地震保険の基礎知識

噴火による住宅や車への損害はどの保険で補償される?

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日本には111の活火山があり、そのうち50の火山は気象庁により常時監視を受けています。(出典:気象庁)ニュースなどで火山の噴火に関する報道を耳にする機会もたびたびありますが、もし住宅や車が噴火による被害を受けたらどの保険で補償を受けることができるのでしょうか?

住宅への損害は地震保険

住宅への損害が補償される保険というと火災保険が思い浮かびますが、火災保険は地震・噴火・津波による損害は補償の対象外となっています。噴火を原因とする住宅への損害は地震保険で補償されます。地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯する形で契約するので、地震や噴火に対して備えるのであれば地震保険も契約するようにしましょう。

地震保険で補償される噴火被害の例

地震保険では噴火を原因とする火災、損壊、埋没、流出によって建物や家財に損害が生じた場合に保険金を受け取ることができます。

  • 噴火による溶岩流や火砕流で建物・家財が焼失してしまった
  • 噴火による噴石や爆風などで建物・家財が損壊してしまった
  • 噴火による地滑りや土砂崩れで建物・家財が埋没した
  • 噴火による津波で建物・家財が流出してしまった

地震保険の支払基準・支払われる保険金

地震保険は火災保険のように実損額がそのまま補償されるというわけではありません。保険の対象となっている建物や家財の損害の程度に応じて、「全損」、「大半損」、「小半損」、「一部損」の分類がされ、その分類に応じて保険金額の○%という形で保険金が支払われます。

支払基準

損害の認定の基準
損害の程度建物(①または②または③)家財
①主要構造部の損害額②焼失または流失した床面積③床上浸水
全損建物の時価の50%以上建物の延床面積の70%以上損害額が家財全体の時価の80%以上
大半損建物の時価の40%以上50%未満建物の延床面積の50%以上70%未満損害額が家財全体の時価の60%以上80%未満
小半損建物の時価の20%以上40%未満建物の延床面積の20%以上50%未満損害額が家財全体の時価の30%以上60%未満
一部損建物の時価の3%以上20%未満建物が床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水を受け、損害が生じた場合で全損・大半損・小半損に至らないとき家財の地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)

※津波によって建物(「木造建物」「共同住宅を除く鉄骨造建物<鉄骨系プレハブ造建物等の戸建住宅>」)に浸水損害が生じた場合は浸水の深さ、地盤の液状化によって建物(上記と同じ)に損害が生じた場合は傾斜の角度または沈下の深さで「全損」、「大半損」、「小半損」、「一部損」を認定します。 詳しくは保険会社または代理店にご確認ください。

注意ポイント

建物における主要構造部とは、土台、柱、壁、屋根等の建築基準法施行令第1条第3号に掲げる構造耐力上主要な部分のことをいいます。生活に必要な部分であっても、塀、垣、エレベーター、給排水設備のみの損害など主要構造部に該当しない部分のみの損害は補償されません。

地震保険における損害額の査定方法について、詳しくは以下の記事をご確認ください。

地震保険の査定はどうやって行うの?損害の認定方法は?
火災保険では補償されない地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害を補償する地震保険の査定はどのようになっているのでしょうか。地震保険の補償範 ...

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支払われる保険金

上で紹介した損害の程度に応じて保険金が支払われます。一部損に満たない場合は保険金支払いの対象外です。

損害の程度支払われる保険金(建物・家財)
全損地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)
大半損地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)
一部損地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)

上の表の保険金額とは保険金の支払われる上限額を意味します。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の間で設定することになっています。ただし、地震保険の保険金額の上限は建物が5000万円、家財が1000万円です。

例えば、地震保険の建物の保険金額が1500万円で小半損の被害を受けた場合、1500万円×30%=450万円の保険金が支払われます。

車の損害は基本的に対象外

続いて、車に損害が発生した場合です。車については火災保険・地震保険の対象ではなく、自動車保険によってカバーされるものですが、自動車保険も火災保険と同様、地震・噴火・津波による損害は補償対象外となっています。ただし、一部の保険会社では地震・噴火・津波によって契約車両が全損した場合に一時金を受け取れる特約が用意されています。

地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約

自動車保険で車両保険を契約していても噴火による損害は補償対象外です。しかし、一部の保険会社で販売されている地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約を契約すれば、地震・噴火またはこれらによる津波によって契約車両が全損した場合に一時金を受け取ることができます。

全損時限定で支払われる一時金も50万円(車両保険の保険金額が50万円未満の場合はその金額)と車を再購入するには物足りない金額ですが、この特約の目的は生活に欠かせない移動手段の確保です。そのため、「代替車両購入時の頭金」または「中古車の購入費用に充当できる金額」を目安に設計されています。また、全損時限定で保険金を定額にしたことで災害発生後の混乱の中でも迅速な保険金の支払いが可能となっています。

なお、この特約は車両保険に付帯する特約なので契約するには車両保険の契約が必要です。また、多くの保険会社では一般型の車両保険に限定されていて、エコノミー型では付帯することができません。

まとめ

噴火により住宅や車に損害が発生しても火災保険や自動車保険では補償されません。住宅や家財については火災保険とともに契約できる地震保険で補償されます。車に関しては一部の保険会社で全損時に一時金が支払われる特約が用意されています。いずれも実損額がそのまま補償されるものではありませんが、被災後の生活再建の助けとなります。噴火による被害が予想される地域はこれらの契約を検討してみてはいかがでしょうか。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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