火災保険の基礎知識

火災保険の水濡れ補償はどんな場合に使える?

投稿日:2019年3月7日 更新日:

マンションやアパートの方が特に想定しておくべき事故として水漏れがあります。上の階で水漏れが起きて天井にシミができたり、床が水浸しになってしまったりしてしまう可能性があります。自分では上の階にどのような人が住むのかコントロールできず、仮にコントロールできたとしても水漏れを100%防ぐことはできません。

火災保険には水濡れ補償という補償もあり、水漏れによる損害も補償してくれますが、利用できる場合と利用できない場合があります。どのようなときに利用できるのでしょうか。

火災保険の水濡れ補償は何に対して使える?

火災保険の水濡れ補償は、給排水設備の故障や他人の戸室で生じた事故により水漏れや放水などが起こり、水濡れ損害が発生してしまった場合に補償を受けることができます。給排水設備というのは、水道管や排水管、貯水タンク、給水タンク、トイレの水洗用の設備、スプリンクラー、スノーダクトなどを指します。

水漏れが起こってしまった場合、それが原因で発生する費用としては以下の3つが考えられます。

  • 水漏れを起こした給排水設備自体の修理費用
  • 水漏れによって濡れてしまい損害を受けたものの修繕・買い替え費用
  • 他人の建物や家財に損害を与えてしまった場合の損害賠償費用

このうち、水濡れ補償で補償されるのは2番目の水漏れが原因による建物や家財への損害です(家財については家財が保険の対象に含まれている場合、以下同様)。例えば、給水管が破損して床や壁紙の張り替えや電化製品の買い替えが必要となった場合、その費用について補償されます。

1番目については、水道管修理費用保険金などの特約も契約していれば、原因が水道管の凍結によるものであった場合は保険金の支払いを受けることができます。

3番目の他人の建物・家財に損害を与えてしまった場合の損害賠償については水濡れ補償ではなく個人賠償責任保険によって補償される内容です。個人賠償責任保険は、火災保険の特約として契約できるほか、自動車保険や傷害保険の特約として加入することもできます。

水濡れと水災の違いは?

火災保険の水に関する事故に対する補償には水災補償というものもあります。同じ水に関する補償ではありますが、水濡れ補償と水災補償で補償される内容は大きく異なります。

水濡れ補償は先に説明した通り、自宅の給排水設備の事故や他人の戸室で生じた事故に伴う漏水などによる水漏れで住宅に損害を受けたときに保険金を受け取れる補償です。一方で、水災補償というのは台風や集中豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどによって建物や家財に損害が発生したときに保険金を受け取れる補償です。

このように、同じ水に関する補償であってもどのような場合に保険金を受け取れるのかは全然異なります。山が近くにないマンションの高層階の場合、水災補償をつけないことも多いですが、水濡れ補償も混同して補償に含めていないと上階からの漏水被害を受けた場合などで補償を受けることができなくなります。

水濡れ補償の対象外の事例

水濡れ補償では補償の対象外の事例についていくつか紹介します。

自分の故意や不注意が原因での損害

水濡れ補償で補償される事故は「偶発かつ突発的」なものです。自分が故意にあるいは不注意で起こした水漏れで自分の建物や家財が損害を受けても補償の対象外です。例えば、風呂でお湯を出しっぱなしにしてしまった場合や洗濯機のホースが外れてしまった場合などです。

他人の建物・家財の損害

マンションで水漏れを起こしてしまい、階下の部屋の建物・家財に損害を与えてしまった場合など、他人の建物・家財への損害は水漏れ補償の対象外です。このような場合、個人賠償責任保険でカバーすることができます。また、階下の住人が自分で契約している火災保険の水濡れ補償を使うということも考えられます。

経年劣化による水漏れ

経年劣化による水漏れは火災保険の水濡れ補償の対象外です。水漏れを起こさないようにメンテナンスはしっかりと行うようにしましょう。

洪水による水濡れ

上で説明した通り、大雨による洪水で床上浸水して損害が発生したという場合は水濡れ補償ではなく水災補償で補償されます。水災補償については以下の記事を参考にしてください。

水災
火災保険の水災補償とは?補償範囲と必要性
近年、台風に限らず記録的な短時間集中豪雨による洪水などの被害を耳にすることが増えてきました。洪水などによる床上浸水の被害や大雨による土砂災害の被害を補償してくれ ...

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隣家やマンション上階での消防活動による放水で水濡れが発生した場合

隣の家やマンション上階で火災が発生した場合、消防活動による放水で自分の家の建物・家財に損害を受けることがあります。この場合は水濡れ補償ではなく火災の補償そのものによって補償を受けることができます。

損害発生してから3年以上保険金の請求をしていない場合

保険法により保険金の請求期限は3年と定められています。また、保険会社が独自に請求期限を設けている場合もあります。いずれにしても、損害が発生した場合は忘れないうちに保険金の請求を行いましょう。

水濡れ補償でどれくらい保険金請求されている?

火災保険の水濡れ補償は1年間でどれくらい保険金請求がされているのか、損害保険料率算出機構の「火災保険・地震保険の概況(2023年度)」より紹介します。

2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
件数(件)42,05847,49957,69354,29857,066
保険金(千円)26,640,88031,957,52839,201,62236,546,44438,849,954

※「件数」および「保険金」は対象年度に発生した事故に対して、当該年度およびその翌年度に支払った件数および保険金を集計したものです。

出典:損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況(2023年度)

2018年度~2022年度の間、建物の老朽化に伴い保険金請求は増加傾向にあります。また、1件あたりに支払われた保険金の額は年度によって異なっていますが、約63万円~約68万円という結果になっています。

まとめ

火災保険の水濡れ補償によって給排水管の事故で水浸しになった電化製品、床板、壁紙の修繕・買い替え費用について補償を受けることができます。ただし、給排水設備自体に生じた損害は補償されません。また、他人の建物・家財に損害を与えてしまった場合の損害賠償については個人賠償責任保険によって補償されます。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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