火災保険の基礎知識

耐震等級3は必要?耐震等級って何?

投稿日:2022年5月26日 更新日:

住宅の「耐震等級」は、地震に対する建物の強度を表す指標の1つです。耐震等級は等級1~等級3まで3段階で表されます。数字が大きい程、耐震強度が強い住宅ということを表していますが、もちろん耐震等級が高い住宅を建築する方が建築費用は高くなります。耐震等級についと耐震等級3を取得する必要性について解説します。

耐震等級とは

耐震等級とは、地震による倒壊・崩壊に対する強さを表しており、耐震等級が高いほど地震に対して強くなります。耐震等級は1~3の3段階に分かれていて、それぞれ以下の基準となっています。

耐震等級は、2000年に改正された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で住宅性能基準制度で設けられている表示基準です。

耐震等級基準主な建築物の例
耐震等級 1建築基準法による規定と同程度
  • 数百年に一度発生する地震の地震力に対して倒壊、崩壊しない程度。
  • 数十年に一度発生する地震の地震力に対して損傷しない程度。
※数百年に一度発生する地震とは、阪神淡路大震災程度の地震を指します。
一般の住宅
耐震等級 2耐震等級1で想定する1.25倍の地震力に対抗できる病院・学校など
耐震等級 3耐震等級1で想定する1.5倍の地震力に対抗できる消防署・警察署など

耐震等級1の場合、震度6強~7クラスの地震には倒壊、崩壊しない程度なので一定の損傷を受けることは許容されています。

耐震等級2では耐震等級1の1.25倍の地震力に対抗できる強度です。長期優良住宅の認定にも耐震等級2以上が必要です。災害時の避難場所として指定されている学校・病院などの建物では耐震等級2以上が確保されるようになっています。

耐震等級3では耐震等級1の1.5倍の地震力に対抗できる強度です。災害時の救護活動の拠点となる消防署・警察署などの建物の基準にもなっています。震度7の揺れが2度襲った熊本地震でも大きな損傷が見られず、大部分が無被害でした。

耐震基準

現在、新築で建築する住宅は、新しい住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づいた耐震等級の評価基準で建築されています。建物を建築する際には、建築前に建築確認申請(建築確認)が義務付けられており、耐震基準への適合が証明されないと建築の許可はおりません。

各建築物の形や仕様で構造計算が行われ申請を行います。耐震等級1は最低限の耐震基準を満たした建築物となり、耐震等級1よりも構造計算上強度が高い建築物が耐震等級2や3になりますが、耐震等級2や3を取得するためには、専門機関に申請し認定を受ける必要があります。

耐震基準のポイント

  • 建物は軽い方が耐久性が高い
  • 耐力壁が多いほど耐久性が高い
  • 耐力壁や耐震金物の配置バランス
  • 床の耐震性能(水平構面)も耐久性に影響する

参考:国土交通省_住宅・建築物の耐震化について

耐震等級は「住宅性能評価書」に記載

耐震等級は、新築時に作成する「住宅性能評価書」に記載されます。

住宅の種類耐震等級の調べ方
<新築>注文住宅の場合住宅プランについて建築会社と打ち合わせをする段階で希望の耐震等級についての相談をし、耐震等級の認定を受ければ住宅性能評価書に記載されます。
<新築>建売住宅の場合建売住宅は販売業者によって住宅プラン、耐震等級が決められています。購入時に耐震等級を販売業者に確認しましょう。
<新築>マンションの場合デベロッパーが耐震等級を決めています。購入する前にマンション販売業者に確認しましょう。
<中古>戸建て住宅の場合中古住宅はその住宅の住宅性能評価書を確認しましょう。住宅性能評価書がない場合は耐震診断が必要です。中古住宅を購入の場合希望の場合は、不動産業者に確認しましょう。
<中古>マンションの場合中古マンションも中古の戸建て住宅同様に住宅性能評価書で確認できます。マンションの住宅性能評価書が場合の耐震診断は多額の費用が必要になります。耐震性能が分からない中古マンションは注意しましょう。

古い戸建ての住宅などで耐震リフォームを行って耐震強度を強くすることは可能です。その際に耐震等級2や3の強度で補強をすることも可能ですが、耐震等級や評点は住宅の強度の目安となるものに過ぎないため自分の住宅にとってより良い補強は信頼できるリフォームを行う業者と相談の上、決定するとよいでしょう。

耐震等級3のメリットとデメリット

耐震等級1は、震度6強~7クラスの大地震が発生しても建物の外へ避難する時間は倒壊、崩壊することがなく居住者の命を守る最低限の基準として設定されています。一般住宅やマンションは、人命を守る最低限の基準として設定されている耐震等級1で建築されていることが多いです。耐震等級2や3など耐震等級が高い住宅を建築するほど地震に強い住宅であるという事がメリットになりますが、建築コストは高くなります。

また、耐震等級3は耐震等級1や2に比べ地震に対する強度を強く建築されている住宅ですが、どれだけ耐久性の高い住宅を建築しても絶対に崩壊しない住宅を建築することはできないということは理解しておきましょう。

最近では、耐震等級3が標準の設計というハウスメーカーや工務店、建設業者なども増えてきています。しかし、施主の追加オーダーで耐震等級3の住宅を希望する場合には下記の追加費用が必要になる事を心得ておきましょう。

追加費用

【耐震等級1から3へグレードアップ】

  • 構造計算費用
  • 耐震等級3を満たすための追加資材
  • 耐震等級3を満たすための施工費用

【フラット35】Sや地震保険料での優遇措置

耐震等級3の住宅を建築すると、建築コストが高くなってもより地震に強い住宅に住めるという安心面が得られるメリットの他にも住宅ローン(【フラット35】S)や地震保険で優遇が受けられるというメリットもあります。

フラット35Sは、省エネルギー性、耐震性などを備えた質の高い住宅を取得した場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げてもらうことができる制度です。「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性(長期優良住宅)」のうち1つを満たしていれば、フラット35で住宅ローンを組む場合、フラット35Sで借入金利の引き下げ適用を受けられます。耐震等級3の住宅であれば「耐震性」に優れていると評価され、金利優遇の適用を受けられることになります。

また、耐震等級1~3の認定を受けている住宅は地震保険料の優遇があり、「耐震等級割引」の適用で地震保険料の割引で保険料が安くなります。地震保険料の「耐震級割引」 については次項で詳しく説明します。

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「耐震等級3」の取得と住宅性能評価書

新築で耐震等級3の住宅を建設したい場合は、住宅プランを相談する段階で、ハウスメーカーや工務店、建設会社に耐震等級3の住宅を希望している旨を伝えましょう。

耐震等級3の住宅を建設し、「耐震等級3」の住宅であることを証明する住宅性能評価書の発行は任意となります。新たに住宅を新築したり購入する場合は、販売業者に住宅性能評価書が欲しい旨を伝えておくとよいでしょう。住宅性能評価書は建築した住宅が耐震等級3である事を証明する書類になるため取得しておくと地震保険料の優遇を受けるための証明書として利用できます。

フラット35Sや地震保険の優遇を受けるためには書類の提出が必要になります。フラット35Sでは独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す「適合証明書」が必要になります。地震保険の地震等級割引を受けるための書類については次項で詳しく説明します。

耐震等級と地震保険料

耐震等級の認定を受けた住宅は地震保険料の割引優遇を受ける事ができます。耐震等級3の場合、地震保険料の割引率は50%ですが、保険会社に提出した書類でそれが確認できない場合は耐震等級2など低い割引率しか適用されないことがありますのでご注意ください。

適用条件

品確法に規定する評価方法基準に定める「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に定められた耐震等級を有していること

割引率

耐震等級3:50%
耐震等級2:30%
耐震等級1:10%

確認書類

  • 品確法に基づく登録住宅性能評価機関により作成された書類のうち、対象建物の耐震等級を証明した書類※1※2
    以下のような書類が対象となります。
    • 品確法に基づく建設住宅性能評価書または設計住宅性能評価書
    • 耐震性能証明書
    • 独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す「現金取得者向け新築対象住宅証明書」
    • 長期優良住宅の認定申請の際に使用する品確法に基づく登録住宅性能評価機関が作成した「技術的審査適合証」
    • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるために必要な「住宅性能証明書」
    • 品確法に基づく登録住宅性能評価機関が、マンション等の区分所有建物の共用部分全体を評価した場合に作成する「共用部分検査・評価シート」等の名称の証明書類
      など
  • 独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書※1
  • ①「認定通知書」など長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定書類※3および②「設計内容説明書」など耐震等級を確認できる書類※2

※1 以下に該当する場合には、耐震等級割引(30%)が適用されます。

  • 書類に記載された内容から、耐震等級が2または3であることは確認できるものの、耐震等級を1つに特定できない場合。ただし、登録住宅性能評価機関(「適合証明書」は適合証明検査機関または適合証明技術者)に対し対象建物の耐震等級の証明を受けるために届け出た書類で耐震等級が1つに特定できる場合は、その耐震等級割引が適用されます。

※2 以下に該当する場合には、耐震等級割引(新築は30%、増築・改築は10%)が適用されます。

  • 「技術的審査適合証」において、耐震等級が確認できない場合
  • 「認定通知書」など上記①の書類のみ提出した場合

※3 認定長期優良住宅であることが確認できる「住宅用家屋証明書」および「認定長期優良住宅建築証明書」も含みます。

その他の「地震保険料割引制度」

地震保険には耐震等級割以外にも割引制度があります。ただし重複して割引を受けることはできず、条件を満たす中で最も割引率が高いものが適用されることになります。なお、地震保険はどこの保険会社で契約しても内容は変わりません。

割引の種類適用条件割引率
建築年割引1981年6月1日以降に新築された建物であること10%
免震建築物割引住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物に該当する建物であること50%
耐震診断割引耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(1981年6月1日施行)における耐震基準を満たすこと10%
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まとめ

耐震等級は地震に対する建物の強度を表す指標の1つで耐震等級1~3までの3段階あります。これから新築住宅を建築予定だという人は、耐震等級という住宅の性能基準についても意識しておくとよいでしょう。耐震等級3など地震に対する強度をより強くした住宅を建築すると建築コストは高くなります。耐震等級を選ぶ際には、住宅を建築する地盤や周辺環境、ハザードマップなども合わせて確認し決めると安心でしょう。

耐震等級が高い住宅を取得すると住宅ローン(【フラット35】S)や地震保険の保険料優遇が受けられるなど地震に強い住宅を取得できる以外にもメリットがあります。地震保険は火災保険とセットで契約しますが、火災保険や地震保険の契約は住宅建築後になります。

耐震等級3で建築した住宅であれば、地震保険は必要ないようにも思えますが、地震による損害は住宅の倒壊や崩壊だけではありません。火災保険では、地震・噴火またはこれらによって発生した津波による損害は補償対象外です。地震による火災も火災保険の補償対象外です。様々な地震による損害リスクを考えると地震保険の備えがあると安心でしょう。

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「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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