昔と比べて集中豪雨が多くなっているような印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。それでは、印象だけではなく実際のデータとして集中豪雨は増えているのでしょうか?気象庁のアメダスによる観測データより調べてみました。
実際に集中豪雨は増えている
気象庁の観測データより、1時間降水量50mm以上の平均年間発生回数、同80mm以上の平均年間発生回数を調べてみました(いずれも全国のアメダスによる観測値を1300地点あたりに換算した値)。
1時間降水量50mm以上 | 1時間降水量80mm以上 | |
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1980年代 | 222.4回/年 | 15.8回/年 |
1990年代 | 258.2回/年 | 17.7回/年 |
2000年代 | 287.3回/年 | 20.3回/年 |
2010年代 | 327.1回/年 | 24.3回/年 |
上表より、集中豪雨の年間発生回数は昔と比べて実際に増えていることがわかります。
なお、集中豪雨という用語に降水量に関する明確な基準はありませんが、気象庁では、1時間に50mm以上80mm未満の雨を「非常に激しい雨」、80mm以上の雨を「猛烈な雨」としています。
1時間雨量 | 雨の強さ | 人の受けるイメージ | 人への影響 | 屋外の様子 |
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10~20 | やや強い雨 | ザーザーと降る | 地面からの跳ね返りで足元がぬれる | 地面一面に水たまりができる |
20~30 | 強い雨 | 土砂降り | 傘をさしていてもぬれる | |
30~50 | 激しい雨 | バケツをひっくり返したように降る | 道路が川のようになる | |
50~80 | 非常に激しい雨 | 滝のように降る (ゴーゴーと降り続く) | 傘は全く役に立たなくなる | 水しぶきであたり一面が 白っぽくなり、視界が悪くなる |
80~ | 猛烈な雨 | 息苦しくなるような圧迫感がある。 恐怖を感ずる。 |
出典:気象庁
1時間に50mmの雨は危険なの?
1時間に50mmの雨といわれてもどれくらいの危険があるのか分からない方も多いと思います。近年では1時間に100mmを超えるような雨もよく見聞きするため、50mmは大したことがないように感じるかもしれませんが、上で紹介した表の通り傘は全く役に立たなくなるような雨です。1㎡あたりでは50リットルもの雨が降ることとなります。1時間に50mm以上の雨となると、都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込む場合があり、マンホールから水が噴出することもあります。山間部では土砂災害にも警戒する必要があります。
水災には火災保険で備えよう
短期間に多くの雨が降ると洪水や冠水、土砂災害の危険性が高くなります。こうした水災で住まいが被害を受けた場合、火災保険の水災補償で補償を受けることができます。
水災補償での支払基準は以下の通りです。
- 建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
- 「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が生じた場合
地下室など床面が地盤面より下にある場合は、その床面を地盤面とします。1時間に50mm以上の雨では地下室や地下街に雨水が流れ込む可能性のある雨なので、地下室がある家の場合は特に水災補償についてよく検討しましょう。
また、大雨による土砂災害についても水災補償での補償となります。河川から離れているところに住んでいる方も、土砂災害の危険性がある地域であれば火災保険に水災補償を付けることを検討しましょう。
火災保険の水災補償とは?補償範囲と必要性
近年、台風に限らず記録的な短時間集中豪雨による洪水などの被害を耳にすることが増えてきました。洪水などによる床上浸水の被害や大雨による土砂災害の被害を補償してくれ ...続きを見る
まとめ
昔と比べて1時間に50mmを超えるような雨の回数が増えています。1時間に50mmを超える雨は災害の危険性が高く、つまりは昔と比べて水災の被害を受ける可能性が高まっています。ハザードマップなども確認しつつ、火災保険の水災補償で集中豪雨による被害に備えましょう。もし、現在の火災保険に水災補償が付いていなく、水災の危険性がある場所に住んでいる場合は火災保険一括見積もりサービスで水災補償を付けた火災保険を比較してみましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。