火災保険の契約期間は現在、最大5年間です。しかし、5年後になったら補償が不要になるというわけでもないですし、住宅ローンを借りている場合は火災保険を契約していることが必要です。それでは、5年後になって満期を迎えたらどのようにしたらよいのでしょうか。
目次
5年後は更新または乗り換えをする
火災保険で5年契約を行い、5年経って満期を迎えたら同じ火災保険で更新をするか、別の保険会社の火災保険に乗り換えをします。自動車を持っている方は自動車保険に加入していると思いますが、自動車保険で満期を迎えたら更新するか乗り換えるかするのと同じです。満期が近づいたら保険会社から案内が届きますので、更新するのか乗り換えをするのか決めて手続きを行いましょう。
火災保険に自動継続特約がついている場合がありますが、その場合は解約の意思を伝えないと自動的に現在の火災保険が更新されます。現在はまだ5年後に乗り換えるかどうかは決めていないと思いますが、別の保険会社に乗り換える場合は現在の保険会社に解約の連絡が必要となることを頭の片隅にでも入れておいてください。
質権設定されている場合は火災保険の変更に金融機関の同意が必要
住宅ローンを借りるときに、金融機関から火災保険に質権設定を求められることがあります。この場合、火災保険の変更には金融機関の同意が必要となります。
火災保険の質権設定とは、住宅ローンなどの借入金の担保として、火災保険の保険金を請求する権利に対して質権を設定することをいいます。質権設定が行われた場合、住宅ローンを返し終わるまでは保険金の請求権は金融機関にあります。
なぜ質権設定を求められるのかというと、火災等で家を失ってしまった場合でも住宅ローンの貸付金を回収するためです。建物そのものに担保を設定する場合だと、火災で全焼してしまった場合は抵当権を実行して建物を競売にかけることができません。
この質権設定がされている場合、火災保険の乗り換えを行うには質権設定者である金融機関の同意が必要となります。勝手に現在の契約を解約することはできないので注意しましょう。
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火災保険を掛けないのはおすすめしない
住宅ローンを借りていないという場合は満期を迎えた後に更新したり別の保険会社に乗り換えたりせずに、火災保険を契約しないという選択肢も取ることは可能です。しかし、現在ある火災や自然災害のリスクが5年後に全くなくなってしまうということはないと思います。
火災保険を契約していない場合、被害に遭っても当然ながら保険金は支払われず、自腹で修理したり再購入したりする必要があります。こうしたリスクに自分の貯蓄で十分に対応できるのでなければ火災保険は契約した方がよいでしょう。
5年後の補償額は下がる?
火災保険の対象となるのは建物と家財ですが、建物の価値というのは減価償却によって年々減っていきます。5年後に火災保険を契約するときには現在の補償額よりも下がってしまうのでしょうか。
その答えとしては、「基本的には下がらない」です。現在の火災保険の契約では、ほとんどが再調達価額での契約、つまり、建物を再購入や再建築するのに必要な額で評価した契約となっています。昔は時価額での契約だったので、築年数が古くなると補償額も下がってしまったのですが、現在は再購入や再建築に必要な額で補償されます。
今でも時価額での契約はあるので、そうした場合は5年後の補償額は下がってしまうでしょう。また、再調達価額での契約でも、物価が下落したりして建築費用が安くなった場合には補償額が現在よりも下がることになります。しかし、そうでなければ「補償額は下がらない」と思ってよいでしょう。
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5年後は補償内容の確認・見直しを行おう!
実際のところ、満期を迎えたらそのままの契約内容で更新するという人も多いですが、他に契約内容について考える機会も少ないと思いますので、補償内容が十分なのか、逆に過剰ではないのかということの確認や見直しを行うことをおすすめします。
5年の間に子供が生まれたり親と同居するようになったりなど、家族構成が変わる場合も出てきます。そうした場合、必要な補償についても変わってくることが考えられます。子供の思いがけない行動に備えて破損・汚損や個人賠償責任特約を補償内容に追加したり、家財の増減に合わせて家財の補償額を増減させたりする必要も出てくるでしょう。
本当は必要な補償が変わった時点で火災保険の補償内容を見直すのがよいのですが、せめて満期のタイミングでは補償内容の確認と必要であれば見直しも行うようにしましょう。
まとめ
火災保険は現在最大で5年間の契約が可能です。5年後は同じ保険会社で更新するか別の保険会社に乗り換えるかします。ただし、質権設定がされている場合は自由に変更することはできないので、変更したいという場合は金融機関に相談する必要があります。
また、5年経過後は同じ保険会社で更新する場合でも補償内容の確認と必要であれば見直しも行うようにしましょう。長期契約をしているとなかなか補償内容を見直すという機会も多くありません。更新は補償内容を見直す良い機会ですので、その機会は逃さないようにしましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。