火災保険の基礎知識

家が半焼してしまった場合、火災保険はいくら下りる?

投稿日:2020年5月29日 更新日:

家が火災で焼けてしまったという場合、火災保険に加入していれば保険金を受け取ることができます。全焼してしまった場合には契約している保険金額の全額が支払われますが、半焼の場合はいくらの保険金を受け取れるのでしょうか。半焼なので保険金額の半分なのでしょうか。

保険金は損害額の分支払われる

火災保険は半焼だから保険金額の半分、10%焼けたら保険金額の10%というような形で保険金が支払われるのではなく、保険金額を上限として損害額が1000万円ならば1000万円、損害額が800万円ならば800万円というように損害額の分の保険金が支払われます。なお、免責金額の設定がある場合はその分の金額は除いて保険金が支払われます(免責方式の場合)。また、1回の事故で損害額が建物の再調達価額の80%以上の場合には全損として保険金額の全額が保険金として支払われる場合もあります。

地震保険では損害の程度により決まった割合の額が支払われる

地震保険については損害の程度によって全損、大半損、小半損、一部損に分類され、その分類ごとに決められた割合の保険金が支払われます。建物の損害の認定基準と補償額は以下の通りです。

損害の程度基準補償額
全損地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)
大半損地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)
一部損地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損に至らない場合地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)

なお、地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30%~50%の間で定めます。

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2社入っていれば保険金額全額分受け取れる?

例えば保険金額が2000万円、損害額が1000万円という場合、火災保険に2社入っていれば保険金額全額分の保険金を受け取ることはできるのでしょうか。その答えとしては、火災保険を2社契約していたとしても保険金は2社合わせて損害額の1000万円までしか支払われません。火災保険などの損害保険は損害の穴埋めをするものであり、2つの保険会社と契約していても2倍の保険金がもらえるわけではないのです。そのため、複数の火災保険に入っていてもほとんどのケースでは単なる保険料の無駄払いとなってしまいます。

また、火災保険において、他の火災保険に入っているか否かということは告知事項となっています。保険会社に複数の火災保険に入っていることを伝えていないと告知義務違反として契約解除される場合も考えられます。

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保険金を受け取れない場合はある?

自宅が火災で燃えてしまったという場合でも火災保険の保険金を受け取れないこともあります。どのような場合なのか紹介します。

故意、重大な過失、法令違反の場合

契約者や被保険者、またはその同居親族等の故意もしくは重大な過失または法令違反によって損害が生じた場合は免責事由にあたるので保険金が支払われません。例えば、保険金目当てで自宅に放火したというような場合は保険金が支払われません。

少しわかりにくいのが重大な過失です。重大な過失というのは、少しでも注意を払っていれば防げるのにもかかわらず漫然とそれを見過ごした場合です。ほとんど故意に近いような著しい注意欠如の状態のことをいいます。重大な過失にあたるか否かは個々のケースに即して判断されます。過去に重大な過失と判断されたケースとしては、てんぷら油の入った鍋を火にかけたままその場を離れて放置して火事に至ったというケースや危険性を認知しながら寝たばこを繰り返していて火災に至ったというようなケースがあります。

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地震、噴火またはこれらによる津波が原因の場合

地震、噴火またはこれらによる津波による損害は火災保険では補償対象外です。地震等による損害で補償を受けるには火災保険とセットで契約する地震保険が必要です。

火災保険にも地震火災費用保険金という、地震等による火災で保険の対象である建物が半焼以上となった時に保険金が支払われる費用保険金がありますが、支払われる保険金は通常、保険金額の5%(上限300万円)にすぎません。地震等に対する補償が欲しいのであれば地震保険も付帯するのが良いでしょう。

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まとめ

火災保険は「半焼だから保険金額の半分」というような保険金の支払われ方ではなく、保険金額を上限として実際の損害額が保険金として支払われます。地震保険については損害の程度によって全損~一部損の認定がされて、その分類に応じた割合の保険金が支払われます。また、火災保険に複数社はいっていても支払われる保険金は合計して実際の損害額までなので注意するようにしましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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