住宅購入の基礎知識

火災報知器の設置は義務?点検の頻度は?

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令和2年度中の住宅火災件数(放火を除く)は9,890件で住宅火災による死者数(放火自殺者等を除く)は899人だったそうです。この10年間では、出火件数と火災による死者数はおおむね減少傾向にあるようで、火災報知器の設置も被害の減少に寄与していることが分かっています。消防庁における住宅火災における被害状況分析によると住宅用火災報知器が設置されている場合は、設置されていない場合に比べ、死者数と焼損床面積は半減し、損害額は約4割減となったとされています(総務省消防庁 住宅用火災報知器Q&A)。

火災報知器の設置による火災被害防止の効果は出ているようですが、一般住宅への設置は義務なのでしょうか?また、火災報知器の点検はどのくらいの頻度で行う必要があるのでしょう?

住宅用火災報知器の設置は義務!

オフィスやデパート、ホテル、病院などでは当たり前に設置されている火災報知器ですが、一般の住宅でも2006年6月1日から消防法の改正で火災報知器の設置が義務化されています。新築の住宅はもちろんですが、既存の住宅、集合住宅など全ての住宅に設置が必要となっています(既存の住宅に関しては、2011年まで経過措置が設けられ、現在は完全義務化されています)。

火災報知器の設置

2006年6月1日から全ての住宅で火災報知器の設置が義務付けられています!

消防法第9条の2
消防法施行令第5条の6等

火災報知器の種類

火災報知器は一般的に2種類あります。

  1. 煙を感知する「煙式」
  2. 熱を感知する「熱式」

1.の方がより早期に火災を感知することができるため、煙を感知する煙式タイプの火災報知器が取り付けられていることが多いようです。火災報知器はホームセンターや家電量販店などで販売されており、メーカーや種類、機能によって価格は異なりますが、大体3,000円~10,000円程度で販売されています。火災報知器の設置が義務となってから新築住宅では建築の際に設置しますが、既存の住宅の場合は自分で設置する必要があります。

火災報知器の設置場所

住宅用の火災報知器の設置場所は、消防法で「寝室」「寝室がある階段の上部」に設置することとされています。さらに、各市町村の条例によってその他の場所への設置が定められていたりと異なるため自分の住む市町村で特別に定められている条例などがないか確認しておきましょう。

寝室に設置する理由

住宅火災による死者は「逃げ遅れ」が原因であることが全体の約6割を占めているという状況があります。逃げ遅れによる死亡火災の状況をみると就寝時間帯であることが多く就寝時間の火事が昼間に比べて命を落とすリスクが高いことから寝室への設置とされています。

火災報知器の取り付けは煙や熱を感知しやすい場所に取り付けます。

※天井面に取り付ける場合、火災の感知の妨げになるため照明器具などの熱源からは離して設置しましょう(熱式)。また、エアコンなどの空気吹き出し口から火災報知器までは1.5m以上離して設置します(煙式)。

火災報知器の設置に適さない場所

  • すす(煤)や蒸気が発生する石油ストーブなどの近く
  • 水がかかる場所や常時温度や湿度が高い浴室など
  • 換気扇の近くなど空気の流れが激しい場所
  • ガレージ、キッチンなど
  • ほこりや虫の多い場所

火災報知器の未設置に罰則はある?

火災報知器は各住宅に設置することが義務となっていますが、設置したかどうかといった報告の義務はなく、特別設置していなくても罰則の規定はありません。現在は、全ての住宅に設置が義務付けられている状況ですが、設置率は100%に至っていないのが現状です。火災報知器は自分自身や家族の身の安全を守るためのものであり、近隣住民への被害防止にもなるものですから、必ず設置するようにしましょう。

火災報知器の設置

火災報知器の設置が義務となっていますが、設置に関する報告義務はなく罰則もありません。

火災報知器の設置率は83.1%

総務省消防庁の住宅用火災警報器の設置率等の調査結果(令和3年6月1日時点)によると住宅用火災報知器の設置率は83.1%で条例適合率は68.0%だそうです。設置率が一番高かった都道府県では、福井県の96.3%、設置が一番進んでいないのは沖縄県で60.0%という結果です。

新築の住宅では建築時に設置されているでしょうから、既存の住宅で取り付けが進んでいないケースが考えられます。火災報知器が未設置の理由としては、「取付が面倒」「費用負担が大きい」「義務化を知らない」といった意見などがあるようです。中古住宅を取得したり、引っ越しを行った場合には、火災報知器の設置についても確認しましょう。

火災報知器の点検はどのくらいでする?

住宅用の火災報知器を設置していても、万が一の時に機能しなければ意味がありません。マンションなどの集合住宅に取り付けられている自動火災報知器は、一般的に火災が起きた際に管理室などに設置されている火災受信機にて一括監視する設備になっており、管理組合が決まった頻度で業者に点検(大体6か月に1回)の委託を行うことが多いですが、一般の住宅では自分で行う必要があります。「いざ」という時に火災報知器の役割をしっかり果たすように定期的な点検と動作確認は行うように習慣としておきましょう。

火災報知器の設置

1年に一度程度は点検を行うようにしましょう。また、ほこりや汚れの防止に定期的な清掃を心掛けるとよいでしょう。

住宅用火災報知器の点検方法

本体の点検用のボタンやひもを操作し、正常に作動するか動作確認を行います。反応がない場合は電池切れや部品の故障などの可能性があります。新しい住宅用火災報知器とできるだけ早く交換してしまいましょう。

チェックポイント

  • 電池がセットされているか確認
  • 電池切れになっていないか確認
  • 綿ぼこりや糸くずなど汚れていないか確認
  • 部品の劣化や故障がないか確認

住宅用火災報知器の寿命は?

1年に一回程度の頻度で点検を行いますが、住宅用火災報知器の寿命は設置してから10年程度と言われています。火災の際に「命」を守る重要な役割を担う火災報知器ですから、設置から10年以上が経過したものは壊れていなくても交換を行うようにしましょう。

設置してから10年以上経過する住宅用火災報知器は新しいものと交換しましょう

悪質な訪問販売の注意!

火災報知器は2006年の消防法改正で住宅への設置が義務付けられましたが、既存の住宅では2011年まで経過措置が設けられ、現在では既存の住宅でも設置していなければいけないことになっています。既存の住宅においては多数の悪質業者による訪問販売や詐欺等の報告がされており、特に築年数が古い住宅が狙われやすいという報告もあります。独立行政法人 国民生活センター一般社団法人 日本火災報知器工業会などでも注意喚起がされています。

火災報知器販売業者の注意ポイント

  • 住宅用火災警報器は何十万円もしない
    住宅用火災警報器は、家電量販店やホームセンター、電気器具販売店や防災設備取扱い店で大体3,000円~10,000円程度で販売されており、自分で取り付けることができます。
  • 消防職員の販売は行っていません
    市の職員や消防職員を名乗ってやってくる悪質販売業者の報告がされています。市の職員や消防職員が住宅用の火災報知器の販売を行ったり、特定の業者に販売の依頼を行っていることはありません。
  • しつこい勧誘ははっきり断る
    強引な営業やしつこい勧誘に対しては「契約しません。」とはっきりと断りましょう。不審な業者を安易に家に入れないように気を付けましょう。
  • 契約に関する書類は必ず保管しておきましょう
    契約や購入をした場合は、その後も連絡がとれるよう業者の連絡先を確認し、必ず契約書、納品書及び領収書を保存しておきましょう。
  • 悪質な業者と契約してしまったら・・・・
    悪質な業者と契約してしまっても、状況によってはクーリング・オフ制度を活用し契約の解除等を行うことができます。

参考:東京消防庁 「悪質な訪問販売等に注意!!」より

火災保険での備えも忘れずに!

住宅への火災報知器の設置は、住宅火災による死亡者の原因が就寝時の逃げ遅れであることが多いということから設置が義務付けられたものでした。住宅火災から身を守る対策として火災報知器は重要な役割を担っており、設置が義務となってから住宅火災による死者数の減少という効果も出ています。まず、火災報知器が火災から人命を守る役割として役立っている点について火災報知器は住宅設備になくてはならないものであると言えます。さらに、住宅火災で住宅が全焼してしまったり、損害を受けてしまったら、火災後の生活再建についても備えておくことが大切になります。それには、火災保険で備えておくことが重要です。

少し古いデータですが、火災保険の加入率は、内閣府の試算によると、2015年度末において持家世帯の火災保険の加入割合(建物のみ)は61%、火災共済の加入割合は33%、重複を除いた火災保険・共済の加入割合は82%です。住宅用火災報知器の設置率は83.1%、火災保険の加入率は82%です。火災から命を守り、いち早く元の生活に戻るためには住宅への火災報知器の設置と火災保険での備えはセットで必要です。自分自身や家族の安全のために、全世帯でどちらも100%となるように自分の家庭の備えに漏れがないか確認しておきましょう。

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「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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