火災保険の基礎知識

2024年10月に火災保険が値上げ!見直しが必要な人は?

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2023年6月に火災保険の参考純率の引き上げが発表されましたが、実際に保険料が変わるのは2024年10月以降になります。保険料の値上げが報道されると、高くなる前に見直した方がいいと考える方も少なくありません。しかし、契約内容によっては今のまま継続した方が結果的に保険料がお得になることもあります。値上げの対策をチェックし、今の火災保険を見直した方がいいかどうかを確認してみましょう。

どのくらい値上げされる?

2024年の改定では火災保険の参考純率が平均13.0%引き上げとなります。過去10年間で参考純率が4回引き上げられている中で今回は5回目となり、過去最大の引き上げ幅となっています。なお、以下の参考純率の改定時期は実際に保険料の値上げされた時期とは異なります。

参考純率の改定時期参考純率の引き上げ率備考
2014年3.5%最長契約年数が36年から10年に
2018年5.5%
2019年4.9%
2021年10.9%最長契約年数が10年から5年に
2023年13.0%2024年10月以降に保険会社も改定

参考純率が引き上げによって保険料も13.0%値上がりする訳ではないので注意しましょう。保険料がどのくらい値上がりするかは保険会社によります。

参考純率とは?

「参考純率」とは損害保険料率算出機構が算出するもので、これをもとに各保険会社が「純保険料率」を決めています。純保険料率の算出に参考純率をどのように使用するか、また使用しないかは保険会社の判断によりますが、多くの会社では参考純率を純保険料率の目安として使用しています。

火災保険の保険料率は以下のように純保険料率と付加保険料率で構成されています。「付加保険料率」は保険会社が保険事業を行うための必要経費や代理店に支払う手数料に充てられるため、保険会社独自で決められています。

純保険料と付加保険料

参考純率をもとに多くの保険会社が純保険料率を決定していて、さらに保険会社によって付加保険料率が変わります。そのため、参考純率の引き上げによって火災保険料がどのくらい値上げするかは保険会社によって異なるのです。実際に保険料がどのくらい値上がりするのかは早く知りたいところですが、改定の2~3か月前から改定後の保険料の見積もりが取れる保険会社が多いようです。

地域によって引き上げ幅が違う?

火災保険の参考純率が13.0%引き上げとなりますが、これは全国平均の数値です。改定率は都道府県や建物の構造、築年数などによって異なります。また、水災リスクが細分化されたため、同一の都道府県でも市区町村によっても変わることになりました。

水災リスクの細分化とは?

今まで水災補償は全国どの地域でも同じ保険料率でした。大型台風や豪雨による災害が増加するようになったため、市区町村単位で水災が起こりやすい地域とそうでない地域を5段階に細分化し、水災の保険料率を変えることになったのです。
水災リスクが低く保険料が安いのが1等地で、5等地になるにつれ保険料が高くなります。保険料が最も安い「1等地」に比べて最も高い「5等地」の保険料は約1.2倍と差がつくことになります。

自分の住む地域が何等地に該当するかは損害保険料率算出機構のサイト上にある「水災等地検索」で調べることができます。例えば、同じ東京都区部の中でも墨田区や葛飾区、江戸川区、江東区などは5等地に分類されていますが、世田谷区や渋谷区、文京区、新宿区などは1等地に分類されています。

改定率の例

建物の構造別に改定率がどのように変わるのか見てみましょう。例として、保険金額が建物2000万円、家財1000万円で、築10年以上の場合の、東京都・大阪府・愛知県および改定率(水災料率細分化後)が最大・最小となった都道府県の改定率を紹介します。
地域や等地によっては参考純率が30%以上引き上げになったり、逆に引き下げになったりすることもあります。特に5等地は大きく引き上げになる傾向にあるため、値上がり前に見直す必要があるといえそうですね。

M構造

コンクリート造のマンションなど、耐火建築物の共同住宅がM構造(マンション構造)に該当します。

都道府県水災等地別の改定率
(1等地~5等地)
三大都市圏東京都+4.3% ~ +20.2%
大阪府+11.6% ~ +25.9%
愛知県+7.6% ~ +23.6%
最大宮崎県+20.4% ~ +29.9%
最小香川県+3.7% ~ +21.3%
出典:損害保険料率算出機構

T構造

鉄骨造の一戸建てなど、耐火建築物の専用住宅、準耐火建築物・省令準耐火建物がT構造(耐火構造)に該当します。

都道府県水災等地別の改定率
(1等地~5等地)
三大都市圏東京都+5.2% ~ +26.8%
大阪府+14.9% ~ +32.6%
愛知県+7.2% ~ +27.2%
最大群馬県+16.9% ~ +33.6%
最小山形県+3.7% ~ +18.4%
出典:損害保険料率算出機構

H構造

木造住宅など、M構造・T構造のいずれにも該当しない建物がH構造(非耐火構造)に該当します。

都道府県水災等地別の改定率
(1等地~5等地)
三大都市圏東京都-1.3% ~ +19.0%
大阪府+11.4% ~ +27.1%
愛知県+1.9% ~ +20.6%
最大群馬県+12.3% ~ +27.7%
最小東京都-1.3% ~ +19.0%
出典:損害保険料率算出機構

見直しが必要な人は?

お住まいの地域や建物の構造、築年数などによって火災保険の参考純率の引き上げ幅は変わるため、すべての人が火災保険料の値上げに備えて見直した方がよいという訳ではありません。
以下に当てはまる方は値上げ前に加入中の火災保険を見直すと保険料を安く抑えられる可能性があります。もし契約時に一括で保険料を支払いまだ契約期間が残っている場合でも、途中解約の際には残りの期間の保険料が返ってくるので払い過ぎてしまう心配はありません。

2015年頃に10年契約で火災保険に加入した人

火災保険の保険期間は2015年に最大36年から10年に短縮されました。この時期に10年契約をした人はそろそろ満期を迎える頃です。なお、2022年の改定時に保険期間がさらに短縮され最大5年までとなってしまったため、残念ながら再び10年契約をすることはできません。2024年10月以降に火災保険の満期を迎える場合は改定後の保険料となるため、改定が適用される前に火災保険を見直しましょう。

2024年10月以降に火災保険の満期を迎える人

保険料の値上げが実際に適用されるのは、改定が実施された以後に新規加入や更新した契約に対してです。火災保険の満期が2024年10月以降の場合は、改定が適用される10月より前に見直しをすることで、値上げの影響を遅らせることができます。

水災補償を付けている人

今の契約に水災補償を付けている人も見直した方がよいでしょう。特に水災等地が高い地域に住んでいる場合は改定率が20%~30%近く上がることもあり、保険料も大きく影響を受ける可能性があります。

値上げの対策は?

火災保険の値上げへの対策として重要なのは、今加入している火災保険を見直すことです。見直しの時にチェックしたいポイントを紹介します。

長期契約

火災保険の契約期間は1~5年の1年単位です。契約期間が長いほど割引率が高く、保険料が安くなります。また、途中で保険料の値下げが行われなければ、同じ補償内容で1年契約を5年間繰り返すよりも5年契約をした方が保険料は安くなります。

不要な補償を外す

火災保険の補償範囲は幅広く、火災だけでなく落雷や風災などの自然災害や水濡れや盗難などの日常で起きる損害も補償されます。補償内容を充実させるほど保険料も高くなってしまうため、必要な補償のみを選ぶことで保険料を抑えることができます。
例えば、マンションの高層階に住んでいて近くに土砂災害を起こす可能性がある場所がない場合は水災補償が必要ない可能性が高いです。今までの契約内容をそのまま更新し続けるのではなく、自分にとって必要な補償を今一度考え直すことをおすすめします。

免責金額を設定する

免責金額とは簡単に言えば自己負担金額です。例えば、免責金額を5万円に設定していて、20万円の損害が発生した場合、5万円を自己負担して残りの15万円が保険金として支払われます。もし損害額が免責金額より小さい場合は保険金が支払われません。
また、補償ごとに免責金額を設定できる保険会社もあります。水災のリスクは高くないものの水災補償は外したくないという場合には水災補償の免責金額を高めに設定することで保険料は安くなります。その分、万が一の時の自己負担も大きくなってしまうためバランスを考えて設定するようにしましょう。

保険会社を比べる

火災保険の保険料は保険会社によって異なります。一括見積もりサービスで複数の会社に見積もりを取ることで、保険料が安い会社と契約できるかもしれません。一度の情報の入力で複数社から火災保険の見積もりを取ることができるため、一社一社個別に見積もりを依頼する手間が省けます。

ニュース等で報道されている火災保険料の値上がりはあくまで全国平均の参考純率です。お住まいの地域や建物の構造、築年数などによって値上がり幅は異なります。また、火災保険の契約期間が5年以上など多く残っている場合は、解約して契約し直すよりもそのまま継続した方がお得な場合もありますので、事前に試算・検討するようにしましょう。

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「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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