火災保険には「盗難補償」の契約があり、盗難によって建物や家財に損害を受けた場合は補償の対象となります。「盗難補償」は、空き巣などの被害に遭い現金を盗まれてしまったようなケースにおいて、盗まれた金額の補償をしてもらえるのか確認しておきましょう。
現金盗難は火災保険で補償される
空き巣などの被害で、自宅の現金が盗まれてしまっていた場合は、火災保険の「盗難補償」で「家財」も補償対象となっていれば補償を受ける事ができます。ただし、何点かポイントがありますので押さえておきましょう。
●現金の補償は「盗難補償」の契約が必要
●「盗難補償」の家財が対象である必要がある
●補償の上限は20万円
基本的に、現金・切手・印紙は上限が20万円までの補償となります。預金証書などが盗まれてしまい、現金を引き出されたような場合では、上限200万円か家財保険の保険金額のいずれか低い額が補償されることが一般的となっています。
なお、空き巣に入られる場合は窓ガラスが割られてしまったり、ドアのカギが壊されてしまったりすることがあります。そうした場合には建物で盗難補償があれば補償を受けることができます。
現金以外の宝飾品や美術品などの補償は?
現金以外の生活家財が盗まれてしまう事もあるかもしれません。また、高価な宝飾品や美術品、ブランドバックなどは狙われやすい品物と言っていいでしょう。万が一、盗難被害に遭ってしまった時のために、家具や大切な宝飾品、美術品などは、購入先や購入金額などをリスト化しまとめておくと便利です。また、それぞれの写真をリストと一緒に保管しておくとよいでしょう。火災保険の盗難補償において30万円を超える宝飾品や美術品は、一定金額までしか補償してもらえなかったり、事前に申告をしてあるもの以外補償対象とならなかったりするため、どのような補償内容となっているか契約内容を把握しておく事は大切です。
●美術品や宝飾品は事前の申告が必要なケースが多い
(1個または1組の価格が30万円を超えるもの)
●一定金額までしか補償されない事もある
●大切な家財や高級品は購入先や金額をリスト化し写真を撮っておくとよい
空き巣の被害に遭ってしまったら・・・・
空き巣の被害に遭ってしまったら、速やかに警察に連絡しましょう。警察に届け出を行い、盗まれてしまった物の確認をしましょう。保険で補償を受けるためには、盗難届の受理番号が必要になります。
万が一、通帳や印鑑、クレジットカードなどが盗まれている場合には、不正利用を防ぐために利用停止の手続きを行います。保険金請求の時効期限は3年なので、あわてず落ち着いて状況を警察に伝え、なくなってしまった物を確認しましょう。
住宅侵入の窃盗状況
平成30年に住宅侵入で窃盗被害に遭った割合は全侵入窃盗の58.4%と半数以上を占めています。大切な住宅や家財を守るためにも、戸締りなどをしっかり行うなどの普段からの習慣がとても大切になります。住宅侵入による盗難被害は減っているとはいえ、いつ我が家が狙われるか分かりません。万が一のために火災保険の盗難補償の契約があると安心です。
住宅侵入窃盗件数
侵入窃盗のうち住宅対象の窃盗には、「空き巣」「忍込み」「居空き」の侵入窃盗件数となります。
平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | |
---|---|---|---|---|---|
侵入窃盗 | 93,566 | 86,373 | 76,477 | 73,122 | 62,745 |
うち住宅対象 | 52,511 | 50,995 | 44,204 | 41,808 | 36,663 |
住宅対象侵入窃盗の占める割合 | 56.1% | 59.0% | 57.8% | 57.1% | 58.4% |
(参考:警察庁 平成30年の刑法犯に関する統計資料より)
平成30年の状況で確認すると、住宅を対象とした窃盗の侵入で多いのは、「無締り」が41.2%を占めます。「無締り」とは、無施錠のことで、半数近くが無施錠の状態の時に被害に遭っていることになります。「ガラス破り」は29.0%、「施錠開け」は4.9%と、割合的には少なく感じるかもしれません。また、被害に遭う住宅のタイプでは、一戸建住宅が被害に遭う割合の方が共同住宅より約2.4倍多いようです。玄関はもちろん、窓からの侵入も増えていますので外出時には窓の戸締りも忘れないようにしましょう。
まとめ
空き巣などの住宅侵入被害は年々減少傾向にあります。しかし、住宅を狙った被害は全侵入被害の半数以上と少なくありません。オートロックなどセキュリティ対策がされている住宅が増えてきているとはいえ、外出する時には戸締りを忘れていないか確認するようにしましょう。
万が一、空き巣等の被害で大切なものが盗まれてしまったら、火災保険の盗難補償で家財の契約があれば補償を受ける事ができます。現金は20万円が上限となり、高価な宝飾品や美術品などは一定金額までしか補償してもらえなかったり、事前に申告が必要であったりします。どのような補償内容になっているか、契約している火災保険の補償内容を確認しておきましょう。また、不法侵入されてしまう際に、窓ガラスや鍵を壊されていた場合は、火災保険の盗難補償で建物の契約があれば補償対象となります。