暑くなってくると活躍する網戸ですが、子供がボールをぶつけて網戸を破ってしまった、よろけて手をついて破ってしまった、雹(ひょう)が降って破れた、台風などの強風で外れて壊れてしまったなど、偶然な事故や自然災害で網戸が破損してしまうこともあります。こうしたとき、火災保険で補償を受けられるのでしょうか?
目次
網戸も補償対象となる
網戸が破損してしまった場合でも破損してしまった原因に応じて火災保険の補償対象となります。いくつかの想定事例と対応する補償内容を紹介すると、以下のようになります。
- 子供が遊んでいてボールをぶつけて破ってしまった(不測かつ突発的な事故)
- よろけた拍子に手をついて破ってしまった(不測かつ突発的な事故)
- 雹(ひょう)が降ってきて網戸にあたって破れた(雹災)
- 台風などの強風で網戸が外れて壊れた(風災)
- 台風などの強風で飛んできた物が当たって網戸が破れた(風災)
- イタズラで石を投げ込まれて網戸が破れた(建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など)
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)
事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって建物や家財を破損・汚損させてしまった場合に補償を受けることができます。例えば、模様替え中に壁に家具をぶつけて穴をあけてしまった、よろけてガラス戸にぶつかってガラスを割ってしまった、子供がおもちゃを投げてテレビの液晶が割れてしまったというようなうっかり起こしてしまった偶然な事故が対象となります。
なお、擦り傷などの外観上の損傷のみで機能に支障をきたさない場合は補償の対象とはなりません。また、火災保険全体に免責金額を設定していなかったとしても不測かつ突発的な事故には個別に免責金額が設定されていることが多いです。
火災保険の不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)はどんな場合に補償される?
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風災・雹災・雪災
火災保険では基本的に風災補償、雹災補償、雪災補償はセットになっています。風災は台風、旋風、竜巻、暴風等により生じた損害、雹災は雹またはあられにより生じた損害、雪災は雪の重みや雪の落下などによる事故または雪崩により生じた損害が補償対象となります。
風災は強風そのものによる損害だけでなく、強風によって飛んできた物にあたって損害を受けた場合も補償対象となります。また、雹とあられの違いは氷の粒の大きさの違いで、直径5mm以上のものを雹、5mm未満のものをあられといいます。
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建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など
自動車が突っ込んできて壁が壊れた、ボールが飛んできて窓ガラスが割れた、自動車の飛び石で窓ガラスが割れた、ドローンが落下してきて自宅に損害が出たなど、建物外部から物体が落下・飛来・衝突したことにより、保険の対象である建物や家財に損害が発生した場合に補償を受けることができます。なお、相手から損害賠償を受けている場合は重複して保険金を受け取ることはできません。
建物外部から物体が飛んできた場合の補償としてはこの補償と風災補償とが考えられます。物体が飛んできた原因が強風の場合は風災補償で、それ以外の場合は建物外部からの物体の落下・飛来・衝突などで補償されます。
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補償を受けられない場合も
網戸が破損してしまったときにすべての場合で火災保険で補償を受けられるわけではありません。どのような場合に補償を受けられないのか代表的な場合を紹介します。
免責金額以下の損害の場合
火災保険に免責金額の設定がある場合、設定した免責金額以下の損害では補償を受けることができません。火災保険全体として免責金額を設定していなくても、不測かつ突発的な事故の場合は個別に免責金額の設定がある場合が多いので注意が必要です。
免責金額の設定方式にはフランチャイズ方式と免責方式(エクセス方式)の2つがあります。フランチャイズ方式は主に一昔前の火災保険の風災・雹災・雪災補償に設定されている方式で、損害額が20万円を超えるまでは全額自己負担、20万円以上の場合は全額保険金が支払われるという方式です。一方で、免責方式は最近の火災保険の方式で、損害額がいくらであっても損害額から設定した免責金額を引いた額が保険金として支払われます。設定できる免責金額は保険会社により異なります。
損害額 | フランチャイズ方式 (免責金額20万円) | 免責方式 (免責金額3万円) |
---|---|---|
1万円 | 保険金:0円 自己負担額:1万円 | 保険金:0円 自己負担額:1万円 |
5万円 | 保険金:0円 自己負担額:5万円 | 保険金:2万円 自己負担額:3万円 |
10万円 | 保険金:0円 自己負担額:10万円 | 保険金:7万円 自己負担額:3万円 |
25万円 | 保険金:25万円 自己負担額:0円 | 保険金:22万円 自己負担額:3万円 |
網戸の破損は修理費用がそこまで大きくないので免責金額の設定がある場合には補償を受けられないケースも多いと考えられます。自分の契約に免責金額の設定があるか分からないという場合は保険証券を見るなどして一度確認してみましょう。
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経年劣化の場合
火災保険では経年劣化による損害は補償を受けることができません。網戸は年月が経つにつれて劣化して破れてしまいます。この場合の補修にかかる費用や交換にかかる費用は火災保険の補償対象外です。
対応する補償内容を契約していない場合
当然ですが契約していない内容で補償を受けることはできません。不測かつ突発的な事故や建物外部からの物体の落下・飛来・衝突などは保険料を安くするために補償内容に含めないということもよくあります。自分がどのような補償内容で契約しているのか分からない場合は一度保険証券などで確認しておくのがよいでしょう。
故意や重大な過失がある場合
故意に網戸を破損させた場合や故意ではなくても重大な過失がある場合には補償を受けることはできません。重大な過失というのはわずかな注意さえ払っていれば予見・防止できたのにそれを漫然と見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態です。実際にどのような場合に重大な過失とされるかは個別の状況での判断となります。
保険金請求の流れ
網戸が破損してしまった場合にどのように火災保険の保険金の請求を行うのか流れを説明します。
step
1保険会社に連絡
まず、契約する保険会社に損害を受けたことを連絡してください。契約者氏名、保険証券番号、事故内容、被害状況などを伝えることとなります。
step
2保険会社から必要書類等が送られてくる
保険会社に連絡すると、保険金の請求に必要な書類や案内が送られてきます。内容をしっかりと確認するようにしましょう。
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3保険会社に必要書類の提出
保険会社からの案内に従って必要な書類を用意して保険会社に書類を提出しましょう。保険会社指定の保険金請求書、修理費用の見積書、被害の状況がわかる写真などが必要となります。
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4保険会社による鑑定人の調査
鑑定人が被害状況の確認・調査を行います。調査結果と契約者からの申請書類などをもとに保険金の支払対象か審査を行い、支払われる保険金の金額が確定します。
step
5保険金の入金
保険金の金額が確定したら、契約者指定の口座に保険金が支払われます。
まとめ
網戸が破損してしまったという場合でも破損するに至った原因に応じて火災保険で補償を受けることができます。しかし、網戸の修理にはあまり大きな費用は掛からないので免責金額の設定がある場合には補償を受けられないということも多いです。自分がどのような契約内容になっているのか分からない場合には一度保険証券などで確認してみるのがよいでしょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。