住宅を建てたものの、周辺道路の交通量が多いと事故や当て逃げが心配になります。実は、事故や当て逃げによる住宅の破損は火災保険の補償内容に含まれている場合があります。ただし、火災保険での補償を受けるためには適用条件があるので注意が必要です。
この記事では、火災保険で当て逃げ被害が補償されるための条件と補償対象外となるケースや当て逃げ被害を受けた際の対処法を解説します。
目次
当て逃げ被害は火災保険で補償可能!ただし条件あり!
火災保険とは、台風や落雷などの自然災害および日常生活を送るうえで予測できない損害を補償するための保険です。予測できない損害とは、物体の落下や飛来、衝突を指します。当て逃げは「物体の衝突」にあたるため、火災保険の補償の範囲内となります。ただし、当て逃げによる破損を保険で修理するためには一定の条件を満たしていなければなりません。
以下で詳しく紹介します。
①火災保険の補償対象に建物付属設備が含まれている
当て逃げの被害を受けた設備が外壁や門などの建物以外の場合は注意が必要です。火災保険において外壁や門、フェンス、車庫などは「建物付属設備」として扱われています。建物が保険の対象となっている契約の場合は、建物付属設備も補償対象に含まれている場合があります。
契約内容によっては建物外のものは補償されない場合もあります。また、家財のみを補償対象にしていることもあるので、もし自身の契約している火災保険の内容が明確にわからないときは保険証券を確認するか、保険会社や代理店に確認しておくと安心です。
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②当て逃げによる破損が補償される内容である
火災保険で補償を受けたい場合には、「破損した原因が補償内容に含まれているか」が大きなポイントになります。
建物や外壁が破損する主な原因としては、台風による強風や車の衝突、積雪などがあり、それぞれ「風災」「物体の落下、飛来、衝突」「雪災」と被害原因が分かれています。当て逃げは「物体の衝突」にあたりますが、契約内容に含まれていない場合は補償されません。
③修理費用が免責金額以上である
当て逃げによる破損を修理した金額が、「免責金額」より下回っていた場合は保険金を受け取ることはできません。免責金額とは、破損の修理費用のうち契約者が負担する一定の金額のことです。
例えば、免責金額の設定が15万円の場合、修理費用が10万円だと「保険金=10万円-15万円=−5万円」となるため保険金は0円となります。
免責金額を設定すると支払う保険料を抑えられるため、火災保険加入時に契約者が設定していることがあります。しかし、いざというときに保険金請求が通らない事態にもなりかねません。
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④当て逃げ加害者から損害賠償を受け取っていない
当て逃げ加害者がわかっている場合は、基本的に加害者へ損害賠償請求をして加害者の加入する自動車保険から保険金が支払われます。「加害者に賠償金を支払う能力がない場合」や「当て逃げした人物がわからない」といった場合のみ火災保険の請求ができます。
火災保険などの損害保険は受けた損害を補償するものです。すでに加害者から損害賠償を受け取って被害部分の修繕にあてているのであれば、それに上乗せする形で保険金を受け取ることはできません。
当て逃げが対象の火災保険でも保険金請求ができないケース
当て逃げ被害が対象となっている火災保険でも、場合によっては補償されないケースもあります。
ここでは、当て逃げを補償対象としている内容なのに保険金が請求できないケースを紹介します。
修理の前に証拠写真を撮っていなかった
保険会社は被害状況を確認して保険金を支払うに値するか判断します。なので、当て逃げによる損害を修理した後に火災保険を請求する際は、当時の現場写真が必要です。
写真の状態によって被害状況が判断しづらい場合は、請求時に不利になる可能性があります。破損具合や被害状況を把握しやすくするために、写真を撮影する際はあらゆる角度から証拠写真を撮影しておくと被害状況が明確になりやすいため複数枚撮っておくとよいです。
破損後3年以上経過している
火災保険の請求期限は保険法第九十五条により、被害にあってから3年以内と定められています。その理由は、被害発生から時間が経つにつれて原因の特定が難しくなるからです。
保険会社によっては独自の請求期限を設けている場合もありますが、早めに火災保険の請求を行うとより安心です。多忙ですぐに請求を行えない場合でも、当て逃げ被害を受けた日時と証拠写真を記録しておきましょう。
当て逃げされたときの対処法
もしも実際に当て逃げにあった場合、慌てなくて済むように対処法を確認しておきましょう。
以下では当て逃げされたときの対処法として、大切なポイントを3つ解説します。
現場の写真を撮影して証拠を確保
当て逃げ被害を確認したら、すぐに現場の写真を撮って証拠を抑えておきましょう。その際は、被害状況がよくわかるように角度や距離を変えて撮影することを意識するとよいです。証拠写真は複数枚撮影しておくと、保険請求時や警察へ届け出る際にも役に立ちます。
また、日時が記録される形で撮影することも大切なポイントです。日付を記載して現像しておくのもおすすめの方法です。
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リフォーム会社に修理費用の見積もりを依頼
保険会社に火災保険の申請をする前に、リフォーム会社に修理費用の見積りを出してもらいましょう。これは、見積もりから修理費用の把握を行い、保険金請求のための資料の準備をする必要があるからです。そのため、事前に見積もりを依頼していた方が手続きがスムーズになります。
保険会社に申請書類を依頼
証拠写真の撮影とリフォーム会社から修理費用の見積もりを受け取ったら、保険会社に連絡し、火災保険の申請書類の用意を依頼します。届いた書類を確認し、必要事項を記入後は保険会社に返送して折り返しの連絡が来るのを待ってください。
場合によっては調査員が派遣されて現場の調査が行われますが、証拠写真などで被害状況がしっかりと確認できるのであれば書類上の審査だけとなる場合が多くなります。申請した内容に不備がないと判断されれば、損害額に応じた保険金が振り込まれます。
まとめ
当て逃げによる破損は、火災保険の補償範囲内となる可能性が高くなります。契約内容によっては対象外になっている可能性もあるので保険証券で確認したり、保険会社や代理店に契約内容を確認しておきましょう。
また、不動産業者に紹介された火災保険に加入したままにするのではなく、一括見積もりサービスで保険料や補償内容・サービスを定期的に見直すことをオススメします。
インズウェブの火災保険一括見積もりサービスで、あなたにとって最適な保険会社を比較しておくと安心です。
著者情報
重松 雄太
フリーランスのライター。
統計データと実体験をもとに、難しい内容をわかりやすく解説します。
好きなものはボクシング・バイク・ケーキ。