火災保険は保険料を安くするために長期契約している人も多いかと思います。しかし、引っ越しをすることになったなどで火災保険を解約する必要が生じる場合もあります。そのとき、支払い済みの保険料はどうなるのでしょうか?
目次
火災保険はいつでも解約できる
10年などの長期契約をしている場合、1年契約を10回繰り返すよりも保険料が割安になっています。その場合、割引を適用しているのだから途中解約できないのではないかと心配に思う人がいるようですが、そのような心配は不要です。火災保険はいつでも解約することができます。また、契約期間の途中で解約した場合、未経過の分の保険料も返還されます。
途中解約すると残りの契約期間に応じた解約返戻金がある
前述のとおり、契約期間の途中で解約すると残りの期間に応じた保険料の返還があります。この解約返戻金は未経過保険料ともいいます。長期一括払いをした場合の解約返戻金は一括払保険料に経過年月に応じて定められた割合を乗じた金額となります。
解約返戻金(未経過保険料)=一括払保険料×返戻率(未経過料率)
返戻率は保険会社によって異なりますので、どれだけの保険料の返還があるのかは保険会社に確認してください。
地震保険も途中解約可能
火災保険だけではなく、地震保険も途中解約することができます。そして、火災保険と同じように残りの契約期間に応じた保険料が解約返戻金として返還されます。地震保険の返戻率は保険会社によって違いはなく、どの保険会社でも同一です。
経過月数 | 経過年数 | |||||||||||||
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2年契約 | 3年契約 | 4年契約 | 5年契約 | |||||||||||
0年 | 1年 | 0年 | 1年 | 2年 | 0年 | 1年 | 2年 | 3年 | 0年 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 | |
1ヶ月まで | 90 | 44 | 93 | 62 | 30 | 95 | 71 | 47 | 23 | 96 | 77 | 58 | 38 | 18 |
2ヶ月まで | 87 | 40 | 91 | 59 | 27 | 93 | 69 | 45 | 21 | 94 | 75 | 56 | 37 | 17 |
3ヶ月まで | 83 | 36 | 88 | 57 | 24 | 91 | 67 | 43 | 19 | 93 | 74 | 55 | 35 | 15 |
4ヶ月まで | 79 | 32 | 86 | 54 | 22 | 89 | 65 | 41 | 17 | 91 | 72 | 53 | 33 | 13 |
5ヶ月まで | 75 | 28 | 83 | 51 | 19 | 87 | 63 | 39 | 15 | 90 | 71 | 51 | 32 | 12 |
6ヶ月まで | 71 | 24 | 80 | 49 | 16 | 85 | 61 | 37 | 12 | 88 | 69 | 50 | 30 | 10 |
7ヶ月まで | 67 | 20 | 78 | 46 | 14 | 83 | 59 | 35 | 10 | 87 | 67 | 48 | 28 | 8 |
8ヶ月まで | 63 | 16 | 75 | 43 | 11 | 81 | 57 | 33 | 8 | 85 | 66 | 46 | 27 | 7 |
9ヶ月まで | 59 | 12 | 72 | 41 | 8 | 79 | 55 | 31 | 6 | 83 | 64 | 45 | 25 | 5 |
10ヶ月まで | 55 | 8 | 70 | 38 | 5 | 77 | 53 | 29 | 4 | 82 | 63 | 43 | 23 | 3 |
11ヶ月まで | 51 | 4 | 67 | 35 | 3 | 75 | 51 | 27 | 2 | 80 | 61 | 42 | 22 | 2 |
12ヶ月まで | 47 | 0 | 65 | 33 | 0 | 73 | 49 | 25 | 0 | 79 | 59 | 40 | 20 | 0 |
火災保険解約時の注意事項
火災保険を途中で解約する場合の注意事項を紹介します。しっかりと確認して損の無いようにしましょう。
自分から連絡する
基本的に保険会社から「解約の予定はありませんか?」などと連絡が来ることはありません。解約の連絡を忘れているとその期間だけ返ってくる保険料が減りますので忘れずに自分から連絡するようにしましょう。特に賃貸物件の場合は忘れがちなので注意してください。
契約期間が1カ月未満の場合は返金されない
契約期間の残りが1カ月未満の場合、保険料の返還がない保険会社が多いです。地震保険についても上で紹介した表の通り、残り1カ月未満の場合は返金がありません。特殊な事例ですが、契約期間が残り2か月というタイミングで解約の必要が生じた場合は解約手続きを忘れていると保険料の返還がなくなってしまいます。
住宅の任意売却に伴い解約する場合は購入者の手に渡ってから
住宅を任意売却する予定の場合、引っ越しが決まった段階で火災保険の解約手続きを進めてしまうケースがありますが、これはあまりお勧めしません。売却が思うように進まない間に災害が起きて住宅が損害を受ける可能性もあります。この場合、火災保険を解約していたら補償を受けることができず、さらに、住宅の買い手が見つからなくなったり、購入者が見つかっても販売価格を下げざるをえなかったりする事態に陥るかもしれません。最低限、補償は受けられるように火災保険の解約は売却が決まって購入者の手に渡ってからにするようにしましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。