帰宅したら窓ガラスが割られていて室内を物色された様子、確認してみると実際に盗まれたものがある…、そんな場面に遭遇したらとてもぞっとしますよね。そのようなときはまずは警察に連絡が必要ですが、火災保険の契約内容も確認してみましょう。契約内容によっては保険金が支払われるかもしれません。
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空き巣は一日当たり42件起きている
警察庁の令和4年1月~12月犯罪統計【確定値】によると、令和4年に住宅を対象とした侵入盗の認知件数は15,692件です。年々減ってはいますが依然として1日当たり約42件もの住宅に対する侵入盗が発生しています。
住宅対象侵入盗認知件数・検挙件数・検挙率
平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
---|---|---|---|---|---|
認知件数 | 31,505件 | 28,936件 | 21,030件 | 17,283件 | 15,692件 |
検挙件数 | 19,112件 | 17,023件 | 15,051件 | 13,155件 | 9215件 |
検挙率 | 60.7% | 58.8% | 71.6% | 76.1% | 58.7% |
火災保険で盗難被害が補償される?
火災保険に盗難の補償がついていて、盗難によって建物や家財に被害を受けた場合は補償の対象となります。建物の盗難被害といわれてもピンと来ないかもしれませんが、窓ガラスを割られた場合やドアのカギを壊された場合は建物の対象となります。
現金やブランドバックなどを盗まれた場合は家財の対象となります。気をつけておかなければならないのは、契約内容によって現金や預金証書の補償に上限があったり(現金・切手・印紙は上限20万円、預金証書を盗まれて現金を引き出された場合は上限200万円か家財保険の保険金額のいずれか低い額が一般的)、30万円を超える美術品や宝飾品は一定金額まで、あるいは契約時に申告がないものは補償なしといった制限があったりします。どのような補償内容になっているのか確認しておきましょう。また、補償金額に上限があるので、自分でできる防犯対策はしっかりと行っておきましょう。
自転車や原付自転車の盗難も対象?
自転車や原付自転車(総排気量125cc以下)が盗難された場合、家財での補償の対象となる場合があります。重要となるのは盗まれた場所です。自宅の軒下や自宅マンションの駐輪場から盗まれた場合は補償の対象となりますが、駅の駐輪場や自宅の塀の外など自宅敷地外で盗まれた場合は補償の対象外です。保険会社によって、自宅敷地内でも保管場所に制限がある場合があるので事前に確認しておくようにしましょう。
自動車やバイクは対象外
自転車や原付自転車は補償対象ですが、自動車やバイク(総排気量が125ccより大きいもの)は補償対象外です。自動車については自動車保険の車両保険、バイクについてはバイク盗難保険に入っていれば補償されます。バイクに関しては任意保険だけでなく別途盗難保険に入る必要があるので注意が必要です。
盗難被害に遭ったらまずは警察に連絡
盗難被害にあったら、保険を使うことを考えるよりもまずは警察に連絡をしましょう。保険金の請求の時効は3年なので、警察に届け出て落ち着いてからで大丈夫です。また、保険の請求には盗難届の受理番号が必要となります。そのため、先に保険会社に連絡しても結局は警察に届け出て受理番号が発行されるのを待つことになります。
また、通帳や印鑑、クレジットカードなどが盗まれていた場合は不正利用される前に利用停止の手続きを行いましょう。通帳が盗まれて現金を引き下ろされても火災保険で補償されるのは最大200万円までというような上限がついていることが多いです。
保険金を受け取った後に盗難被害に遭ったものが見つかったら?
盗難補償を利用した後に、盗難物が無事見つかることもあるかと思います。そのような場合はどうなるのでしょうか。
保険金を保険会社から受け取った場合、盗難被害に遭った物の所有権は保険会社に移ります。そのため、被害物が発見された場合は保険会社に無断で回収・処分してはいけません。しかし、愛着があるので保険金よりも盗まれたものそのものがよい、という場合は多くあると思います。そのような場合、受け取った保険金を保険会社に払い戻せば所有権は自分の元に戻ってきます。盗難物が見つかったら速やかに保険会社に連絡するようにしましょう。
インズウェブ利用者の盗難補償の選択割合
当サイト保険の窓口インズウェブの火災保険一括見積もりサービスで、見積もり請求時に盗難補償を付けることを希望した人の割合を調べました。2018年1月~12月の利用者の選択割合は、希望する人が38.6%、しない人が47.0%、検討中が14.4%です。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。