2020年7月2日未明に関東上空で観察された火球の正体とみられる隕石の破片が千葉県習志野市のマンションで見つかりました。また、2018年9月にも愛知県小牧市で住宅の屋根に隕石がぶつかる事故が起きています。このように隕石が住宅に落下してきて住宅に損害を受けた場合、火災保険で補償対象となるのでしょうか?
「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」で補償対象となる
隕石が落ちてきて住宅に当たり、住宅に損害を受けたという場合、火災保険の「 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」で補償対象となります。この補償は名前の通り、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突などで保険の対象である建物に損害を受けたときに補償を受けられます。自分がこの補償を火災保険に付けているのか分からない場合はこの機会に一度保険証券を確認してみるとよいでしょう。保険会社によって水漏れや騒擾(そうじょう)などその他の補償とセットになっていることもあるので確認するときは注意してください。
「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」で補償されるのは、隕石ばかりでなく以下のような場合があります。
- 自動車の飛び込みで建物に損害を受けた場合
- 自動車の飛び石で窓ガラスが割れた場合
- 石やボールを投げ込まれて窓ガラスが割れた場合
- ヘリコプターから荷物が落ち、建物に損害を受けた場合
- ドローンが落下してきて雨どいが破損した場合
- 近くのビルから看板が落下して建物・家財に損害を受けた場合
なお、相手から損害賠償を受け取った場合は重複して保険金を受け取ることはできません。
落下の衝撃で窓ガラスが割れたり建物が倒壊したりした場合は?
隕石が大きいものである場合、直撃による被害ばかりではなく落下の衝撃で窓ガラスが割れたり建物が倒壊したりすることも考えられます。この場合も、隕石による衝撃と窓ガラスが割れたことや建物が倒壊したことに因果関係が認められる場合には、「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」で補償対象となります。
また、「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」で補償対象とならない場合でも、「不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)」で補償を受けられる場合もあります。これは、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって建物や家財を破損・汚損させてしまった場合に保険金を受け取れるというものです。
火災保険の不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)はどんな場合に補償される?
火災保険の補償範囲の中には不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)が含まれています。しかし、火災や風災、水災などに対する補償とは違い、この名称から具体的にどのよう ...続きを見る
自動車が被害を受けた場合は?
隕石によって住宅ではなく自動車が被害を受ける可能性もあります。その場合、火災保険ではなく自動車保険の車両保険で補償を受けることができます。車両保険には一般型と補償範囲を狭くして保険料を安くしたエコノミー型とがありますが、隕石は「飛来中または落下中の他物との衝突」に該当すると考えられるため、一般型でもエコノミー型でも補償対象となります。
一般 | エコノミー | |
---|---|---|
車やバイクとの事故 (相手が判明している場合) | ○ | ○ |
当て逃げ(相手不明) | ○ | × |
自転車との衝突・接触 | ○ | × |
電柱・建物などとの衝突や接触 (単独事故) | ○ | × |
転覆・墜落 | ○ | × |
火災・爆発・台風・洪水・高潮など | ○ | ○ |
盗難・いたずら・落書き | ○ | ○ |
飛来中または落下中の他物との衝突(飛び石など) | ○ | ○ |
地震(津波や地震起因の火災含む)・噴火 | × | × |
自動車保険は火災保険と違って保険を使うと等級が下がって保険料が上がってしまいます。「飛来中または落下中の他物との衝突」で車両保険を使った場合は1等級ダウン&事故有係数適用期間1年加算なので、それほど大きな値上がりとはなりませんが、車両保険を使った方が得なのか分からないという場合は保険会社に保険を使った場合の保険料のシミュレーションを出してもらうのもよいでしょう。
まとめ
隕石が住宅に落ちてきて被害を受けた場合は火災保険の「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」で補償を受けられます。自動車が被害を受けた場合は自動車保険に車両保険の契約があれば補償対象となります。
火災保険は火災だけでなく住まいに対する様々な損害の補償を受けることができます。今回は隕石に関する事例でしたが、もっと確率が高いと思われる水災や風災なども火災保険で補償を受けられます。自分の家が被害を受けたときに火災保険を頼りにすることができるのか、一度契約内容を確認してみましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。