台風や突風、竜巻などの強い風の影響で隣の家の屋根瓦が自宅にぶつかって損害を受けた場合や隣家の木が倒れて自分の屋根が壊れたような場合において、飛来物や倒れてきた物などの所有者に損害を受けた住宅の損害賠償を請求することはできるのでしょうか。自然災害における被害の補償について知っておきましょう。
目次
自然災害が原因での被害は損害賠償責任が発生しない!?
台風、せん風、爆風、暴風雨により燐家の屋根瓦が飛んで来て、自宅の外壁などが破損した場合、燐家には外壁を修理する賠償責任はありません。
自然災害による損害は不可抗力によるものであり、第三者への過失は発生しないとされているため、法律上の賠償責任はないとされています。
台風や暴風雨などの事前の襲来は、天気予報で予測することができますが、それら自然災害などによる被害の発生を避けることは、一般的には不可能と考えられているため、不可抗力として過失は発生しません。
このように破損した原因が自然災害の場合は、不可抗力によるものであり、過失を問われることはなく、原則法律上の賠償責任は発生しません。
したがって、強風で燐家の屋根瓦が飛んできて、自宅の外壁が破損しても燐家には責任はなく、賠償請求はできませんので、注意しましょう。
自然災害が原因でも損害賠償責任がある場合は?
自然災害が原因で燐家の外壁を破損させてしまっても、「過失」があった場合には、燐家の損害に対して賠償責任が生じます。
この「過失」とは、その発生しうる損害に対して予見することが可能であったにも関わらず、その発生を防止することを怠った場合などは「過失」があったと認められ賠償責任が生じることになります。
例えば、屋根瓦が以前から浮いていたり割れたままの状態であり、隣人がそのことについて指摘のうえ修理をするよう促していたにも関わらず、修理せずに放置してために台風当日になって屋根瓦が飛散したような場合は、燐家への賠償責任が生じます。
屋根瓦が飛散することとその結果隣家に損害を与えてしまうことは、予見することが可能でありその損害の結果を回避することを怠った為、「過失」があったとされるためです。
実際には1件ずつ個別に判断していくことになりますが、自然災害が原因でも、結果の発生を認識しえたのに、その損害の発生を回避することをしなかった場合には、「過失」が認められ、法律上の賠償責任がありますので、注意しましょう。
自然災害での自宅の損害は火災保険で備えよう!
自然災害が原因での住宅への被害は火災保険で補償を受ける事ができます。火災保険は火災による被害だけではなく、自然災害や事故による住宅に対する損害の多くが補償内容に入っている保険となっているためです。
台風による被害は火災保険の風災補償でカバー!
強風により保険の対象となる建物が被害を被った場合、火災保険の“風災補償”にて補償することができます。火災保険でいう強風とは、風速何m以上などいった具体的な定義はありませんが、ある程度広範囲な地域に損害が生じているような自然災害を指しています。台風の他に、暴風、暴風雨、竜巻など、異常気象の中で発生した保険事故が保険金の支払い対象となります。
なお、支払い対象となる損害は、これらの風災事故によって直接的な損害が生じた場合に限ります。
例えば、風災によって窓ガラスが破損した場合はお支払いの対象となりますが、建物自体の損害がないが、建物のすき間から雨が吹込み水濡れ損害を被ったなどは、建物に直接的な損害が発生していない為、補償の対象にはなりません。
また、直接損害のみならず、相当因果関係の認められる二次的損害も補償の対象となります。
例えば、台風により屋根が破損し、そこから雨が吹込み、その結果保険の目的物である家財に水濡れ損害が生じた場合は、屋根の損害と家財の損害に因果関係が認められる為「風災」による事故として保険金が支払われます。
-
火災保険で台風の被害も補償される?補償範囲を要確認
日本は毎年いくつかの台風が襲来し、時には大きな被害をもたらします。もし、自分の住居が台風による被害を受けてしまったとしても火災保険によって補償を受けることができ ...続きを見る
土砂崩れや倒木による被害は?
“土砂崩れや倒木”の直接の原因が“風災”である場合には保険金のお支払いとなります。
土砂崩れや倒木については、それらが発生した原因によって保険金の支払い対象になるか判断が分かれます。土砂崩れや倒木の直接の原因が台風によるものであり、その結果、それらによって直接損害が生じた場合、保険金の支払い対象となります。
例えば、以下のようなケースは風災事故として保険金の支払い対象となります。
台風により木が倒れ、自宅に損害が生じた。
暴風雨により木が倒れ、土砂崩れが発生し、自宅に損害が生じた。
なお、土砂崩れの直接の原因が豪雨である場合は、風災ではなく水災として扱われるため、火災保険に水災補償が担保されている必要があるので、注意しましょう。
地震に備えるには火災保険+地震保険(特約)がマスト
火災保険のみに加入している場合は、地震または、噴火による損害は補償されません。地震保険特約を火災保険とセットで加入することで、地震または噴火による火災、損壊、水災(津波等)等の損害がカバーされます。
地震保険を付けるかどうか迷っている方は、国土交通省の「地震ハザードマップ」にて災害リスクを確認のうえ検討するのも良いでしょう。
保険料を抑えるには?
家財のみでもOK!
地震保険は家財のみに付けられることも可能です。火災保険にプラスで地震保険も付けると保険料が上がってしいますが、家財のみの付帯であれば保険料の上がり具合を抑えることができます。
地震保険金の使い方は自由ですから、必ずしも壊れてしまった同じ家財の買い直しに使わなくてもいいわけです。例えば、家財に付けていた地震保険金で、建物の修理費用や生活費に充てたりすることも可能です。
地震による被害は、「建物」より「家財」の方が損害の程度が大きくなりやすいことから、家財の方が地震保険の認定がされやすいこともあります。地震保険を付けたいけど保険料が心配な方は、まずは家財のみつけてもよいでしょう。
-
火災保険って何?補償内容は火災だけではない!?
多くの方が住宅購入時や賃貸契約時に火災保険に加入にしていますが、火災保険の補償内容をきちんと理解できている人は少ないのではないでしょうか。火災保険は「火災」保険 ...続きを見る
まとめ
台風や突風、竜巻などによる強風では、他人のものが飛んできたことによる住宅への損害を受けてしまう場合もあります。しっかりと管理を行っていたのであれば、例えば、自分の家の屋根瓦が隣家に損害を与えてしまっても、損害賠償責任を負いません。自分の家が飛来物によって受けた損害は自分で修理するしかないのです。そのため、住宅への損害は自分で備えの準備をしておく必要があります。火災保険は、火災による被害だけではなく、住宅に関わる多くの損害を補償する事ができます。火災保険の補償内容をしっかり理解し、いつ起こるか分からない自然災害の被害に備える準備をしておくと心強いです。契約している火災保険の補償の範囲が十分かどうかは定期的に確認するようにしましょう。