火災保険のうち、「風災、雹災、雪災補償」は保険会社によっては、任意で外すことも可能です。補償を外すことで、保険料が抑えられるなどメリットがありますが、万一の台風被害のときには補償されなくなります。風災補償の必要性を考えている方に向けて、風災補償でどこまで補償されるか、補償されないケースも紹介します。
目次
火災保険の‟風災”とは
火災保険では、火災、落雷、風災、水災など様々な自然災害による損害が補償されます。そのうち、火災保険でいわれる「風災」とは、台風、せん風、暴風、暴風雨、竜巻等、異常気象の中で発生した風災をいいます。風速何m以上など定義はありませんが、社会通念上、異常気象の中で発生した風災を指しています。
風災補償は必要?外せるケースもある
ほとんどの火災保険には、「風災、雹災、雪災」とセットで基本補償に含まれています。中には、補償内容を自由にカスタマイズできたり、「風災、雹災、雪災」補償を外すことで保険料を安くできる火災保険もあります。
補償を外すと、もちろん台風などで被害に遭った際には補償されなくなってしまいます。
風災は土地や時期など関係なくどこでもいつでも発生しうる自然災害です。むしろ、地球温暖化の影響で風災は近年増加しています。もしも、風災で家が大きな損害を被ったときに、修復できるくらいの貯金があれば心配ないかもしれません。そうでない場合は、風災補償で備えておくと良いでしょう。
補償される範囲
火災保険が補償する範囲は①「建物のみ」②「家財のみ」③「建物+家財」のいずれかになります。
例えば、台風で屋根が破損した場合、①「建物」もしくは③「建物+家財」を保険の対象とした火災保険である必要があります。風災補償がついていても、保険の対象が②「家財のみ」の場合、屋根の損害は補償されません。

風災補償で対象になる"建物”の事例
補償範囲が「建物のみ」もしくは「建物+家財」を対象としている場合、以下のような損害が対象になります。
- 台風により近所から飛来したパネルにより自宅の屋根とカーポートが破損した。
- 強風により自宅の網戸が外れて破損した。
- 台風の影響で屋上のフェンスが風に煽られて落下した。
- 突風と竜巻の影響で、屋根瓦・窓ガラス・外壁・物置が損傷した。
- 台風の強風で樹木が倒れ、外壁が破損した。
風災補償で対象になる"家財”の事例
補償範囲が「家財のみ」もしくは「建物+家財」を対象としている場合、以下のような損害が対象になります。
- 台風による強風の為、屋根が破損しそこから室内に水濡れし家財が汚損した。
- 暴風雨の影響で家の中が水浸しになり、床・壁・パソコンなどが濡れた。
- 台風によって窓ガラスが割れ、それに伴い室内の家電・服等も被害にあった。
- 台風の影響により、アルミサッシが割られ、そこから雨が入り家電製品や家具が水浸しになった。
- 台風で屋根瓦が飛ばされて、そこからピアノ・絨毯が水浸しになった。
風災補償は必要?建物は風災の影響を受けやすい!
建物の中でも風圧・強風の影響を受けやすいポイントを紹介します。これらのポイントは、経年劣化などの免責事項に該当しない限り、風災補償で修理費をカバーすることができます。風災が発生した後にチェックしてみるのもよいでしょう。損傷している箇所があったら、保険会社もしくは代理店に連絡しましょう。
屋根
| 屋根のカラーベスト | |
| 屋根のカラーベストにおいて、屋根の棟周りや下側端部等に風圧を受けやすくなっており、強風による影響が発生しやすくなっています。カラーベストが飛散し、めくれるように破損することがあります。 | ![]() |
| 屋根の棟板金 | |
| 端部にある棟板金は風圧を受けやすく、屋根部素材を上から固定している部分の為、強風により剥がれたり、外れたりしていることがあります。 | ![]() |
| 屋根の瓦葺 | |
屋根の瓦葺は、屋根の棟周りや下側端部等の「端の部分」が風圧を受けやすく、強風による影響が発生することが多くなっています。そのため、多くの場合、瓦も端の部分から剥がれています。 | ![]() |
雨樋
台風により物が飛んで来て雨樋を破損するケースが多いです。また、風の強さで雨樋が剥がれるケースもあります。 なお、風の強さで雨樋が損傷する場合は、風災と雨樋の破損に因果関係が認められた場合のみ、補償されます。例えば、経年劣化による部分的な変形は補償されません。 | ![]() |
外壁
| 外壁のサイディング | |
| 台風により物が飛んできて破損したり、風圧によって外壁が剥がれるケースがあります。 なお、経年劣化によるサイディングの塗装の剥がれなどは火災保険の対象外になります。 | ![]() |
| 外壁のモルタル | |
| 台風により物が飛んできて外壁が破損したり、風圧で外壁が剥がれるケースがあります。 なお、経年劣化によるひび割れや剥がれ、雨水の侵入や直射日光による蓄熱による熱収縮を原因とする浮きや剥がれは、火災保険の対象外になります。 | ![]() |
カーポート
| 台風により物が飛んで来てカーポートの屋根が破損したり、風圧でカーポートが倒れる損害が多い。 台風でカーポートが基礎部分から曲がるケースもあります。 なお、経年劣化による屋根の変色やひび割れは火災保険の対象外になります。 | ![]() |
フェンス
| 台風により物が飛んで来てフェンスが破損したり、風圧でフェンスが倒れる損害があります。 なお、経年劣化によるフェンスの変色や本体の網の剥がれは火災保険は対象外になります。 | ![]() |
火災保険がおりないケース
火災保険の風災補償で対象にならない損害は以下のとおりです。「経年劣化」「偶然性がない」「損害復旧の範囲を超える費用」については、風災補償に限らず火災保険全体にも該当することです。
なお、専門家の目で確認しなければ分からないこともある為、風災事故が発生して損害が発生した際にはまずは保険会社に相談してみるとよいでしょう。
経年劣化
損傷の原因が建物そのものの老朽化であり、風災と因果関係が認められない場合は、補償の対象外になります。
例えば?
・建物の老朽化が進んでおり、屋根材(瓦、スレート等)の先端が欠けている。
・経年劣化により、フェンスが変色、フェンス本体の鋼が剥がれている。
偶然性がない
火災保険のみならず保険事故の要件として「偶然な事故」、「偶然性」が必要になります。損害が発生することを分かっていた、十分に予見できた損害は、偶然性がなく補償の対象外になります。
例えば?
・窓が開けっ放しになっていたため、暴風雨で雨が入り込み家財が濡損した。
雨漏り
建物に風災による損傷がなく発生する雨漏りは対象外になります。建物が風災により破損してそこから雨漏りが発生した場合は対象になります。
例えば?
・老朽化した建物に台風の際の大雨がしみこんだ。
・横なぐりの雨で窓枠の隙間から雨が染み込み内装に雨漏りした。
損害復旧の範囲を超える費用
火災保険の支払対象になる費用は、事故直前の状態に復旧するために必要な費用となります。
その為、以下のような①仕様変更・アップグレードする為の費用や、②損害箇所以外の部分に発生した費用はお支払い対象になりません。
①仕様変更・アップグレード
事故の前に戻す、原状復旧するための費用が対象になりますが、アップグレードなどで費用が高額になった場合の差額は対象外になります。
例えば?
・カーポートを1台分から2台分を駐車できる仕様に変更した。
・事故前よりグレードアップしたフェンスに交換した。
②損害箇所以外の部分
損害のない箇所に発生した費用は原則対象外です。ただし、施工上部分復旧が困難な場合で、周辺箇所の工事を認定するケースもあります。
例えば?
・屋根一部が破損しているが、屋根全面を替えた。
請求時によくある質問
被害にあったカーポートや雨樋は撤去して問題ない?
復旧や片づけを急ぐ場合や、危険が生じる場合は撤去して問題ないです。なお、査定に損害確認が必要な為、撤去する前に写真撮影をしておきましょう。
自宅屋根の瓦が台風で落下して隣家の車両にキズを付けてしまった場合は対象になる?
屋根が落下した原因が台風などの自然災害であり、不可抗力によるものである為、契約者側には賠償責任は発生せず、ご自身の火災保険では隣家の車両のキズは対象外になります。
請求する際の写真はどんな写真が良い?
損害箇所が分かる部分・全体が分かる全景・建物の場合は表札を含めた建物全景の写真の用意が必要です。
請求に必要な書類
火災保険の保険金請求に必要な書類は、基本的には保険金請求書、修理見積書、損害状況の写真となります。
建物が全損になった場合には「建物登記簿謄本」、罹災の事実確認が困難な場合は市町村区役所(火災・爆発の場合は消防署)で発行される「罹災証明書」が必要になるケースもあります。
保険金請求書
保険金請求書は保険金請求者(被保険者)が自筆で内容を正しく記載のうえ、署名・捺印をしましょう。
基本的には以下の内容を記載します。
①保険金請求日
②保険金請求者:保険金請求者は原則として被害物件の所有者(=被保険者)です。
③保険金振込口座
④事故場所
⑤事故原因・損害状況
⑥建物建築年・家族構成
修理見積書
損害額を算出するために必要になります。修理見積書は修理内容が分かる、明細が記載されているものを提出しましょう。
写真
損害状況確認の為に写真が必要になります。建物の保険金請求の場合、建物全景と被害箇所を撮影しましょう。建物以外の保険金請求の場合、被害物全体と被害箇所を撮影するようにしましょう。
まとめ
風災は季節や土地柄を問わず発生し、また、地球温暖化の影響により台風などの発生頻度は今までより増えています。そのため、風災補償がついた火災保険で備えておくことをおすすめします。ほとんどの火災保険は「風災、雹災、雪災」のセットになっていますので、雹災と雪災にも備えることができます。万が一被害に遭っても、十分に復旧できるくらいの貯蓄がある場合を除いて、火災保険で十分に備えておくことをおすすめします。









