損害を受けたことを連絡してください。契約者氏名、保険証券番号、事故内容、被害状況などを伝えることとなります。

step
2
保険会社から必要書類等が送られてくる

保険会社に連絡すると、保険金の請求に必要な書類や案内が送られてきます。内容をしっかりと確認するようにしましょう。

step
3
保険会社に必要書類の提出

保険会社からの案内に従って必要な書類を用意して保険会社に書類を提出しましょう。保険会社指定の保険金請求書、修理費用の見積書、被害の状況がわかる写真などが必要となります。

step
4
保険会社による鑑定人の調査

鑑定人が被害状況の確認・調査を行います。調査結果と契約者からの申請書類などをもとに保険金の支払対象か審査を行い、支払われる保険金の金額が確定します。

step
5
保険金の入金

保険金の金額が確定したら、契約者指定の口座に保険金が支払われます。

必要書類を準備して申請をスムーズに!

ステップ3で保険会社に提出する書類は、保険金の支払い判断に必要な重要な書類となります。提出を求められる可能性のある主な書類を紹介します。

保険金請求書保険会社指定の請求書
印鑑証明書保険金請求に必要な場合があります。
損害の程度を立証する書類修理見積書
写真
領収証
図面(写)
被害品明細書 など
事故の発生を確認する書類

事故状況説明書
罹災証明書
メーカーや修理業者等からの原因調査報告書
警察署の盗難届出証 など

保険の対象であるかを確認する書類 建物登記簿謄本
売買契約書(写)
登記事項等証明書 など

査定が不服な場合

ステップ3で保険会社に提出した書類の確認や現場調査の結果などをもとにステップ4で鑑定人が保険金の支払対象か審査を行い、支払われる保険金の金額を確定します。この鑑定結果が不服の場合は、再審査を受ける事ができます。保険会社には、査定結果の不服申立が行える「保険金のお支払いに関する不服審査お申し出制度」があり、不服の申立を行うと社外弁護士で構成する「不服審査会」で第三者の視点から審査結果の適切性について再審査が行われます。

消費者庁も審査結果に不服がある場合は、契約した保険会社の相談窓口や日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター」に問い合わせるように呼びかけています。日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター」は、日本損害保険協会のお客様対応窓口で、専門の相談員が、損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情の受付や損害保険会社との間の紛争解決の支援(和解案の提示等)を行っています。

詐欺や悪徳業者に注意

特に台風などの自然災害の被害があった後に増えるのですが、各家庭を訪問して「火災保険を使うことによって実質自己負担なしで屋根を修理できる」と強調して強引に契約を結ぼうとする悪徳業者の被害が増えています。

すべてが詐欺や悪徳業者とは限りませんが、保険適用外となるような事例でも自己負担なしで修理できるといって契約を結ばせたり、契約後に保険適用外だと知ってキャンセルしようとしても高額なキャンセル費用を請求されたりするトラブルも発生しています。

保険を使えるか否かは修理業者ではなく保険会社が判断することなので、修理業者に「保険が使える」といわれても鵜呑みにせずに保険会社や代理店に確認するようにしましょう。

悪徳修理業者とのトラブルを避けるために

独立行政法人 国民生活センターからも消費者への下記アドバイスが掲載されています。

  1. 申請代行業者の説明を鵜呑(うの)みにせず、必要のない勧誘はきっぱりと断る
  2. 契約している保険の内容を自分の目で確認したうえで、事実に基づいて保険金を請求する。分からなければ保険会社等に相談する
  3. 複数の修理業者から見積もりを取り、慎重に判断する
  4. 修理の着工前に代金を全額前払いすることは避ける
  5. 訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合には、クーリング・オフできる
  6. トラブルにあったら、最寄りの消費生活センター等に相談する

まとめ

火災保険は火災だけでなく自然災害や日常のトラブルなどで建物や家財に損害を受けた場合にも使うことができます。実際に火災保険を請求する場合は、上で紹介した請求の流れを参考にしつつ、保険会社に連絡してその説明に従うようにしましょう。

住宅修理を行う業者の中には、「火災保険の保険金で実質無料で修理できる」と勧誘を行う悪徳業者も存在しているようです。しかし、保険金の支払対象か否かを判断するのは修理業者ではなく保険会社の鑑定人です。自分自身でも自分自身でも火災保険とはどういうものなのか、という事を理解し悪徳業者が強引に契約を結ぼうとするときには、契約を結ぶ前に周りの人や保険会社、代理店に相談するようにしましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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インズウェブ

「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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