火災保険の基礎知識

自然災害による自宅への損害には火災保険で備えよう!

投稿日:2019年9月9日 更新日:

近年、地震や台風などの自然災害による大きな被害が多く発生しています。こうした自然災害による住宅への被害に備えるには火災保険・地震保険への加入が基本となっています。火災保険や地震保険でどのような被害に備えられるのか、どれくらいの保険金が支払われるのかといったことを紹介します。

火災保険の自然災害の補償

火災保険は火災の損害に対して備えるだけの保険ではありません。マイホームを守るために住宅に関わるさまざまな損害リスクに備える保険です。台風は強風と大雨の印象が強いですが、雷による損害も心配です。大雨が長く続けば洪水による被害の危険性も大きくなります。自然災害では竜巻や突風などの台風以外の被害のリスクもあります。それぞれの損害に対してどのような補償で損害リスクをカバーできるのか確認しておくとよいでしょう。

自然災害に備える「風災・雹災・雪災補償」とは?

台風などの強風で屋根瓦が飛んでしまった、雹(ひょう)で窓ガラスが割れてしまった、降り積もった雪の重みでカーポートがつぶれてしまったというような被害は火災保険の風災・雹災・雪災補償で補償を受けることができます。火災保険では基本的に風災・雹災・雪災はひとまとめになっています。それぞれで補償対象となる事例を紹介します。

風災補償で補償される事例

保険の対象
建物家財
台風による強風で屋根瓦が破損した×
強風で飛んできた物が壁にぶつかって破損した×
強風で屋根瓦が飛び、そこから入る雨で電化製品が壊れた
(屋根瓦)

(電化製品)
強風でカーポートが破損した×
強風で飛んできた物が自動車にぶつかって破損した××
強風で軒下に置いてあった自転車が倒れて壊れた×

雹災補償で補償される事例

保険の対象
建物家財
雹で窓ガラスが割れてしまった×
雹で太陽光発電のソーラーパネルが破損した×
雹で雨どいが破損した×

雪災補償で補償される事例

保険の対象
建物家財
雪の重みでカーポートがつぶれた
(※自動車は対象外)
×
雪崩に巻き込まれて自宅が倒壊した
融雪洪水で床上浸水の被害を受けた××

融雪洪水は水災補償での補償となります。

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自然災害に備える「水災補償」とは?

台風やゲリラ豪雨、大雨による洪水などが原因で床上浸水の被害を受けた場合などには、火災保険の水災補償で補償を受けることができます。床下浸水では基本的に補償対象外となっています。また、洪水による被害だけでなく、大雨などによる土砂災害についても水災補償での補償対象となります。

水災補償の支払基準

水災補償は一般的に、次のような支払基準が設けられています。支払基準に満たない場合、保険金は支払われません。

  • 建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
  • 「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が生じた場合

床上浸水とは、畳やフローリングなどの居住部分の床を超える浸水のことをいい、地盤面とは、建物が周囲の地面と接する位置のことをいいます。ただし、地盤面について、地下室など床面が地盤面より下にある場合は、その床面をいいます。

水災補償で補償される事例

保険の対象
建物家財
大雨による洪水で床上浸水の被害を受けた×
大雨による土砂崩れの被害を受けた
大雨による洪水で床下浸水の被害を受けた××
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自然災害に備える「落雷補償」とは?

雷が落ちる事を「落雷」と言い、雷が鳴っている時には雨が降る事が多くあります。日本で2005年~2017年の間で落雷害は、1,540件発生しており、8月に最も集中しています(気象庁_落雷害の月別件数)。落雷によって屋根に穴が開いてしまった、落雷による急激な電圧の変化が原因で過電流が流れて電化製品が故障してしまったという場合に落雷補償で補償を受ける事ができます。

落雷補償で補償される事例

保険の対象
建物家財
落雷によって屋根に穴が開いた×
落雷による過電流で電化製品が故障した×
落雷によって感電しやけどした××
落雷
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自然災害によりどれくらい保険金が請求されている?

実際のところ、自然災害による被害でどれくらい火災保険の保険金が請求されているのでしょうか?損害保険料率算出機構の火災保険・地震保険の概況(2021年度版)より紹介します。

事故種別2017年度2018年度2019年度
件数
(件)
保険金
(百万円)
件数
(件)
保険金
(百万円)
件数
(件)
保険金
(百万円)
火災、破裂・爆発7,15431,9157,08634,2386,89634,479
落雷28,4788,77026,9878,53628,6379,340
風災・雹災171,41676,630819,484637,876497,798378,679
雪災68,66737,62916,9789,1329,2054,643
水災3,0869,3959,90260,91121,330123,703
水濡れ42,47028,52542,05826,64147,49931,958
その他198,64133,712189,16533,383211,82137,821

※「件数」および「保険金」は、対象年度に発生した事故に対して当該年度およびその翌年度に支払った件数および保険金を集計したものです。
「その他」は盗難、物体の落下、破損・汚損、電気的・機械的事故および地震火災費用等に対する保険金を集計したものです(不明を含みます)。

出典:損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況(2021年度版)」

上表の通り、自然災害による被害で「火災、破裂・爆発」の10倍以上の件数の保険金請求がされています。

被害を受けたらどれだけの保険金を受け取れる?

自然災害による被害を受けてしまった場合に受け取れる損害保険金は、契約時に定めた保険金額を上限として、実際の損害額から免責金額(自己負担額)を差し引いた残りの金額です。損害保険金に追加して臨時費用保険金や残存物取片付け費用保険金などの費用保険金が支払われる場合もあります。

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また、保険金を請求するときは以下のような流れで請求を行います。

step
1
保険会社に連絡

まず、契約する保険会社に損害を受けたことを連絡してください。契約者氏名、保険証券番号、事故内容、被害状況などを伝えることとなります。

step
2
保険会社から必要書類等が送られてくる

保険会社に連絡すると、保険金の請求に必要な書類や案内が送られてきます。内容をしっかりと確認するようにしましょう。

step
3
保険会社に必要書類の提出

保険会社からの案内に従って必要な書類を用意して保険会社に書類を提出しましょう。保険会社指定の保険金請求書、修理費用の見積書、被害の状況がわかる写真などが必要となります。

写真撮影
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step
4
保険会社による鑑定人の調査

鑑定人が被害状況の確認・調査を行います。調査結果と契約者からの申請書類などをもとに保険金の支払対象か審査を行い、支払われる保険金の金額が確定します。

step
5
保険金の入金

保険金の金額が確定したら、契約者指定の口座に保険金が支払われます。

地震の被害には「地震保険」の契約が必要です!

日本は地震大国で、いつ起こるか分からない地震に対しても備えておく事は大切です。甚大な被害をもたらす規模の地震もたびたび起こっており、東日本大震災以降、私たちの地震に対する防災意識も確実に高まっています。地震も自然災害の1つとなりますが、地震による損害は火災保険では補償外となっています。

地震・噴火・津波を起因とする火災・損壊・埋没・流出による損害の補償を受けるには火災保険とセットで契約する地震保険に契約する必要があります。地震保険は単独では加入できず、加入している(加入する)火災保険とセットで契約することになります。加入時にセットしていなくても後から追加することも可能です

地震保険では被害の程度に応じて「全損」、「大半損」、「小半損」、「一部損」の認定が行われ、保険金はそれぞれ地震保険金額の100%、60%、30%、5%が支払われます。

日本に住む以上、いつ地震の被害に遭ってもおかしくはありません。火災保険の契約だけでは地震の損害には備えられないので地震保険でもしっかりと備えるのがよいでしょう。

地震
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自動車は「家財」に含まれない

台風や集中豪雨による道路の冠水や洪水などにより車が流されている映像を見たことがある方もいるのではないでしょうか。大雨による土砂崩れにより車が埋まってしまい全損してしまったりと、自然災害は自動車にも被害をもたらすことがあります。自動車は家財の一部と思われる方もいるかもしれませんが、自動車は火災保険の家財の契約があっても補償対象外です。自動車は自動車保険の車両保険で補償されますので、自動車保険の補償内容を確認しましょう。

まとめ

火災保険は火災だけではなく、「住まいを守る」ための保険として多くの自然災害の被害に備える事ができます。それぞれの補償内容を確認し、必要な補償かどうかを判断しましょう。自然災害の中でも地震に対する損害は火災保険の補償対象外です。地震・噴火・津波を起因とする火災・損壊・埋没・流出による損害全て火災保険では備える事ができません。地震に備えるためには火災保険とセットで契約する地震保険の契約を検討しましょう。長期契約で契約する事の多い火災保険ですが、必要な補償内容もライフスタイルの変化によって変わってくる場合があります。定期的に見直しを行い突然の災害に備えるようにしましょう。

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「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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