冠婚葬祭、就職活動、通勤など様々な場面で活躍するスーツ。スーツは上下合わせるとそれなりの値段になることが多く、オーダースーツになると数十万を超えてしまうこともあります。万が一のトラブルなどでスーツが破損してしまい買い替えなければならない場合、保険を活用できるとありがたいですよね。この記事では、スーツを火災保険で守ることができるのかを解説していきます。
目次
火災保険とは
火災保険はその名前から「火事の補償しかないのではないか?」と勘違いされることがあるのですが、火事以外の自然災害(地震の場合は地震保険の対象となる)から住宅のあらゆる物損トラブルまで幅広く守ってくれる保険です。
火災保険は主に2種類
火災保険の対象は、「建物」と「家財」に分かれています。持家の場合は”建物のみ、家財のみ、建物と家財の両方”のいずれかで契約し、賃貸の場合は”家財のみ”を契約します。今回の記事のテーマであるスーツなどの衣類は「家財」の補償対象に分類されます。
家財保険の補償の対象
補償の対象となるもの | 補償の対象にならないもの |
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家財保険の対象となるのは基本的に電化製品、家具、衣類、食器など「動かすことができるもの」いわゆる”動産”です。引っ越しの時に持ち運んでくるものをイメージするとよいと思います。浴槽や調理台、ふすま、建物に取り付けてあるエアコンなどは「建物」の方での補償となります。
スーツは家財保険に該当
どんなケースで補償してもらえるの?
自然災害が原因
火事によりスーツが燃えてしまった、大雨による床上浸水でスーツが汚れてしまったなどの自然災害が原因となる場合は、その原因に応じた内容で補償を受けられる可能性があります。例えば、火事の場合は「火災補償」、浸水の場合は「水災補償」などです。ただし地震被害は地震保険の範囲となるため対象外となるため注意しましょう。
予想できない日常トラブルが原因
子供がぶつかり洗ってもとれない汚れがついてしまった、急な体調不良でスーツに嘔吐してしまった、転倒して派手に破けてしまったなど事前に予測して防ぐことができず突発的な事故によってスーツを破損・汚損させてしまった場合、「不測かつ突発的な事故」で火災保険の補償を受けることができる可能性があります。
家以外でのトラブルも補償される?
スーツは基本的に自宅でなく野外で着用するケースが多いですよね。「火災保険は自宅でのトラブルしか補償されないのではないか」と思う方もいるかもしれませんが、持ち出し家財特約(携行品損害特約)が付いている場合は家の外に持ち出した家財として火災保険の補償対象となる可能性があります。
他人のスーツを破損・汚損させてしまった場合は?
自分のスーツでなく他人のスーツを破損・汚損させてしまったときでも、火災保険の個人賠償責任特約が付いている場合はその賠償額を補償してもらえる可能性があります。
どれくらい補償してもらえるの?
火災保険の家財補償は、必ずしも損害金を100%支払ってもらえるわけではありません。火災保険を契約する時に「自己負担額」を設定するため、それ以外の金額を補償してもらいます。この自己負担額は「免責金額」とも呼ばれています。一般的に、この自己負担額を高く設定するほど保険料が下がります。
新品の価値の補償金額が下りる?
購入時の価値と同等の金額で補償が下りるとありがたいですよね。火災保険の保険価額は、「時価」と「新価」の2つの求め方があります。
新価 | 同じ物を新たに購入するために必要な金額(再調達価格) |
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時価 | 新価から経年劣化と使用による価値の消耗分を差し引いた金額(現在価値) |
現在の火災保険は「新価」で契約することが主流となっています。しかし、明記物件に限っては「時価」で算出されるケースがほとんどです。明記物件はその年代の世界情勢や価値観、美しいとされる物によって価値が変化するものを対象としているためです。自身が加入している保険会社は新価と時価どちらなのかを事前に把握しておくと安心です。
注意点
オーダースーツは明記が必要な場合も
普段使いするようなオーダースーツは基本的に30万円を超えていても明記なしで補償を受けられますが、美術的として価値が認められるようなオーダースーツの場合は補償を受けられない可能性があります。
オーダースーツに限らず、1個または1組が30万円を超える貴金属や宝石、美術品等は火災保険を契約する際に原則として火災保険契約時にしっかりと明記しておかないと補償の対象にはならないので注意が必要です。明記物件に関する詳細は以下の記事を参考にしてください。 続きを見る火災保険の明記物件とは?補償を受けるために要注意!
保険がおりないケースもある
以下のケースの場合、火災保険の適用とならない可能性が高いため注意しましょう。
経年劣化が原因
どんなに大切に扱っていても、時間とともに物は劣化していきます。長期的に使用しているとスーツが色落ちしてしまった、体型が変わって破けてしまった、など経年劣化にトラブルが生じることがあるかもしれません。しかし、火災保険では経年劣化による被害は補償対象としていません。
損害が免責金額以下の場合
スーツの場合、モノによっては免責金額以下の補償額となってしまう可能性があります。2022年10月以降、一部保険会社ではこの自己負担額の最低額が底上げされるため注意が必要です。 続きを見る2022年10月~家財補償の自己負担額が値上げ!対策は?
故意による損傷
スーツを新調したいから、むしゃくしゃしていたからと故意にスーツを破いたり汚してしまった場合などは、火災保険の補償対象外となります。
ワンポイント
火災保険は定期的に見直そう
不動産取得時に営業担当者に言われるがまま火災保険に加入してしまい、免責金額や特約の内容を把握できていなかったり、明記物件など契約の詳細部分が曖昧になってしまっているケースも少なくありません。万が一のときに高額の被害に遭っても希望する保険金がおりなかったり最悪保険金を受け取ることすらできない可能性があります。今の火災保険が自分の大切なものを守ることのできる内容になっているのかは、定期的に見直しをしておくことをおすすめします。
ライフステージの変化でも
火災保険は補償内容や保険料、サービスの改正が都度行われています。また火災保険は、家族構成や生活スタイルによって補償内容のニーズも変わるものです。家族が増えると家具や物品も増えるので火災保険で守る対象や範囲も変わってきます。今の火災保険の内容が本当に今の自分の生活や家族構成にとってベストな内容であるのかを、一度しっかりと見直してみましょう。
また見直すだけでなく、各保険会社を比較検討してみることでより自分や家族にとってベストな火災保険に切り替えることもできるかもしれません。
効率よく保険会社を探すには一括見積もりサービスが便利です。一度の情報の入力で複数社から火災保険の見積もりを取ることができます。一社一社個別に見積もりを依頼する手間が省けます。利用は無料なので、ぜひ気軽に利用してみてください。
まとめ
今回は、スーツを火災保険でどこまで守ることができるのかを解説しました。条件によっては火災保険の補償対象となる可能性があり、付帯している特約によっては野外や他人への被害でも補償がおりる場合もあります。30万円を超える場合は明記物件として申請しなければ補償してもらえないことがあるため注意が必要です。
詳細の補償対象や保険料は保険会社によって様々なので、切り替えを視野にいれることもひとつの手でしょう。各保険会社の補償内容の確認や、より保険料が安い会社を効率よく探すには一括見積もりサービスが便利です。一度の情報の入力で複数社から火災保険を比較することができるのでぜひ活用してみてください。