火災保険の基礎知識

親の家を相続したら火災保険はどうすればいい?

投稿日:2019年11月21日 更新日:

親が亡くなって相続が発生した場合、遺産分割協議やさまざまな手続きなど普段行わないことを多くする必要があって大変だと思います。その中で、親の家を相続したというときに忘れてはいけないのが火災保険です。近年、自然災害の被害が増えていますから火災保険はしっかりとしておきたいものです。親の家を相続した場合に火災保険はどうすればよいのか紹介します。

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相続したら名義変更が必要

遺産分割協議が終わり建物を相続したら、火災保険の名義変更が必要です。火災保険の名義には契約者と被保険者の2種類があります。契約者は契約の当事者で保険料を支払う人です。被保険者は火災保険の補償を受ける人で、保険の対象となる建物の所有者です。少なくとも被保険者は建物の所有者だった親の名義となっていると思いますので、それの変更手続きを行います。

火災保険の名義変更は、基本的には「火災保険契約内容変更届出書」(保険会社によって名称が異なる場合があります)を記載して保険会社に提出すれば大丈夫です。保険会社や代理店に名義変更をする旨を連絡すれば、記入が必要な書類や提出が必要な書類について案内があるでしょう。

共有名義の場合は?

相続の結果、建物が共有名義となる場合があります。その場合、契約者や被保険者はどのようにすればよいのでしょうか。

契約者の名義

建物が共有名義であっても火災保険の契約者はだれか1人を選ばなければなりません。契約者は保険料を支払う義務がありますが、契約内容の変更などを行うことができます。後にもめることがないようにしっかりと話し合って決めるようにしましょう。

被保険者の名義

被保険者は複数の人を設定することができるので、建物の所有者全員を被保険者とします。逆に建物の所有者全員を被保険者としておかないと、火災や自然災害の被害に遭った際にスムーズに保険金が支払われない可能性があります。保険金が支払われる前に契約の変更・訂正の手続きが必要となり、早く保険金を受け取りたいのになかなか受け取れないということになりかねません。

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積立型の場合は少し大変かも

積立型の火災保険の場合、満期になると満期返戻金が支払われる資産性のある保険であるため、相続財産の一部となります。そのため、積立型の火災保険の相続で名義変更を行う場合は相続人全員の承諾が必要となります。

必要な書類は保険会社によって異なりますが、掛け捨て型の場合とは異なり戸籍謄本や遺産分割協議書など複数の書類が必要となってきます。必要な手続き・書類について早めに保険会社に連絡して相談しておくようにしましょう。

名義変更前に火災や自然災害の被害に遭ったら?

相続人の間でもめた、忙しくて手続きの暇がなかったなどの理由で名義変更をしていないうちに、火災や自然災害の被害に遭ってしまうこともありえます。そうした場合でも、契約そのものに不備があるわけではないので補償を受けることはできます。ただし、実際に保険金を受け取るのに時間がかかってしまう可能性があります。保険金の支払の前に本人確認や名義変更の手続きが必要となってくるからです。被害に遭った後はできるだけ早く保険金を受け取りたいと思うでしょう。スムーズな保険金の受取のためにも、相続登記が終わったら火災保険の被保険者や契約者の名義も速やかに変更するようにしましょう。

空き家の場合は要注意!

親の家を相続しても自分はそこには住まずに空き家としておくというケースもあるのではないでしょうか。そうした場合、単に名義変更するだけでは済まない可能性があります。

親が住んでいた建物の火災保険は住居専用として使用する「住宅物件」での契約となっていると思います。しかし、空き家の場合は居住用の建物とみなされず、よりリスクが高い「一般物件」での契約となることが多いです。一般物件だと保険料も高く、地震保険にも加入できません。ただ、空き家ならば必ず一般物件での契約になるというわけではなく、普段は空き家だけど、家財が備え付けてあり定期的に宿泊しているなどの場合は住宅物件として契約できる場合があります。保険会社の判断によりますので、一度契約する保険会社に相談してみましょう。

また、保険会社によってはそもそも空き家の契約を引き受けていないこともあります。そうした場合は空き家でも引き受けてくれる他の保険会社を探して契約する必要があります。

補償内容は古くない?この機会に見直そう

親の建物にかけていた火災保険をそのまま名義変更をして契約し続ける場合、補償内容が古いものとなっている可能性があります。例えば、火災等の被害に遭って建物が全損してしまった場合、現在主流の火災保険では保険金額を上限として再建に必要な金額が保険金として支払われますが、昔の火災保険で時価額での契約となっていた場合は、そこから経年劣化や使用による損耗分を差し引かれた金額が保険金として支払われます。つまりは受け取った保険金だけでは同等の建物を再建することができないのです。

また、昔は補償内容の選択があまり自由にできず、2~3種類のあらかじめ用意された補償内容のパッケージから選ぶことくらいしかできませんでしたが、現在はもっと細かに個別の補償の有無を選択できるものもあります。明らかに不必要な補償があれば外して保険料を抑えることができます。

それ以外にも、昔は水災の危険はなかったけれども、集中豪雨の増加や都市化の副作用で洪水や土砂崩れの危険性が増して水災補償が必要となったということや、家財の補償が契約時のままになっていたけれども、実際に必要な額よりも少なかったということもあり得ます。

普段、火災保険の契約内容がどのようになっているのか確認することはあまりないかと思います。名義変更するときは契約者や被保険者がどのようになっていたか保険証券を確認することになります。その時に一緒に補償内容がどうなっているのか確認し、見直すようにしましょう。

まとめ

親の家を相続したという場合、火災保険も名義変更が必要となります。名義変更しないと被害に遭ったときにスムーズに保険金が支払われないこととなるので、忘れずに手続きを行いましょう。

また、親の代から契約していた火災保険では補償内容が古くなっている可能性もあります。特に、時価額での契約になっていないかは確認するようにしましょう。万が一のときに十分な保険金を受け取れない可能性があります。火災保険一括見積もりサービスなどを利用して、各保険会社の現在の補償内容や保険料を比較してみるのもよいかもしれません。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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