頂きものや自分へのご褒美などで手にした高価なジュエリーや宝石、美術品やブランド品などを自宅で大切に保管している方もいるかもしれません。大切で価値のあるものだからこそ、盗難されるリスクや汚れたり壊れたりしてしまうことを想像するととても怖いですよね。この記事ではそれらの高価な物品を火災保険でどこまで守ることができるのかを解説していきます。
火災保険とは
火災保険はその名前から「火事の補償しかないのではないか?」と勘違いされることがあるのですが、火事以外の自然災害(地震の場合は地震保険の対象となる)から住宅のあらゆる物損トラブルまで幅広く守ってくれる保険です。
火災保険は主に2種類
火災保険の対象は、「建物」と「家財」に分かれています。持家の場合は”建物のみ、家財のみ、建物と家財の両方”のいずれかで契約し、賃貸の場合は”家財のみ”を契約します。今回の記事のテーマであるジュエリーや宝石、美術品やブランド品などは「家財」の補償対象に分類されます。
家財保険の補償の対象
補償の対象となるもの | 補償の対象にならないもの |
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家財保険の対象となるのはジュエリーや美術品に加え、基本的に電化製品、家具、衣類、食器など「動かすことができるもの」いわゆる”動産”です。引っ越しの時に持ち運んでくるものをイメージするとよいと思います。浴槽や調理台、ふすま、建物に取り付けてあるエアコンなどは「建物」の方での補償となります。
30万以上のモノは明記が必要?
1個または1組が30万円を超える貴金属や宝石、美術品等は火災保険を契約する際に原則として火災保険契約時にしっかりと明記しておかないと補償の対象にはならないので注意が必要です。 続きを見る
ここで注意しなければならないのが、明記は30万以上のすべての物品を対象とするのではなく、絵画や書画等の美術品や宝石や帳簿などその年代の世界情勢や価値観、美しいとされる物によって価値が変化するものを対象とします。明記物件に関する詳細は以下の記事を参考にしてください。 火災保険の明記物件とは?補償を受けるために要注意!
どれくらい補償してもらえるの?
火災保険の家財補償は、必ずしも損害金を100%支払ってもらえるわけではありません。火災保険を契約する時に「自己負担額」を設定するため、それ以外の金額を補償してもらいます。この自己負担額は「免責金額」とも呼ばれています。 続きを見る
一般的に、この自己負担額を高く設定するほど保険料が下がります。また2022年10月以降、一部保険会社ではこの自己負担額の最低額が底上げされるため注意が必要です。 2022年10月~家財補償の自己負担額が値上げ!対策は?
新品の価値の補償金額が下りる?
購入時の価値と同等の金額で補償が下りるとありがたいですよね。火災保険の保険価額は、「時価」と「新価」の2つの求め方があります。
新価 | 同じ物を新たに購入するために必要な金額(再調達価格) |
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時価 | 新価から経年劣化と使用による価値の消耗分を差し引いた金額(現在価値) |
現在の火災保険は「新価」で契約することが主流となっています。しかし、明記物件に限っては「時価」で算出されるケースがほとんどです。理由は上述した通り、明記物件はその年代の世界情勢や価値観、美しいとされる物によって価値が変化するものを対象としているためです。自身が加入している保険会社は新価と時価どちらなのかを事前に把握しておくと安心です。
被害パターン別解説
汚れたり壊れるなどの被害
予想できない日常トラブルが原因
子供がぶつかり高価な食器とグラスが割れてしまった、猫が絵画に傷をつけてしまったなど事前に予測して防ぐことができず突発的な事故によって家財を破損・汚損させてしまった場合、「不測かつ突発的な事故」で火災保険の補償を受けることができる可能性があります。
自然災害が原因
火事により骨董品が燃えてしまった、浸水によりジュエリーが汚れてしまったなどの自然災害が原因となる場合は、その原因に応じた内容で補償を受けられる可能性があります。例えば、火事の場合は「火災補償」、浸水の場合は「水災補償」などです。ただし地震被害は地震保険の範囲となるため対象外となるため注意しましょう。
経年劣化が原因
どんなに大切に扱っていても、時間とともに物は劣化していきます。長期的に使用していると指輪のダイヤが外れてしまった、ブランドバッグのチェーンが壊れてしまった、など経年劣化にトラブルが生じることがあるかもしれません。しかし、火災保険では経年劣化による被害は補償対象としていません。
紛失被害
盗難が原因
盗難が原因で大切なジュエリーや美術品などを失ってしまうことがあるかもしれません。高価なものは特に狙われやすいため被害対象となりやすい傾向にあります。この場合、火災保険の「盗難補償」を付帯しているかつ”家財”が補償対象となっていれば補償を受けられる可能性があります。
自然災害などが原因
火事で書画が燃えてしまった、高価な宝石が水災で流されてしまったなど予測不可能な自体の場合、破損・汚損時と同じく火災保険で対応する補償内容を契約していれば補償を受けられる可能性があります。火事の場合は「火災補償」、浸水の場合は「水災補償」です。ただこちらも同じく地震被害は地震保険での補償となります。
日常生活の中で紛失
どんなに大切なものでも、うっかりどこにしまったか忘れてしまい日常生活の中で紛失してしまうこともあるかもしれません。しかし単なる置忘れや紛失は保険金の支払いの対象外となっており、補償を受けることができない可能性が高いでしょう。
ワンポイント
明記物件の申請内容を見直そう
不動産取得時に営業担当者に言われるがまま火災保険に加入してしまい、明記物件など契約の詳細部分が曖昧になってしまっているケースも少なくありません。上述した通り明記物件として事前に申請をしていない場合、万が一のときに高額の被害に遭っても希望する保険金がおりなかったり最悪保険金を受け取ることすらできない可能性があります。今の保険が自分の大切なものを守ることのできる内容になっているのか早めに見直しをしておくことをおすすめします。
ライフステージの変化でも
火災保険は補償内容や保険料、サービスの改正が都度行われています。また火災保険は、家族構成や生活スタイルによって補償内容のニーズも変わるものです。家族が増えると家具や物品も増えるので火災保険で守る対象や範囲も変わってきます。今の火災保険の内容が本当に今の自分の生活や家族構成にとってベストな内容であるのかを、一度しっかりと見直してみましょう。
また見直すだけでなく、各保険会社を比較検討してみることでより自分や家族にとってベストな火災保険に切り替えることもできるかもしれません。
効率よく保険会社を探すには一括見積もりサービスが便利です。一度の情報の入力で複数社から火災保険の見積もりを取ることができます。一社一社個別に見積もりを依頼する手間が省けます。利用は無料なので、ぜひ気軽に利用してみてください。
まとめ
今回は、ジュエリーや宝石、美術品やブランド品などの高価な物品を火災保険でどこまで守ることができるのかを解説しました。基本的に30万を超える場合は明記物件として申請しなければ補償してもらえないため注意が必要です。契約時に申請が漏れていた場合や、対象物品が増えた場合は早めに火災保険の見直しを行いましょう。
また明記物件含む詳細の補償対象や保険料は保険会社によって様々なので、切り替えを視野にいれることもひとつの手でしょう。各保険会社の補償内容の確認や、より保険料が安い会社を効率よく探すには一括見積もりサービスが便利です。一度の情報の入力で複数社から火災保険を比較することができるのでぜひ活用してみてください。