「機械式の腕時計」は電池切れを起こすことが無く、適切なメンテナンスを行えば半永久的に使用できるため、人気が高くなっています。熟練の職人による精巧な作りをしており、「ロレックス」「オメガ」などの高級腕時計に採用されていることも多く、腕時計本体に保険を掛けておきたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
腕時計が破損した・盗難された場合に火災保険で補償される可能性がありますので、知っておくと使える知識になるのではないかと思います。
この記事では、腕時計が火災保険で適用される場合の詳細と補償されないケースについて解説します。
目次
腕時計の破損・盗難は火災保険でも適用される可能性がある
火災保険というと「火災」に関するものだと思ってしまいがちですが、腕時計の破損や盗難においても住宅の火災保険でも補償されるケースがあります。その場合、火災保険の対象として家財を含めていた場合に補償される可能性が考えられます。
どのような腕時計かによって、通常の「家財」に当てはまる場合と、「明記物件」に該当する場合があります。明記物件に該当する場合、補償を受けるためには事前に申請が必要なことがあります。通常の家財保険に含まれるか、明記物件に該当するかについては保険会社の取り決めによりますので、自身の加入する保険会社に確認しておくと良いでしょう。
では、まず家財保険と明記物件の概要について確認していきます。
火災保険の家財とは
火災保険における家財とは、補償の対象となる建物の中に収容された、生活するのに欠かせない「動かせるもの」です。住宅内だけでなく、物置などの所有物に保管しているものも含まれます。
家財の対象となるものは、テーブルや椅子、冷蔵庫にテレビなどがあげられます。
補償内容は建物に対するものと同様、火災・風災・水災などの自然災害による被害や盗難・破損によるものまで多岐に渡ります。
なお、家財を対象にする場合も契約時に「保険金額」を決める必要があります。保険金額は所有する家財をすべて失ったとして、再取得する場合に必要となる金額を基に算出するのが一般的となっています。なので、住宅を取得した後に価値の高い「家財」対象となるもの(例えば腕時計)を購入すると、設定している保険金額内に腕時計が収まらない可能性が高くなります。補償される金額の上限は、契約した保険金額となっているので、所有する腕時計が家財保険の対象となる場合は、保険金額を再確認しておくと安心です。
一般的にはロレックスやオメガなど、腕時計本体の価値が高いものは以下で紹介する「明記物件」ではなく、「家財」と見なされるケースが多いようです。保険会社によって異なる場合があるので、ご自身が契約している保険会社に確認しておきましょう。
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明記物件とは
明記物件とは、1個または1組の価額が30万円を超えるような貴金属や宝石、書画、骨董、彫刻物その他の美術品や稿本や設計書などのことをいいます。これらは家財を対象とする火災保険を契約していても、契約時に申告して保険証券へ明記していなければ保険の対象とはなりません。なお、保険会社によっては明記物件の申告を不要とし、1事故あたりの補償額の上限を定めている場合もあります。
30万円を超えていればすべて明記物件となるわけではなく、高価な家具・家電や通常使用するような楽器などは30万円を超えていても一般的には明記物件にはあたりません。腕時計についても基本的に明記物件には当てはまらないと考えられますが、宝石等で装飾されている場合は該当する場合があります。
明記物件の場合は、補償される金額を「時価」で判断します。時価とは、新価から経年劣化と使用による価値の消耗分を差し引いた金額になります。そのため、正しい価値を把握するのが難しくなる「美術品や骨董品等」の明記物件は、補償を受けるには事前に申告を行なっておく必要があるので注意しましょう。
保険を適用したい時に「実は申告していないと使えなかった」となると保険に加入する意味が無くなってしまいます。明記物件に当てはまるのか判断に悩むような場合は、保険会社に確認しておくと安心です。
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火災保険以外の場合
腕時計の破損や盗難に備えるために保険をかけておく方法としては、火災保険以外にもクレジットカードなどに付帯できる、「携行品に関する保険」があります。
携行品保険の場合は補償上限金額が小さめの場合が多く、また、免責金額(自己負担額)を設定している場合も多いので、補償が受けられたとしても腕時計が故障した場合の損害額を補償できない可能性があります。また、「携行品」に対する補償なので住宅外での損害が対象となります。
腕時計を対象とする火災保険が適用されないケース
ここまでは、腕時計が火災保険で補償される場合があることをお伝えしてきました。
続いて、腕時計を対象とする火災保険が適用されないケースの代表として、次の3つを紹介します。
- 地震による被害
- 故意的な損害
- 明記物件に該当し、申告していない
一つずつ紹介します。
地震による被害
そもそも火災保険は、地震が起因とする損害は「補償対象外」となるので補償を受けることができません。
もし地震保険に加入していたとしても、火災保険のように損害額が補償されるのではなく、全体の被害が一部損以上となった場合に保険金額の一定の割合で補償を受けられます。
なお腕時計の取り扱いが「明記物件」の場合は、地震保険に加入していたとしても補償されません。その理由は、地震保険の対象が「居住用の建物または生活用動産のみ」となっているためです。
この、地震保険に関する法律に記載されている内容から、生活に通常必要とはいえない「明記物件に該当するもの」は対象外となっています。
故意的な損害
偶発的に起こった事故を対象としているので、故意に故障させた場合は補償されません。
例えば「新しいものに交換したいので、わざと腕時計を壊す」といったことはできません。
また、経年劣化による損害においても補償されません。なので、汚れや摩耗などによるものは補償の対象外になります。
明記物件に該当し、申告していない
先ほど紹介した通り、明記物件は事前に申告しておかないと補償を受けられない場合があります。
契約内容や保険会社によっては明記物件に該当する場合もあるので、確認した上で契約しておきましょう。
まとめ
今回の記事では、腕時計の故障・盗難に備える保険として家財保険を紹介しました。高価な腕時計に傷がついたり、盗難によって損失を受けた場合は金額だけでなく精神的ダメージも大きくなります。必要な補償と保険料のバランスが大事なので、ご自身にあった契約をしましょう。
保険料を抑えるには、複数の保険会社にて相見積もりを取ることがコツになります。インズウェブの一括見積もりサービスでは、必要な補償条件を入力するだけで相見積もりを取得できますので、ぜひご利用ください。
著者情報
重松 雄太
フリーランスのライター。
統計データと実体験をもとに、難しい内容をわかりやすく解説します。
好きなものはボクシング・バイク・ケーキ。