地震保険の基礎知識

地震保険の査定はどうやって行うの?損害の認定方法は?

投稿日:2021年3月3日 更新日:

火災保険では補償されない地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害を補償する地震保険の査定はどのようになっているのでしょうか。地震保険の補償範囲、査定基準について紹介します。

地震保険の建物と家財の査定基準

地震による被害被害で住宅や家財が損害を受けてしまった場合、どのような基準で補償してもらえるのでしょうか。地震保険の損害基準(補償範囲)は、下記のようになっています。「建物」と「家財」どちらも損害の補償対象とする場合はそれぞれ契約が必要です。

地震保険の補償は受けた損害の程度に応じて「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の認定を行い、その認定に沿った保険金が支払われます。損害の程度が一部損に満たない場合は保険金の支払はありません。また、各損害基準は、どこの保険会社で契約しても同じです。

地震保険の保険金額(支払われる保険金の上限)は、契約している火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で決めます。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円までが上限となっています。

認定基準<建物>

損害基準保険金支払額
全損主要構造部の損害額が建物の時価50%以上建物の地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)
焼失または流出した床面積が建物の延床面積の70%以上
大半損主要構造部の損害額が建物の時価の40%以上50%未満建物の地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)
焼失または流出した床面積が建物の延床面積の50%以上70%未満
小半損主要構造部の損害額が建物の時価の20%以上40%未満建物の地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)
焼失または流出した床面積が建物の延床面積の20%以上50%未満
一部損主要構造部の損害額が建物の時価の3%以上20%未満建物の地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)
建物が床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水を受け、損害が生じた場合で全損・大半損・小半損に至らないとき

注意ポイント

なお、建物における主要構造部とは、土台、柱、壁、屋根等の建築基準法施行令第1条第3号に掲げる構造耐力上主要な部分のことをいいます。生活に必要な部分であっても、塀、垣、エレベーター、給排水設備のみの損害など主要構造部に該当しない部分のみの損害は補償されません。

認定基準<家財>

損害基準保険金支払額
全損損害額が家財全体の時価の80%以上家財の地震保険の保険金額の100%(時価額が限度)
大半損損害額が家財全体の時価の60%以上80%未満家財の地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損損害額が家財全体の時価の30%以上60%未満家財の地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)
一部損損害額が家財全体の時価の10%以上30%未満家財の地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)

平成29年1月1日以降始期の地震保険
※地震保険に関する法律施行令の改正(平成29年1月1日施行)により、「半損」が「大半損」および「小半損」に分割されています。

建物の査定方法(ポイント)

損害の程度の認定は、保険会社が定める「地震保険損害認定基準」に従って行われます。建物の「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の判定基準は、損害基準で紹介している通り、主要構造部の損害状況で判定されます。主要構造部の損傷の大きさから割合を求めていきます。そのため、単に部屋の窓ガラスが地震の揺れによって割れた、給排水設備に不具合が生じた、主要構造部ではない門や塀などが崩れたようなケースは地震保険で補償されません。

また、地震が原因で起こった火災や津波による影響で住宅火災が起こったり、水の被害を受けたような場合には、損害を受けた建物の床面積の割合が延床面積のどれくらいなのかで「全損」「大半損」「小半損」の判定がされます。地震による津波で水の被害を受けた場合で、「全損」「大半損」「小半損」に該当しない場合でも定められた基準を超えた浸水が認められる場合は「一部損」の認定を受けます。

主要構造部の損害や火災や水による損害を自分で見極めるのは難しいです。損害認定は基本的に保険会社の鑑定人が現地調査を行うのが基本です。しかし、近年鑑定の立ち合いを行わない方法も取り入れられ始めています。損害状況の証拠写真などを添付した自己申告制度やモバイルでの申告など迅速な対応とサービスの拡大も行われています。

戸建て住宅の場合

木造住宅の主要構造部の損害認定

下記、主要構造部に着目し被害程度を調査します。工法ごとの損害認定基準表(地震保険のパンフレットや重要事項説明書に記載)から損害割合を求め、それらを合算し、全損、大半損、小半損、一部損の認定が行われます。

従来軸組工法の場合・・・軸組(小屋組、内装を含む)、基礎、屋根、外壁
枠組壁工法の場合・・・・外壁、内壁(床組を含む)、基礎、屋根

非木造(鉄筋コンクリート造、鉄骨造)住宅の主要構造部の損害認定

建物全体の沈下または傾斜の程度を調査します。沈下・傾斜が認められる場合は、損害認定基準表(地震保険のパンフレットや重要事項説明書に記載)から沈下・傾斜の損害割合を求めます。この損害割合が50%以上の場合は、全損の認定となります。

沈下・傾斜がない場合や沈下・傾斜の損害割合が50%以下の場合には、構造ごとに定めた着目点の被害程度を調査し、部分的被害による損害認定基準表(地震保険のパンフレットや重要事項説明書に記載)から部分的被害の損害割合が求められます。沈下・傾斜による損害割合と部分的被害の損害割合を合算し、全損、大半損、小半損、一部損の認定が行われます。

津波による損害認定

木造住宅(在来軸組工法、枠組壁工法)、共同住宅を除く非木造(鉄筋コンクリート造、鉄骨造)住宅は、津波による「浸水の高さ」に着目して被害程度を調査し、津波による損害の認定基準(地震保険のパンフレットや重要事項説明書に記載)を基に、全損、大半損、小半損、一部損の認定が行われます。

「地震等」を原因とする地盤液状化による損害認定

木造住宅(在来軸組工法、枠組壁工法)、共同住宅を除く非木造(鉄筋コンクリート造、鉄骨造)住宅は、地盤液状化による建物の「傾斜」または「最大沈下量」に着目して被害程度を調査し、地盤液状化による損害の認定基準(地震保険のパンフレットや重要事項説明書に記載)を基に、全損、大半損、小半損、一部損の認定が行われます。

マンションの場合

マンションに住んでいる人が地震保険に加入する場合は、「建物の専有部分」と「家財」を補償対象とします。そのため、共用部分が地震によって受けた損害はマンションの管理組合などで加入する保険で補償を受けます。

専有部分の損害認定も査定基準は戸建て住宅と変わりません。ただし、共有部分の損害認定がどのように判定されるかが基準となります。共用部分が全損の認定を受ければ専有部分も全損の認定となり、共用部分が大半損であれば専有部分も大半損となることが基本です。ただし、専有部分の壁に大きな亀裂が入っていたりと自分の部屋の損害が激しい場合は、個別に審査を受ける事も可能です。

「損害認定基準」について

保険会社が定める「損害認定基準」は、国が定める「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」とは異なります。国が定める「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」は、災害が起こった際に義援金の給付や税金の減免・免除などの申請に必要な罹災証明書の発行に必要な損害認定の基準になるものです。判断基準はそれほど異なりませんが管轄する部署や判定段階(罹災証明書の損害認定は3段階)が異なるなどの違いがあります。

家財の査定方法

家財は大きく5分類されて種類ごとに決められた構成割合によって計算され、どれくらいの損害であるかを判定します。家財の損害を品目ごとに加算していきその合計で判断します。

分類代表品目1品目最大
1食器陶器類食器・陶器置物・食料品・調理器具など1%5%
2電気器具類冷蔵庫・洗濯機・パソコン・TV・エアコンなど2.5%20%
3家具類食器棚・タンス・机・椅子・ソファーなど4%20%
4その他身の回り品カメラ・靴・鞄・スポーツ用品・レジャー用品など2.5%25%
5衣類寝具類衣類・寝具など15%30%

査定の計算方法

例:地震によって、テレビ1台とパソコン1台、冷蔵庫が壊れ、タンスが倒れて壊れてしまった場合

テレビ、パソコン、冷蔵庫(2.5%×3)+ タンス(4%×1)= 11.5%

この場合では、11.5%の損害となりますので一部損の扱いで補償対象となります。分類された家財で最大比率が決まっているため地震による揺れで食器陶器類だけの損害の場合は補償対象外となってしまいます。

地震が原因で家財に損害を受けた場合は、状態の写真を撮っておくとベストです。保険会社に補償の請求をする際の証拠にもなります。地震が落ち着いて、安全を確認し、スマートフォンなどで写真が撮れるようであれば状況を写真に残しておきましょう。

査定が不服な場合

地震保険は、損害の程度に応じて「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の認定がされます。認定後に保険会社の査定結果が不服の場合は、再審査を受ける事ができます。保険会社には、査定結果の不服申立が行える「保険金のお支払いに関する不服審査お申し出制度」があり、不服の申立を行うと社外弁護士で構成する「不服審査会」で第三者の視点から審査結果の適切性について再審査が行われます。

消費者庁も審査結果に不服がある場合は、契約した保険会社の相談窓口や日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター」に問い合わせるように呼びかけています。日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター」は、日本損害保険協会のお客様対応窓口で、専門の相談員が、損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情の受付や損害保険会社との間の紛争解決の支援(和解案の提示等)を行っています。

補償が受けられない(保険金が支払われない)場合

地震によって受けた損害であっても下記理由の場合は地震保険の補償を受ける事ができません。

保険金が支払われない主な場合

  • 地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害
  • 門・塀・垣のみに生じた損害
  • 地震等の際の紛失・盗難の場合
  • 損害の範囲が一部損にあたらない場合

一般的に地震による損害は、72時間以内に生じた2以上の地震などは1回としてみなされます。地震が発生した翌日から起算して10日を経過した後に生じた損害に対しては、因果関係がはっきりしなくなるため、補償対象外とされています。

地震によって自宅の食器棚の食器が数枚割れてしまった場合や、テレビなどの電化製品が壊れてしまった場合では、家財の損害が「一部損(家財全体の時価の10%以上となる損害)」に該当しなければ補償外です。

まとめ

地震保険は、火災保険とセットで契約します。政府と民間の保険会社が共同で運営している公共性の高い保険です。そのため、補償内容や保険料に差はありません。実際、地震による損害を受け、地震保険で損害認定を受ける場合、保険会社の鑑定人の損害認定を受ける場合の査定方法にも違いはありません。罹災証明書発行の損害認定基準となる「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」とは少し認定基準が異なりますが、大きくは変わりません。

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