火災保険の基礎知識

豪雨による被害は火災保険で補償される?

投稿日:2019年6月25日 更新日:

近年、台風に限らずゲリラ豪雨や集中豪雨など記録的な豪雨による被害を見聞きすることが増えてきました。豪雨によって被害を受けてしまった場合、火災保険で補償を受けられるのでしょうか。想定される被害別に火災保険の補償について紹介します。

被害状況別の火災保険の補償

豪雨によって冠水した場合

豪雨によって冠水し、建物や家財に損害を負った場合、保険会社で定める支払要件以上の被害であれば火災保険の水災補償で補償を受けられます。水災補償における支払要件は一般的に以下の通りです。

  • 建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
  • 「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が生じた場合

実際に損害を受けていたとしても、床下浸水に留まっていて保険価額の30%未満の損害であった場合は火災保険では補償を受けられません。

支払われる保険金は、実際の損害額から設定している免責金額を除いた金額です。ただし、保険商品によっては損害の大きさにより損害額の70%、10%、5%などと損害額の全額が補償されないものもあります。

豪雨による土砂崩れの被害に遭った場合

豪雨による土砂崩れの被害に遭った場合も火災保険の水災補償による補償となります。河川や海から離れているからといって水災補償を外している場合は雨が原因の土砂崩れの被害に遭っても補償を受けられません。短時間での集中豪雨の増加や高齢化による山地の手入れの放棄などで土砂災害の危険性は増しています。近くに山やガケがある場合は火災保険の補償内容を見直してみましょう。

なお、水災補償による補償となるので受けた被害が水災補償を支払要件を満たしている必要があります。保険価額の30%未満の被害で、床上浸水していない場合は補償を受けることができません。

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豪雨中の落雷で建物・家財に被害を受けた場合

落雷による損害は多くの場合、火災保険の基本補償の中に含まれています。落雷で火災が起きた場合はもちろん、落雷によって屋根等が破損した場合や過電流によって電化製品が故障した場合も補償を受けることができます。ただし、備え付けでない電化製品の故障は家財を保険の対象としている必要があります。逆に、家財のみを保険の対象としている場合は建物の損害は補償されません。

落雷による損害で注意が必要なのはパソコンです。パソコン本体の損害は補償の対象となりますが、消えてしまったデータやプログラムなどは火災保険の補償の対象外です。また、デスクトップは補償対象でもラップトップ(ノートパソコン)は補償対象外という保険会社もありますので事前に補償範囲を確認しておきましょう。

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雨漏りで建物や家財に被害を受けた場合

雨漏りによる損害は多くの場合は火災保険の補償の対象外です。雨漏りは基本的に経年劣化や施工不良などで起こりますが、それらが原因の損害は火災保険では補償されません。ただし、暴風で屋根瓦が飛んだ、強風で飛んできた看板等で屋根が破損したなど自然災害が原因となって雨漏りが発生した場合は火災保険の補償を受けることができます(例に挙げたものの場合は風災補償)。

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豪雨で車が水没してしまった場合

車は建物、家財のどちらにも当てはまらないので、豪雨で車が水没してしまった場合でも火災保険では補償を受けられません。自動車保険に車両保険をつけている場合はそちらで補償を受けることができます。一般型でもエコノミー型でも補償対象となりますが、翌年度の等級は1等級ダウンし、事故有係数適用期間も1年加算されます。

ベランダやバルコニーから排水しきれなかった水が浸水した場合

ベランダやバルコニーの排水能力をこえて雨が降り、そこから室内に浸水してしまう場合があります。この場合は水災補償の補償対象となり得ます。ただし、排水溝の管理を怠っていてゴミや落ち葉などが詰まり、水があふれたというような場合は基本的に補償を受けることができません。日ごろから排水溝の管理はしっかりとしておくようにしましょう。

豪雨が原因で自宅の塀が壊れ、隣家に損害を与えた場合

火災保険では隣家に与えた損害は補償の対象外です。そもそもとして、自然災害が原因の損害では損害賠償責任が発生しません。ただし、日ごろの管理に問題があった場合は損害賠償責任が発生することがあります。そうした場合、火災保険などで個人賠償責任保険を特約としてつけていれば、そこから補償を受けることができます。

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保険金請求の流れ

豪雨による被害を受け、火災保険を使う場合は以下の手順に沿って請求を行いましょう。

step
1
保険会社に連絡

まず、契約する保険会社に損害を受けたことを連絡してください。契約者氏名、保険証券番号、事故内容、被害状況などを伝えることとなります。

step
2
保険会社から必要書類等が送られてくる

保険会社に連絡すると、保険金の請求に必要な書類や案内が送られてきます。内容をしっかりと確認するようにしましょう。

step
3
保険会社に必要書類の提出

保険会社からの案内に従って必要な書類を用意して保険会社に書類を提出しましょう。保険会社指定の保険金請求書、修理費用の見積書、被害の状況がわかる写真などが必要となります。

step
4
保険会社による鑑定人の調査

鑑定人が被害状況の確認・調査を行います。調査結果と契約者からの申請書類などをもとに保険金の支払対象か審査を行い、支払われる保険金の金額が確定します。

step
5
保険金の入金

保険金の金額が確定したら、契約者指定の口座に保険金が支払われます。

先に片付けや修理を行っても大丈夫?

防犯・安全上の場合などから片付けや修理が必要な場合は、行っても大丈夫です。その場合、被害の状況が後から確認できるように、可能な限り損害個所の写真を撮影し、後日、保険会社の担当者に渡してください。水災においては浸水の高さが重要となるので、それが確認できるように撮影するのが大切です。

まとめ

豪雨による被害を受けた場合、受けた被害内容によりますが水災補償などで補償を受けられます。豪雨が原因の土砂災害についても水災補償の対象となるので、河川から離れているからと水災補償を付けていない場合は注意してください。

現在の補償内容を見直してみて、補償内容を変更したいという場合は現在契約している火災保険だけでなく他の会社の火災保険も検討してみましょう。保険会社によって保険料やサービスに違いがあります。より保険料が安い保険会社が見つかったり、よりサービス内容がよい保険会社が見つかったりする可能性があります。火災保険一括見積もりサービスを利用して複数の保険会社を比較してみましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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