地震保険の基礎知識

地震保険が高い…それでも入る必要はある?

投稿日:2021年2月10日 更新日:

保険料が高いから地震保険に入るのか迷う、続ける必要があるのか迷うという人も多くいるのではないでしょうか?地震保険に加入する必要はあるのか、加入する場合にお得に入る方法はないのかについて紹介します。

地震保険の保険料は?どこの都道府県が高い?

地震による被害で補償を受けるには地震保険の加入が必要です。しかし、地震保険の保険料は東日本大震災以後4回値上げされており、「保険料が高くて加入を迷う……」という人もいるのではないでしょうか?

どうにか安くしたいという思いはあるでしょうが、地震保険の保険料は都道府県と建物の構造、保険金額、保険期間(契約年数)、耐震等級割引などの割引率によって決まり、どこの保険会社で契約しても保険料は変わりません。都道府県ごとに保険期間が1年の場合の保険金額1000万円あたりの地震保険の保険料を紹介します。

※よくわからないという方は日本損害保険協会による地震保険特設サイトでも保険料を試算できます。

保険料=保険金額×基準料率
基準料率=基本料率×(1-割引率)×長期係数

基本料率(2022年10月1日実施の料率改定による)

イ構造:主として鉄骨・コンクリート造建物等の耐火構造
ロ構造:主として木造建物等の非耐火構造

※「耐火建築物」、「準耐火建築物」および「省令準耐火建物」等に該当する場合は「イ構造」となります。

保険金額1000万円あたりの地震保険料は以下の表の通りです。(保険期間1年につき、単位:円)

タップをすると表が開きます。

+ 北海道・東北

都道府県基本料率
イ構造ロ構造
北海道7,30011,200
青森県7,30011,200
岩手県7,30011,200
宮城県11,60019,500
秋田県7,30011,200
山形県7,30011,200
福島県11,60019,500

+ 関東

都道府県基本料率
イ構造ロ構造
茨城県23,00041,400
栃木県7,30011,200
群馬県7,30011,200
埼玉県26,50041,100
千葉県27,50041,100
東京都27,50041,100
神奈川県27,50041,100

+ 中部

都道府県基本料率
イ構造ロ構造
新潟県7,30011,200
富山県7,30011,200
石川県7,30011,200
福井県7,30011,200
山梨県11,60019,500
長野県7,30011,200
岐阜県7,30011,200
静岡県27,50041,100
愛知県11,60019,500

+ 関西

都道府県基本料率
イ構造ロ構造
三重県11,60019,500
滋賀県7,30011,200
京都府7,30011,200
大阪府11,60019,500
兵庫県7,30011,200
奈良県7,30011,200
和歌山県11,60019,500

+ 中国・四国

都道府県基本料率
イ構造ロ構造
鳥取県7,30011,200
島根県7,30011,200
岡山県7,30011,200
広島県7,30011,200
山口県7,30011,200
徳島県23,00041,100
香川県11,60019,500
愛媛県11,60019,500
高知県23,00041,100

+ 九州・沖縄

都道府県基本料率
イ構造ロ構造
福岡県7,30011,200
佐賀県7,30011,200
長崎県7,30011,200
熊本県7,30011,200
大分県7,30011,200
宮崎県11,60019,500
鹿児島県7,30011,200
沖縄県11,60019,500
都道府県基本料率
イ構造ロ構造
北海道7,300円11,200円
青森県7,300円11,200円
岩手県7,300円11,200円
宮城県11,600円19,500円
秋田県7,300円11,200円
山形県7,300円11,200円
福島県11,600円19,500円
茨城県23,000円41,400円
栃木県7,300円11,200円
群馬県7,300円11,200円
埼玉県26,500円41,100円
千葉県27,500円41,100円
東京都27,500円41,100円
神奈川県27,500円41,100円
新潟県7,300円11,200円
富山県7,300円11,200円
石川県7,300円11,200円
福井県7,300円11,200円
山梨県11,600円19,500円
長野県7,300円11,200円
岐阜県7,300円11,200円
静岡県27,500円41,100円
愛知県11,600円19,500円
三重県11,600円19,500円
都道府県基本料率
イ構造ロ構造
滋賀県7,300円11,200円
京都府7,300円11,200円
大阪府11,600円19,500円
兵庫県7,300円11,200円
奈良県7,300円11,200円
和歌山県11,600円19,500円
鳥取県7,300円11,200円
島根県7,300円11,200円
岡山県7,300円11,200円
広島県7,300円11,200円
山口県7,300円11,200円
徳島県23,000円41,100円
香川県11,600円19,500円
愛媛県11,600円19,500円
高知県23,000円41,100円
福岡県7,300円11,200円
佐賀県7,300円11,200円
長崎県7,300円11,200円
熊本県7,300円11,200円
大分県7,300円11,200円
宮崎県11,600円19,500円
鹿児島県7,300円11,200円
沖縄県11,600円19,500円

地震保険料が高い地域は?

上の表の通り、地震保険料は都道府県によって変わります。2022年10月1日以降始期での保険料で最も高いのは千葉県、東京都、神奈川県、静岡県です。各都道府県が1等地、2等地、3等地に分けられており、1等地<2等地<3等地の順に保険料が高くなります。なお、保険料の大幅な値上げを避けるために激変緩和措置が適用されており、同じ等地であっても基本料率に差異があります。

基本料率(保険期間1年、保険金額1,000万円につき)
イ構造ロ構造
1等地北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県7,300円11,200円
2等地福島県、宮城県、山梨県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、香川県、愛媛県、宮崎県、沖縄県11,600円19,500円
3等地茨城県、徳島県、高知県23,000円41,400円
埼玉県26,500円41,100円
千葉県、東京都、神奈川県、静岡県27,500円41,100円

地震保険料を安くするには?

地震保険料はどこの保険会社でも同じですが、最大5年の長期契約をすることや割引制度を活用することで保険料を安くすることができます。

長期係数

地震保険は保険期間が1年よりも2年~5年の長期契約の方が保険料が安くなります。その計算に用いる長期係数は以下の通りです(2022年10月1日実施の改定に基づく長期係数)。

保険期間長期係数
2年1.90
3年2.85
4年3.75
5年4.70

保険期間が5年の場合、4.7年分の保険料で地震保険に加入することができます。

割引制度

地震保険には耐震性能が優れている建物に対して割引が適用されます。割引は以下の4種類があり、重複しての適用はされません。

免震建築物割引

項目内容
対象免震建築物と評価された居住用建物およびこれに収容される家財
割引率50%
確認書類住宅性能評価書等

耐震等級割引

項目内容
対象耐震性能が耐震等級1~3に該当する居住用建物およびこれに収容される家財
割引率耐震等級3:50%
耐震等級2:30%
耐震等級1:10%
確認書類住宅性能評価書、耐震性能評価書等

耐震診断割引

項目内容
対象耐震診断または耐震改修により、建築基準法に定める現行耐震基準に適合していることが確認された居住用建物およびこれに収容される家財
割引率10%
確認書類耐震診断または耐震改修の結果により減税措置の適用を受けるための証明書、国土交通省の定める基準(平成18年国土交通省告示185号)に適合することを証明した書類等

建築年割引

項目内容
対象1981年6月1日(建築基準法に定める現行耐震基準実施日)以後に新築された居住用建物およびこれに収容される家財
割引率10%
確認書類建物登記簿、重要事項説明書(宅地建物取引業者が建物の売買、交換または貸借の相手方等に対して交付)等

※実際の確認書類などの具体的事項については保険会社または代理店にご確認ください。

地震保険に入っておくべき理由

保険料が高くて地震保険に入っておくべき理由について紹介します。加入を迷っている方はこれを参考にして考えてみてください。

公的支援だけでは足りない

地震などの大きな自然災害が発生したときには被災者に対して公的支援がありますが、それだけでは再建に足りずに自分で何らかの備えが必要だというのが現状です。

例えば、公的支援のメインとなるものの一つに被災者生活再建支援制度がありますが、この支援金で支払われるのは最大でも300万円です。この金額では住宅の再建築や再購入には足りないでしょう。

対象世帯

10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等の自然災害により
①住宅が「全壊」した世帯
②住宅が半壊、または住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
③災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
④住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯
⑤住宅が半壊し、相当規模の補修を行わなければ居住することが困難な世帯

基礎支援金
(住宅の被害程度)
加算支援金
(住宅の再建方法)
①全壊
②解体
③長期避難
100万円建設・購入200万円300万円
補修100万円200万円
賃借(公営住宅を除く)50万円150万円
④大規模半壊50万円建設・購入200万円250万円
補修100万円150万円
賃借(公営住宅を除く)50万円100万円
⑤中規模半壊建設・購入100万円100万円
補修50万円50万円
賃借(公営住宅を除く)25万円25万円

※世帯人数が1人の場合は、各該当欄の金額の3/4の額

実際、内閣府の防災情報のページによると、東日本大震災で全壊被害に遭った住宅の新築費用は平均して約2500万円なのに対し、公的支援として受給できるのは善意による義援金をあわせても約400万円にとどまりました。また、生活の再建のためには建物を新築するだけでなく家具や家電の購入が必要となります。東日本大震災の際には、被災者生活再建支援制度を申請した人の45.5%が家電・家具・寝具の購入など、住宅再建以外に50万円以上の費用をかけています(出典:平成24年度被災者生活再建支援法関連調査報告書)。

公的支援+義援金では約2100万円不足する

さらに、平成28年度被災者生活再建支援法調査報告書によると、平成28年の熊本地震の被災地域を対象としたアンケートでは、被災者生活再建支援制度を不満と感じた理由に対する回答(複数回答)で、76.5%が「金額が少なく必要な経費がまかなえない」と答えており、また、34.6%が「生活の再建に目途がつかない」と答えています。もちろん、「必要な経費がまかなえた」、「生活の再建に目途がついた」として満足している人も多くいますが、反対に金額が足りずに不満と感じた人も多くいるのです。

被災者生活再建支援制度を満足と感じた理由(複数回答)
必要な経費がまかなえた生活の再建に目途がついた支給されるまでの時間が早かった手続が簡単である制度の内容がわかりやすい申請できる期間が長いその他無回答回答者数
58555649044636918938311,238
47.3%44.9%39.6%36.0%29.8%15.3%3.1%2.5%100.0%
被災者生活再建支援制度を不満と感じた理由(複数回答)
金額が少なく必要な経費がまかなえない支給されるまでの時間がかかった手続が複雑である生活の再建に目途がつかない制度の内容がわかりにくい申請できる期間が短いその他無回答回答者数
53725324424320684485702
76.5%36.0%34.8%34.6%29.3%12.0%6.8%0.7%100.0%

出典:平成28年度被災者生活再建支援法調査 熊本地震の結果のみを抽出

保険会社の利潤がない

民間の保険会社が販売する一般的な保険には、保険料の中に保険会社の利潤が織り込まれています。しかし、地震保険は政府と共同で運営する公共性が高い保険であるため、保険料の中には保険会社の利潤が織り込まれていません。地震保険は利益追求のための商品ではなく、「被災者の生活の安定に寄与する」という目的のために設けられている制度なのです。

地震保険にはどれくらいの人が入っている?

地震保険に加入する人はどれくらいいるのでしょうか?損害保険料率算出機構によると、2020年度の地震保険の付帯率(当該年度に契約された火災保険(住宅物件)契約件数のうち、地震保険を付帯している件数の割合)は68.3%です。2010年度の付帯率は48.1%と50%を割っていましたが、東日本大震災を機に2011年度に53.7%と50%を超え、そこからじりじりと付帯率が上昇していっています。

地震保険の付帯率

都道府県別にみると、2020年度に地震保険付帯率が高いのは、高い順に宮城県(87.5%)、高知県(87.2%)、熊本県(84.5%)、宮崎県(83.7%)、鹿児島県(83.2%)です。逆に、低いのは、低い順に長崎県(53.6%)、沖縄県(58.4%)、北海道(60.6%)、佐賀県(60.9%)、東京都(61.7%)です。低い都道府県でも50%以上付帯されています。

付帯率が高い都道府県付帯率が低い都道府県
順位都道府県世帯加入率順位都道府県世帯加入率
1宮城県87.5%43東京都61.7%
2高知県87.2%44佐賀県60.9%
3熊本県84.5%45北海道60.6%
4宮崎県83.7%46沖縄県58.4%
5鹿児島県83.2%47長崎県53.6%

火災保険の方を見直してみよう

紹介した通り、地震保険の保険料はどこの保険会社で加入しても変わりません。しかし、地震保険は火災保険とセットで加入するものであり、火災保険の方は保険会社によって保険料が変わります。そのため、火災保険の方を見直して火災保険と地震保険の合計の保険料を安くするという考え方に切り替えるのがよいでしょう。

とはいえ、火災保険を販売する保険会社はいくつもあり、そこに1社1社見積もりを依頼していくというのは大変です。そこで便利なのが火災保険の一括見積もりサービスです。住宅の情報や希望する補償内容などを入力することで一度に複数社の火災保険の見積もりを取ることができます。各社の見積もり結果を比較して納得のいく保険料・補償内容の火災保険を探しましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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  • この記事を書いた人

インズウェブ

「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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