火災保険の基礎知識

マンションでも火災に備えよう!リスクや対策は?

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もしマンションで火災が発生したらどのように対処すればいいのでしょうか?マンションは戸建てに比べて隣の住人との距離が近く、火事が起きた時にもらい火などで損害を受けやすいことや、階数によっては避難に時間がかかるなどのリスクがあります。ここでは、マンション火災のリスクや対応方法、火災への対策を紹介します。

マンションは火災に強い?

マンションは耐火性能が高い鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(SRC造)で建てられているため、火災に強い建物となっています。火災が発生しても木造住宅に比べて建物の倒壊や延焼が起きにくいのが特徴です。

総務省消防庁の消防白書によると、令和4年に発生した住宅からの出火件数は11,411件でした。そのうち一般住宅7,427件、共同住宅3,600件、併用住宅384件で、マンションやアパート等の共同住宅での火災が住宅火災の約3割を占めていることが分かります。

出典:総務省消防庁「令和5年版 消防白書」

また、東京都消防庁のデータによると、11階以上の階から出火した火災は増減を繰り返しながらも年々増加しています。このことから、高層マンションに住んでいる場合でも火災に注意する必要があります。

出典:東京消防庁「令和5年版 火災の実態」

マンション火災のリスク

戸建ての住宅とは異なり、マンションで火災が起きた時には特有のリスクがあります。マンションに住んでいる方や購入を考えている方はあらかじめ把握しておくことが対策にもつながります。

高層階からの逃げ遅れ

特に高層マンションにはエレベーターが設置されていますが、火災が起きた時は停電や機械の故障により動かなくなる危険性があります。火災の時にはエレベーターは使わず、非常階段や避難器具を使って避難しなければなりません。特に足が不自由な方や高齢者にとっては階段での避難は時間がかかってしまいます。
また、救助や消火の際に使用されるはしご車ですが、一般的な30メートル級のはしご車で届くのは10階程度です。マンションの高層階に住む場合には、万一の際に避難しづらいリスクを知っておきましょう。

一酸化炭素中毒

火災での死亡原因として最も多いのは一酸化炭素中毒・窒息です。令和4年では37.4%と火傷を超える割合を占めています。戸建てに比べると鉄筋コンクリート造のマンションは気密性が高く、空気が室外に漏れにくいという特徴があります。普段は冷暖房の効率が良いのがメリットでもありますが、火災が起きると気密性の高さから空気が不足して一酸化炭素が発生してしまいます。空気中の一酸化炭素の濃度が高くなると頭痛やめまい等の症状を起こし、最悪の場合は死に至る可能性があります。

もらい火や消火活動による損害

マンションでは隣の住人との距離が近く、戸建てに比べると火事によるもらい火や消火活動の損害を受けるリスクが高くなっています。自分が火事を起こしていない場合でも、ベランダや廊下から隣の部屋の火が燃え移ったり、消防が鎮火する際に使用する水で部屋が水浸しになったりして損害を受けることがあります。

しかし、火元の部屋の人に大きな過失がない限り損害賠償請求はおこなえません。自己負担で元に戻さなければならないため、万が一の事態に備えるには火災保険に加入した方がよいでしょう。

火災が起きた時の対応方法は?

マンションで火災が発生した時には周りの住人への被害を抑えるためにも初期対応が大事になります。

通報する

火災を発見したら周囲に大声で知らせるか、非常ベルのボタンを押します。また、合わせて消防(119番)に通報しましょう。できるだけ早く知らせることで、消防が到着する時間を早くし、マンションの住人が避難する時間を確保します。

初期消火する

出火にすぐ気付き、火が広がっていない場合は初期消火を試みましょう。消火器がない場合は濡らしたバスタオルなどをかぶせ、空気を遮断して出火を抑えることもできます。天ぷら油や石油製品が火元の場合は、水をかけると余計に燃えてしまうため注意が必要です。
火災による被害を最小限にするためにも消火活動は大事ですが、天井まで火が届きそうな時はこれ以上消火することは難しいため、避難しましょう。

避難する

避難する時には煙による窒息や一酸化炭素中毒に気を付けなければなりません。鼻と口をマスクや湿ったタオルなどで覆い、姿勢を低くして移動します。火災の煙は天井へ溜まっていくため、煙を吸わないように低い姿勢を取りましょう。また、避難の際にはドアや窓を閉めましょう。ドアや窓を閉めることで空気を遮断し、延焼を抑えることができます。
前述のとおり、エレベーターは避難には使えないため、非常階段を使って避難します。もし廊下や階段に火の手があり使えない場合は、ベランダにある避難ハッチ(はしご)を利用しましょう。避難ハッチの蓋を開けるとはしごがあるので、そのはしごを下の階に降ろします。自分の部屋に避難ハッチがない場合は、ベランダにある隔て板を破って避難ハッチが設置してあるベランダまで移動しましょう。避難の時に妨げになるため、避難ハッチの上や隔て板の近くには普段から物を置かないようにしておくことが大事になります。また、高層階には避難ハッチがないこともあります。

マンション火災の対策方法は?

大勢の人が暮らすマンションで火災が起きてしまうと、大きな被害が起きてしまう可能性があります。火災への対策として日頃から防災意識を持つことが大切になります。

避難経路や設備を確認

火災が発生した時に慌てずに避難するために、避難経路を確認しておきましょう。火の手が上がって想定していた経路が使えないこともあるかもしれません。パニックにならないように、非常階段やベランダの避難ハッチの場所など複数の経路を確認することが大事になります。
また、マンションの延床面積や階数(3階以上)によって各階に消火器の設置義務があります。11階以上にははしご車が届かないこともあるため、スプリンクラーの設置が義務づけられています。このように、規模によって設備の設置義務があるため、自分が住んでいるマンションにどんな設備があるか、どこに設置されているかを確認することも火災への備えとなります。

消防訓練に参加

一定の規模以上のマンションでは定期的に避難訓練や消防訓練が実施されています。訓練に参加することで、避難の仕方や消火の方法を体験できます。中には消火器を使った消火訓練や、ベランダにある隔て板の破り方の体験などをおこなうこともあり、実際の体験ができるのもいざという時に役立つでしょう。
さらに消防訓練に参加することでマンションの住人同士の顔合わせや交流の場にもなります。万が一火災や災害が起きた際に協力して助け合ったり様子を気にかけたりして逃げ遅れなどを防ぐことに繋がるかもしれません。

火災報知器の設置・点検

火災報知器(火災警報器)は、建物で火災が発生した時に煙や熱を感知してアラームや警報で知らせてくれます。総務省消防庁の住宅用火災警報器Q&Aによると、火災警報器が設置されている場合は、設置されていない場合に比べて死者数や損害額が半減、焼損床面積は6割減となるそうです。火災報知器を設置することで、火元から離れた部屋や寝ている時でも気付くことができます。火災の早期発見ができれば消火や避難などの行動を取れ、火災発生時の死亡リスクや燃え広がるリスクを減らすことに繋がるのです。
経年劣化で故障や誤作動が起きることもあるため、設置するだけでなく年に1回おこなわれる消防点検を必ず受け正常に作動するかを確認しておくことも大事になります。なお、火災報知器の寿命は設置してから10年程度と言われています。火災の際に「命」を守る重要な役割を担っているため、設置から10年以上が経過したものは壊れていなくても交換を行うようにしましょう。

防炎品を使用

火災ではカーテンやじゅうたん、衣類に燃え移ることで火が燃え広がってしまいます。そこで、燃えにくい素材の防炎品を使うことが対策として有効です。防炎品は小さな火種があっても簡単には火がつかず、もし火がついても大きく燃え上がらないことが特徴となっています。万が一火災が起きても燃え広がるまでの時間がかかり、逃げる時間を確保することができます。

住宅用消火器を設置

火災の初期消火で役立つのが住宅用消火器です。マンションによっては廊下などに共用の消火器が設置されていることもありますが、室内にも置いておくことでいざという時に迅速に対応できます。目につきやすく、火の手から逃げやすい玄関などに置くのがよいと言われています。住宅用消火器には使用期限があり、多くのものは5年程度となっています。期限が過ぎたら必ず交換しましょう。

火災保険の見直し

どんなに自宅で火災対策をしていても、隣室や上下の部屋から出火してしまう可能性があります。そのうえ、自分の部屋に延焼してしまっても「失火責任法」という法律があるため、火元の部屋の人に重大な過失がない限り賠償してもらえません。また、消火活動によって室内が水濡れになった時も自己負担で対処しなければなりません。廊下やエントランスなどの共用部分は管理組合が火災保険に加入していますが、専有部分(部屋内)はそこに住んでいる人が火災保険に加入しなければ補償が受けられないのです。

分譲マンションを購入した場合

マンションを購入した場合は住宅ローンを組む時に火災保険へ加入しますが、契約した時の内容のままになっていませんか?火災保険では火災以外にも風災や水災などの自然災害の被害や、盗難や破損など日常生活における損害など幅広く補償してくれます。住宅ローンを借りた時に金融機関に勧められたまま加入している場合は、十分な補償になっているか見直しておきましょう。

賃貸マンションの場合

賃貸マンションを借りる時には「借家人賠償責任保険」が含まれた火災保険の契約を求められることがほとんどです。しかし、必ず不動産会社から提示された火災保険に入らなければいけないわけではありません。特に一人暮らしの場合では、補償額が必要以上に大きく保険料が割高になっていることもあります。そこで賃貸向けの火災保険の補償内容を見直すことで、適正な補償額で他の保険会社に加入できます。

借家人賠償責任保険とは

借家人賠償責任保険とは、借りている部屋で火災や水濡れなどが起こり、大家さんに対して損害賠償責任を負った時にその費用を補償する保険です。借りている部屋から退去する時には借りた時の部屋の状態に戻す原状回復義務があります。もし火災や消火活動による水濡れなどで部屋に損害を与えてしまった時には、部屋を元通りにするのに多額の費用がかかるため、加入する必要があるのです。

火災保険(賃貸用火災保険)
保険商品名 みんなの部屋保険 G4 新すまいRoom保険A ミニケア賃貸保険(賃貸家財総合保険) お部屋を借りるときの保険(賃貸家財総合保険) 賃貸保険ダイレク ...

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まとめ

マンションは耐火性能が高く火災に強い建物ですが、火災も多く発生しているため備えが必要です。マンション購入や居住を考える際には、マンション火災のリスクについて知っておきましょう。また、万が一火災が起きた時に備えて消防訓練に参加したり、火災保険の補償内容を見直したりすることも大事になります。インズウェブではマンションを購入した人向けに「火災保険の一括見積もりサービス」、賃貸マンションに住んでいる人向けに「賃貸用火災保険」の比較サービスを運営していますので、ぜひ利用してみてください。

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