子どもが生まれた、親と同居することになった、古くて住みづらくなったなどの理由で自宅の増築やリフォームをすることがあります。自宅を増築やリフォームする場合、忘れてはいけないのが火災保険です。手続きをしないでいると、契約を解除されたり保険金が支払われなかったりする可能性もあります。
増築・リフォームしたら火災保険の手続きが必要
増築やリフォームを行うことによって、建物の評価額が変わります。そして、増築・リフォームによって増えた分、火災保険金額の増額が必要となります。これを行わないと、万が一の時に支払われる保険金が十分でなくなる可能性があります。また、増築やリフォームによって建物の構造等に変更がないかの確認も必要となります。火災保険は建物の構造によっても保険料が変わるので、構造に変更がある場合は保険料も変わります。
増築・リフォーム前に入っていた火災保険に加入し続けるのならば、その保険会社あるいは代理店に増築した旨を連絡してください。増築・リフォームを機に火災保険の契約会社を変更する場合は火災保険の一括見積もりサイトなどを利用して複数の保険会社を比較して決めるとよいでしょう。
保険会社に通知しなかったら?
耐火構造から非耐火構造に変化したなど建物の構造の変化は保険料にかかわる部分であるため、増築・リフォームしたことを保険会社に通知していなかったことが発覚した場合、通知義務違反として契約解除をされることもありえます。また、事故が起こった際に通知すべきだった事項との因果関係が認められる場合は保険金が支払われないこともあります。
別契約が必要な場合も
火災保険は基本的に一つの建物ごとに契約を結びます。一つの建物とはいっても、付属建物は同じ契約に含めることができます(「付属建物を含む」契約にしている場合)ので、増築しても多くの場合は同じ火災保険の契約の中で保険の対象に含むことができます。しかし、柱や外壁、屋根など主要構造部を共有していない離れなどを増築する場合、別の建物として火災保険を別で契約する必要がある場合があります。
母屋と離れで別々の契約になる場合、それぞれで手続きが必要になり契約の管理が煩雑になりますが、デメリットだけではありません。例えば、母屋が耐火構造(T構造)で増築した離れが非耐火構造(H構造)の場合、一つの建物としての契約になると耐火構造の母屋についても保険料の高い非耐火構造としての保険料になってしまいます。別々の建物であれば、母屋は耐火構造として安い保険料のままで済みます。
家財についても見直してみよう
家族構成が変化したため、自宅を増築・リフォームするという場合は火災保険の家財についても見直してみましょう。家族構成が変化すれば必要な家財も変わってきます。そして、必要な家財が変われば必要な家財の補償額も変化します。
例えば、火災保険契約時は夫婦二人を想定していて、その後、子供が生まれて親と同居することとなり、増築することになったという場合、夫婦二人を想定した家財の補償額では足りない可能性があります。増築・リフォームをする場合、火災保険の手続きが必要となるので、この機を逃さず、家財についても見直しをしてみましょう。
増築・リフォームの影響による雨漏りは火災保険の対象外
増築や改築、リフォームを行った後、施工不良などによって雨漏りが発生することがあります。この場合、その雨漏りの修理費用は火災保険の補償の対象外となります。台風などの自然災害を原因として発生した雨漏りについては火災保険で補償されますが、施工不良や経年劣化を原因とした雨漏りでは補償を受けられないのでご注意ください。
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まとめ
増築やリフォームをしたら建物の評価額を再計算したり、建物の構造を再確認したりする必要があるので契約している保険会社に連絡をする必要があります。増築した部分が別の建物とみなされた場合は別途火災保険に加入する必要があります。
増築・リフォームの前後で同じ火災保険に加入するのは面倒がないですが、契約内容の見直しが発生するので、他の保険会社についても検討してみるのはいかがでしょうか。特に、銀行や不動産屋で勧められた火災保険にそのまま加入している場合はこの機会に他の火災保険も見比べてみるとよいでしょう。同じ補償内容でも保険料を安くできるかもしれません。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。