地震に対する備えのために地震保険にも加入したいけど、保険料が気になるという方は地震保険の割引制度と保険期間を確認しましょう。割引の適用には確認資料が必要なので、割引適用に必要な書類についても紹介します。
地震保険の保険料はどこも同じ
地震保険は政府と民間の損害保険会社が共同して運営する保険です。そのため、契約する保険会社によって保険料は変わりません。地震保険料が安い保険会社を探すのは時間の無駄となってしまいます。ただし、地震保険には割引制度などの保険料を安くする方法が用意されているので、しっかりと活用して保険料を安くしましょう。
地震保険の割引制度と確認書類
地震保険には4つの割引制度が用意されています。割引率は10%~50%で重複しての適用はできません。また、割引制度の適用には割引の条件を満たしていることが確認できる書類(コピー)の提出が必要です。地震保険に適用される割引制度とその確認書類については以下の通りです(契約開始日が2019年1月1日以降)。
免震建築物割引
適用条件
住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)に基づく免震建築物に該当する建物であること
割引率
50%
確認書類
- 品確法に基づく登録住宅性能評価機関により作成された書類のうち、対象建物が免震建築物であることを証明した書類
以下のような書類が対象となります。- 品確法に基づく建設住宅性能評価書または設計住宅性能評価書
- 独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す「現金取得者向け新築対象住宅証明書」
- 長期優良住宅の認定申請の際に使用する品確法に基づく登録住宅性能評価機関が作成した「技術的審査適合証」
- 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるために必要な「住宅性能証明書」
- 品確法に基づく登録住宅性能評価機関が、マンション等の区分所有建物の共用部分全体を評価した場合に作成する「共用部分検査・評価シート」等の名称の証明書類
など
- 独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書
- 「認定通知書」など長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定書類※および「設計内容説明書」など免震建築物であることが確認できる書類
※認定長期優良住宅であることが確認できる「住宅用家屋証明書」および「認定長期優良住宅建築証明書」を含みます。
耐震等級割引
適用条件
品確法に規定する評価方法基準に定める「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に定められた耐震等級を有していること
割引率
耐震等級3:50%
耐震等級2:30%
耐震等級1:10%
確認書類
- 品確法に基づく登録住宅性能評価機関により作成された書類のうち、対象建物の耐震等級を証明した書類※1※2
以下のような書類が対象となります。- 品確法に基づく建設住宅性能評価書または設計住宅性能評価書
- 耐震性能証明書
- 独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す「現金取得者向け新築対象住宅証明書」
- 長期優良住宅の認定申請の際に使用する品確法に基づく登録住宅性能評価機関が作成した「技術的審査適合証」
- 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるために必要な「住宅性能証明書」
- 品確法に基づく登録住宅性能評価機関が、マンション等の区分所有建物の共用部分全体を評価した場合に作成する「共用部分検査・評価シート」等の名称の証明書類
など
- 独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書※1
- ①「認定通知書」など長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定書類※3および②「設計内容説明書」など耐震等級を確認できる書類※2
※1 以下に該当する場合には、耐震等級割引(30%)が適用されます。
- 書類に記載された内容から、耐震等級が2または3であることは確認できるものの、耐震等級を1つに特定できない場合。ただし、登録住宅性能評価機関(「適合証明書」は適合証明検査機関または適合証明技術者)に対し対象建物の耐震等級の証明を受けるために届け出た書類で耐震等級が1つに特定できる場合は、その耐震等級割引が適用されます。
※2 以下に該当する場合には、耐震等級割引(新築は30%、増築・改築は10%)が適用されます。
- 「技術的審査適合証」において、耐震等級が確認できない場合
- 「認定通知書」など上記①の書類のみ提出した場合
※3 認定長期優良住宅であることが確認できる「住宅用家屋証明書」および「認定長期優良住宅建築証明書」も含みます。
耐震診断割引
適用条件
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす建物であること
割引率
10%
確認書類
- 耐震診断の結果により、国土交通省の定める基準(平成18年国土交通省告示第185号)※に適合することを地方公共団体、建築士などが証明した書類
- 耐震診断または耐震改修の結果により減税措置を受けるための証明書(耐震基準適合証明書、住宅耐震改修証明書、地方税法施行規則附則に基づく証明書など)
※平成25年国土交通省告示第1061号を含みます。
建築年割引
適用条件
昭和56年6月1日以降に新築された建物であること
割引率
10%
確認書類
- 建物登記簿謄本、建物登記済権利証、建築確認書、検査済証など国、地方公共団体、地方住宅供給公社、指定確認検査機関等が発行する書類
※建築確認申請書など公的機関等に届け出た書類で、公的機関等の受領印・処理印が確認できるものを含みます。 - 宅地建物取引業者が交付する重要事項説明書、不動産売買契約書、賃貸住宅契約書
- 登記の申請にあたり登記所に提出する工事完了引渡証明書等
なお、各割引の確認書類について、対象建物について既にいずれかの割引が適用されている場合には、地震保険割引の種類(さらに耐震等級割引の場合は耐震等級)が確認できる保険証券、保険契約証、保険契約継続証、異動承認書、満期案内書類、契約内容確認のお知らせ、またはこれらの代替として保険会社が契約者に対して発行する書類を確認書類として提出することができます。
また、継続契約の場合で前契約と同一の種類の割引を適用する場合は確認書類の提出を省略することができます。
2~5年契約で割引
地震保険は火災保険と同じように1年超の長期契約にすることで、1年契約を繰り返すよりも安い保険料で契約することができます。その計算に用いる長期係数は以下の通りです(2022年10月1日実施の改定に基づく長期係数)。
保険期間 | 長期係数 |
---|---|
2年 | 1.90 |
3年 | 2.85 |
4年 | 3.75 |
5年 | 4.70 |
保険期間が2年の場合は1.9年分、5年の場合は4.7年分の保険料で地震保険に加入することができます。
まとめ
地震保険の保険料は保険会社による違いはありません。保険料を安くしたいのなら、割引制度や長期契約を活用しましょう。ただし、割引制度の適用を受けるには確認書類の提出が必要となるので注意しましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。