ふとした拍子に床に傷がついてしまったり床がへこんでしまったりすることもあると思います。火災保険は火災のときだけではなく住宅に関する損害の様々なケースで利用できますが、このようなケースでも補償を受けることはできるのでしょうか?
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火災保険で補償される場合も
模様替え中などで重いものをうっかり落として床に大きな傷がついてしまったというような場合、火災保険の「不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)」で補償を受けることができる場合があります。火災保険の対象は建物と家財に分かれますが、床の傷なので建物に対する補償に「不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)」が含まれている必要があります。
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)とは事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって建物や家財を破損・汚損させてしまった場合に保険金を受け取れるというものです。他にはよろけてガラス戸にぶつかり、ガラスを割ってしまったという場合や子供がおもちゃを投げてテレビの液晶が割れてしまった場合などで補償を受けられる可能性があります。
火災保険の不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)はどんな場合に補償される?
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なお、台風などの強風で屋根瓦がガラスを破って飛び込んできて床を損傷させたというような場合は風災補償での補償となるなど、損傷の原因によっては不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)以外での補償となる場合があります。
補償を受けられないケース
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)が火災保険の建物の補償に含まれていても補償を受けられないケースもあります。どのような場合に補償を受けられないのか代表的なケースについて紹介します。
補償内容に含まれていない場合
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)が補償内容に含まれていない場合は当然ながら補償を受けることはできません。保険料を安くするために削ることが検討される補償項目なので、補償内容に含まれているのかよく確認する必要があります。
経年劣化によるもの
不測かつ突発的な事故を対象としているので経年劣化による損傷は補償を受けることができません。長い間暮らしていくうちに床も傷ついていってしまうものですが、そうした傷は補償対象外です。なお、経年劣化の場合は不測かつ突発的な事故に限らず火災保険の補償の対象とはなりません。
単に外観上の問題で機能に支障をきたさないもの
外観上の傷にすぎず、機能に支障をきたさない擦り傷やひっかき傷などは補償の対象とはなりません。重いものを擦って傷ができた、ペットが床をひっかいたという場合は補償を受けられない可能性が高いので注意しましょう。
故意や重大な過失がある場合
故意に傷をつけたという場合や契約者や被保険者などに重大な過失がある場合には補償を受けることができません。重大な過失というのはわずかな注意さえ払っていれば予見・防止できたのにそれを漫然と見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態です。実際にどのような場合に重大な過失とされるかは個別の状況での判断となります。
損害額(修理費用)が免責金額以下の場合
免責金額というのは自己負担する必要がある金額のことです。損害額(修理費用)が免責金額以下の場合は補償を受けられません。火災保険全体の免責金額を0円にしていても不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)には個別に免責金額の設定がある場合が多いです。
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賃貸の場合は?
賃貸の場合、加入する火災保険は家財に対する補償です。床の傷は建物の方で補償されるので、上までにしてきた話は賃貸に住んでいる場合には当てはまりません。
賃貸の場合で床の傷が火災保険の補償対象となるかは借家人賠償責任保険の対象となるかがカギとなります。借家人賠償責任保険とは、借りている部屋で火災や破裂・爆裂、水ぬれなどが起こり、大家さんに対して損害賠償責任を負った時にその費用を補償する保険です。残念ながら床の傷は補償対象外となり、自分で修理費用を出さなければならないことも多いのですが、契約する保険会社によっては補償を受けられるケースもあります。契約している火災保険の補償範囲を確認の上で保険会社に補償対象となるのか確認してみるとよいでしょう。
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まとめ
床の傷は火災保険の補償対象になる場合とならない場合があります。擦り傷などの外観上の傷や経年劣化による傷などは補償対象とならないので注意しましょう。また、不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)は保険料を安くするために削ることも多い補償です。そもそも補償がついているのかも確認する必要があるでしょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。