火災保険の保険期間(契約期間)は最長5年です。火災保険は1年契約で毎年更新していく場合と5年契約する場合とではどちらがお得になるのでしょうか?1年契約と長期契約のそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
2022年10月より最長5年に
火災保険の保険期間は最長5年です。以前は最長10年だったのですが、2022年10月より最長5年となりました。5年超の契約が廃止された理由としては、以前と比べて自然災害が多く発生するようになり、保険会社が長期の収支予測をすることが困難になったからです。保険会社の想定以上に自然災害の被害が増えたら、受け取る保険料と支払う保険金のバランスが崩れてしまいます。そこで、5年超の新規契約を廃止することで保険料の改定を反映しやすくし、収支のバランスを取りやすくしたのです。
1年契約と長期契約のメリット・デメリット
火災保険の保険期間を1年にして毎年更新する場合と保険期間が1年超の長期契約にする場合のそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
1年契約 | 長期契約 | |
---|---|---|
メリット | 補償内容を見直しやすい 1回の支払い負担が軽い | 総支払額が安い 更新の手間が少ない |
デメリット | 総支払額が多くなる 毎年更新する手間がある | 1回の支払い負担が大きい 補償内容見直しのきっかけが少ない |
上表にまとめたように、1年契約のメリットの裏返しが長期契約のデメリットに、長期契約のメリットの裏返しが1年契約のデメリットになっています。そこで、1年契約・長期契約それぞれのメリットを掘り下げます。
1年契約のメリット
補償内容を見直しやすい
保険期間が1年の場合、少なくとも毎年1回は補償内容を見直す機会が訪れます。そのため、補償内容をより適切なものに変更していくことができます。例えば、子供が生まれる、親と同居することになる、子供が進学・就職で家を離れるなどで家に住む人数が増減することがあると思います。そうすると必要な家財も変わってくるので、家財保険の適切な保険金額も変わります。そうした生活の変化に保険の内容を合わせやすくなります。
1回の支払い負担が軽い
火災保険は一括払いすることが多いので期間が長いほど一度に支払う保険料が多くなります。保険期間が1年の場合は1回の支払額は1年分なので長期契約と比べて負担が軽くなります。
長期契約のメリット
総支払額が安い
火災保険は長期契約をすると、1年契約を繰り返すよりも保険料の総支払額は安くなります。1度に多くの金額が必要になりますが、その負担に耐えられるのならば保険料の総支払額は抑えることができます。
更新の手間が少ない
1年契約の場合は毎年更新をする必要がありますが、5年契約の場合の更新は5年に一度です。たまたま口座残高が足りなくて1度で保険料の支払いができなかったというような事故も起こりにくくなります。
保険期間は何年が多い?
1年契約と長期契約のメリット・デメリットを紹介しましたが、実際のところ保険期間は何年が多いのでしょうか。損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況(2023年度)」によると、2022年度における新契約の保険期間別の件数(証券件数)は以下の通りです。
保険期間 | 件数 |
---|---|
短期(1年未満) | 21,720 |
1年 | 3,026,709 |
2年 | 2,125,306 |
3年 | 308,459 |
4年 | 13,139 |
5年 | 6,542,825 |
件数としては保険期間が5年の契約が最も多く、次いで1年の契約が多いようです。
長期契約を途中で解約したら?
長期契約をしていても、様々な都合で引越しをしたり、家を売却したりする必要がある場合もあると思います。そのような場合、火災保険は途中解約することになります。長期契約をしている火災保険を解約した場合、支払った保険料はどうなるのでしょうか?
答えとしては、保険料がすべて無駄になるということはなく、経過期間に応じた所定の割合の解約返戻金が戻ってきます。未経過期間の分全額とはいきませんが、あまり変わらない額の保険料は返ってくるので長期契約をして途中で解約することになっても安心です。
契約期間の途中で全焼したら?
保険期間中に万が一全焼などの全損事故に遭った場合、契約した保険金額を受け取り、火災保険の契約が終了します。同じ土地で建て直したとしても、保険契約が終了しているので新たに火災保険に入り直す必要があります。また、地震保険も同時に終了してしまうので注意が必要です。長期一括払いをしていて契約が終了した場合は未経過期間に応じた保険料が返還されることがあります。
まとめ
火災保険の保険期間は最長で5年です。1年超の長期契約の方が保険料の総支払額は安くなります。また、長期契約の途中で解約しても、未経過期間に応じた解約返戻金があります。1度の保険料支払いの負担額に無理がなければ長期契約の方が経済的なメリットはありますが、補償内容が適切か定期的に確認する必要があります。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。