帰宅したら窓ガラスが割られていて室内を物色された様子、確認してみると実際に盗まれたものがある…、そんな場面に遭遇したらとてもぞっとしますよね。そのようなときはまずは警察に連絡が必要ですが、火災保険の契約内容も確認してみましょう。契約内容によっては保険金が支払われるかもしれません。
目次
盗難被害は火災保険で補償されます
盗難補償がついたプランの火災保険契約であれば、ご契約の建物や家財は盗難被害に遭った場合、火災保険の補償対象になります。
火災保険は、保険会社によっては補償内容が狭まったシンプルなプランから、オールリスクをカバーできるプランまであります。シンプルなプランである場合、盗難補償がついていないこともあるので、火災保険証券を確認したり、保険会社や代理店に確認したりするとよいでしょう。
また、盗難補償がついていても家財補償が付いていない場合は、例えば家財が盗難被害にあっても補償されませんので、補償内容はきちんと確認しておきましょう。
盗難補償はどこまで補償される?
火災保険契約の対象となる建物や家財が盗取、汚損き損などの損害が発生した場合、火災保険が補償されます。また、盗難補償には強盗や窃盗の未遂も含まれています。
火災保険の補償範囲は「建物」「家財」「建物+家財」の3パターンから構成されています。家財の盗難に備えておきたいという方は、家財補償の付いた火災保険に加入しましょう。
家財が屋外で盗難被害にあった場合は?
保険証券記載の収容建物を離れた家財の盗難は、火災保険の盗難補償では対象外になります。
原則として、盗難補償で対象になるのは、家財が保険証券に記載の建物に収容中の盗難事故が補償対象になります。したがって、建物外にある間に生じた盗難事故は補償対象外になります。
なお、建物の外ではあるものの、敷地内に所在する宅配物、自転車および原動機付き自転車に生じた盗難事故は補償することができます。
家財の補償範囲
火災保険における家財の範囲は、個人が日常の家庭生活用具としている家具、衣類、身の回り品、寝具類、その他家庭生活に必要な一切の物品を包括したものをいいます。
したがって、外出中に空き巣に遭い、家具や衣類などが盗難にあった際には、それらは家財に該当することから、火災保険の補償対象になります。
現金はいくらまで補償される?
そもそも現金は、火災保険の家財の補償範囲になりますので、契約している建物内で現金を盗まれた場合は、家財で補償されることとなります。なお、補償範囲が建物のみの場合は、補償されません。
注意ポイント
補償される金額については、各社で設定されている、あるいは契約時に設定した支払い限度額まで保険金の支払いとなります。なお、現金の盗難については、自己負担額の適用はありません。
例えば、現金の盗難における支払限度額が20万円の火災保険契約の場合、30万円の現金盗難に遭った際の保険金を考えてみましょう。支払われる保険金は限度額の20万円であり、また、自己負担額の適用もないので、支払われる保険金は20万円となります。
家財の事故事例
- 空き巣被害に遭い、ダイヤの時計、宝石、バッグ、洋服等根こそぎ被害にあった。
- 旅行中に泥棒に入られ、現金と貴金属を盗まれた。
- 泥棒に入られ、宝石類・照明が盗まれた。
- 泥棒に窓シャッターから侵入され、全室を荒らされ、時計やカバン等が盗まれた。
- 寝たきりの高齢の母親が在宅中に施錠箇所をこじ開けられて、泥棒が侵入し宝石や財布等が盗まれた。
- 早朝に就寝中に、引き出しの中の宝石類を盗まれた。
- 夜勤で留守中に泥棒に入られ、絵画やブランドバックが盗まれた。
建物の補償範囲
火災保険における建物の範囲は、主に土地に定着し屋根及び柱または壁を有するものをいいます。また、その建物の敷地内にある屋外設備や装置も対象になります。
したがって、ドアや窓ガラスなど建物に該当する物が、盗難によって壊された際には、火災保険の盗難補償から保険金が支払われることとなります。
建物の事故事例
- 空き巣に入られて、勝手口扉とトイレの扉が壊された。
- 扉のカギを壊されていて、空き巣未遂の被害に遭った。
- 自宅に泥棒が入り、その際にガラス窓を割られた。
- 何者かに家に侵入され玄関のオートロックが破壊された。部品交換ができないため、全て交換となった。
- 空き巣被害に遭い、洗面所の窓ガラスを割られて侵入された。窓ガラスの外側の格子も外されていた。
- 泥棒にドアノブ付近をバールでこじ開け、家に侵入された。
- 泥棒にインターフォンを壊され、玄関パネルや門扉の取っ手も盗まれた。
自転車や原付自転車は家財に該当します
自転車や原付自転車(総排気量125cc以下)が盗難された場合、補償対象となる建物内に収容中であれば、家財とみなされ補償対象になります。
しかし、建物外で利用中に盗難に遭った場合や、敷地内であっても屋外に野積みの状態で置いてある自転車は、建物内に収容されているとはいえず、家財補償の対象外となります。
自動車やバイクは対象外
総排気量が125cc以下のバイクは、家財補償の対象になります。
総排気量が125cc以下のバイクは、自転車と同じく建物内に収容中の盗難であれば、火災保険の補償の対象になります。
総排気量は125cc以上のバイクと自動車については、火災保険の対象とはならず自動車保険の補償範囲となります。バイクについてはバイク盗難保険、自動車については自動車保険の車両保険に入っていれば補償されます。
盗難被害に遭ったらまずは警察に連絡
保険金の請求には、受理番号が必要になりますので、必ず警察への届出を行い受理番号の交付を受けましょう。
保険会社への連絡は警察の対応が済んでからでも問題ないので、まずは警察に被害届出をしましょう。その被害届出をした警察署にて受理番号が交付されますので確認しておきましょう。
また、通帳や印鑑、クレジットカードなどが盗まれていた場合は不正利用される前に利用停止の手続きを行いましょう。通帳が盗まれて現金を引き下ろされても火災保険で補償されるのは最大200万円までというような上限がついていることが多いです。
保険金を受け取った後に盗難被害に遭ったものが見つかったら?
盗難補償を利用した後に、盗難物が無事見つかることもあるかと思います。そのような場合はどうなるのでしょうか。
保険金を保険会社から受け取った場合、盗難被害に遭った物の所有権は保険会社に移ります。そのため、被害物が発見された場合は保険会社に無断で回収・処分してはいけません。しかし、愛着があるので保険金よりも盗まれたものそのものがよい、という場合は多くあると思います。そのような場合、受け取った保険金を保険会社に払い戻せば所有権は自分の元に戻ってきます。盗難物が見つかったら速やかに保険会社に連絡するようにしましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。