普段自転車を屋外に止めている人は多いと思います。しかし、台風のときに屋外に止めたままだと、強風により自転車が倒れて壊れたり風の強さによっては飛ばされてしまったりする恐れがあります。台風のときに自転車はどのように保管したらよいのか、もし台風の被害で壊れてしまったら火災保険を使うことはできるのか紹介します。
目次
可能であれば屋内に入れる
マンションなどでは難しいことが多いですが、可能であれば玄関内やガレージなどの屋内に避難させましょう。風で倒れて壊れてしまうという事態を防ぐことができます。電動自転車と普通の自転車があってどちらか片方しか入れられないのであれば電動自転車を優先するのがよいでしょう。電動自転車の方が重いので倒れた際の破損のリスクが大きく、また、修理代も高くつきます。
屋内に入れられない場合は?
「屋内に入れられるのであれば言われるまでもなくそうしている」という人も多いと思います。スペースがないなど自転車を屋内に入れられない場合はどのような対策をすればよいのでしょうか?
カバーを外しておく
風雨や汚れの対策として自転車にカバーをかけている人もいると思いますが、台風の強風対策としてはカバーは外しておいた方がよいです。風を受け止める面積が大きくなって倒れやすくなってしまいます。また、外したカバーは飛んでいってしまうことを防ぐためにきちんと室内にしまっておきましょう。
フェンスや柱などに固定する
自転車を固定できるものが近くにある場合は固定しておくと安心です。可能であれば前輪と後輪の2か所を固定しておきましょう。チェーンやワイヤーなどの切れにくいもので固定できるとよりよいですが、そうしたものがない場合はロープやひもでもよいので固定するようにしましょう。
サイクルブロックで固定する
サイクルブロックを用意できるのであればサイクルブロックで固定しておくのもよいでしょう。完全に固定できるわけではありませんが、約30kgのコンクリート製のブロックに固定することになるので自転車が倒れにくくなります。普段の自転車の整理にも便利です(本来は自転車整理が主目的です)。
あらかじめ倒しておく(電動自転車を除く)
あらかじめ自転車を倒しておくのも一つの手です。直立している状態から倒れて壊れてしまうことを防ぐことができます。倒しておくことで風の影響は受けづらくなりますが、風が強いとそれでも飛ばされてしまう可能性はあるので、可能であれば柱などに固定しておくとよいでしょう。なお、電動自転車は電気系統に水が入ったり水没してしまったりして故障してしまう可能性があるので避けておくのが無難でしょう。
台風で自転車が壊れてしまった場合、火災保険は使える?
できるだけ対策を行っても強風で倒れたり飛んできた物が当たったりして自転車が壊れてしまうこともあります。そうした場合、火災保険で家財も保険の対象としていて、風災補償を契約していれば火災保険で補償を受けることができる可能性があります。ただし、以下3点には注意が必要です。
免責金額の設定
自転車はかなり高価なモデルもありますが、広く購入されているものは数万円程度、電動自転車でも十数万円といったところでしょう。これくらいの金額の場合、火災保険で免責金額の設定をしている場合は保険金を受け取れない可能性があります。
火災保険の免責金額の設定方法は免責方式(エクセス方式)とフランチャイズ方式の2種類があります。免責方式は損害額から免責金額を除いた金額が保険金として支払われるという方式です。例えば、免責金額が3万円、損害額が10万円の場合は10万円から3万円を除いた7万円が保険金として支払われます。
もう一方のフランチャイズ方式は一定の損害額までは保険金が支払われず、超えた場合は全額が支払われるという方式です。基本的に20万円で設定されています。つまり、損害額が20万円未満の場合は保険金が支払われず、20万円以上となったらその損害額が全額支払われます。
損害額 | フランチャイズ方式 (免責金額:20万円) | 免責方式 (免責金額:3万円) |
---|---|---|
損害額3万円 | 保険金:0円 自己負担:3万円 | 保険金:0円 自己負担:3万円 |
損害額10万円 | 保険金:0円 自己負担:10万円 | 保険金:7万円 自己負担:3万円 |
損害額30万円 | 保険金:30万円 自己負担:0円 | 保険金:27万円 自己負担:3万円 |
最近の火災保険は基本的に免責方式での設定となっているのですが、それでも3万円や5万円などの金額で設定している場合は損害額がそれに満たずに保険金が支払われない可能性があります。どのような設定になっているのか契約内容を見直してみましょう。
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外出先で壊れた場合は対象外
外出先で発生した損害は基本的に火災保険の家財の補償の対象とはなりません。そのため、駅やスーパーなどの自転車置き場に止めた自転車が強風で倒れて壊れてしまったという場合では補償を受けることができません。台風が来ているときに自転車で出かけるということ自体が危険な行為ですので避けるようにしましょう。
バイクは対象外
自転車ではなくバイク(125cc超)が倒れて壊れたという場合は火災保険では補償を受けることができません。バイクは家財の対象として含まれないからです。バイクの損害はバイク保険の車両保険で補償を受けることになります。ただし、バイク保険では自動車保険と違って車両保険自体が用意されていなかったり、用意されていても自然災害は対象外になっていたりすることもあるので契約内容をよく確認するようにしましょう。
まとめ
台風が来る際には自転車を屋内に入れることができるのであれば転倒対策として屋内に入れるようにしましょう。屋内に入れられない場合は柱などに固定するといった対策を行うようにしましょう。もし台風の被害によって自転車が壊れてしまった場合は火災保険で補償を受けられる場合があります。家財を対象としていて風災補償の契約が必要なので契約内容を確認してみましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。