火災保険の選び方

自然災害で自宅が被災!住宅ローンはどうなる?

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自然災害が多発する日本で自然災害に見舞われない100%安全なエリアはありません。近年、甚大化する自然災害で、住宅ローン返済中に自宅が大きな損害を受けてしまったら、と不安に思う人もいるでしょう。ここでは、住宅ローン返済中に自然災害などで住宅に損害を受けてしまったらローンの返済はどうなるのかについて説明します。

自然災害で住宅を全損しても住宅ローンの返済は残ります!

住宅ローンを返済中の人が自然災害が原因で自宅が全損しても、基本的に住宅ローンが返済免除になることはありません。住宅を失っても住宅ローンは支払わなければいけないので、そのようなリスクに備えておく必要があります。

住宅ローン返済中は火災保険の契約が必要

住宅ローンを組む際に金融機関から火災保険の契約が融資の条件となっていることがほとんどです。それは、住宅ローン返済中に自宅が火事や自然災害で全損してしまうようなことがあっても火災保険の保険金で住宅ローンの返済ができるように備えておくためです。

火災保険は、自然災害で住宅に受けた損害を補償する保険です。火災保険は、仮に自然災害で補償対象となっている建物・家財が全損してしまった場合、契約時に設定した保険金額(保険金支払いの上限額)の全額を受け取る事ができるので、受け取った保険金で住宅ローンを返済することができます。また、一部損壊の損害を受けても受け取れる保険金は保険金額を上限に実損額が受け取れます。ただし、地震による損害の場合は火災保険で補償を受ける事ができません。

地震による災害で自宅を全損してしまった場合

自然災害で住宅を全損してしまうリスクはゼロではありませんが、件数としては少なく、自宅を全損してしまうリスクが高い自然災害と言えば、地震による災害ではないでしょうか。しかし、地震・噴火、これらによる津波を原因として起きた損害については火災保険では補償されません。ですから、火災保険にセットで加入する地震保険で備える必要があります。

地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30~50%で設定することになっているので、全損の場合でも最大で50%までしか補償を受ける事ができません。更に、建物は5000万円、家財は1000万円が限度です。地震保険の補償内容は、地震・噴火、これらによる津波を原因として起きた損害で住宅を全損してしまっても住宅を再建するだけの十分な補償とは言えないかもしれません。それは、地震保険は地震等によって損壊した建物や家財の損害額をすべて補償するものではなく被災者の生活の安定に寄与し生活の再建資金として位置づけられているためです。

住宅ローン返済中の地震保険の加入は火災保険と違って融資の条件としていない金融機関もあります。そのため、地震保険に加入する必要性について「地震保険は不要」という意見もありますが、住宅ローンの返済中の人は地震保険の必要性が高いと言えます。

なぜならば、地震で自宅を失っても火災保険の補償を受ける事はできず、住宅ローンの返済義務はそのまま残るからです。新たにローンを組んで住宅を再建するとなると新しい住宅との二重ローンであったり、ローンの返済と賃貸の家賃の二重の支払であったりと経済的に大きな負担を強いられることになる可能性があります。

大規模な災害の場合、公的支援も用意されていますがそれだけでは住宅の再建に足りないというのが現実です。ですから、地震・噴火・津波の被害を受けた後、出来るだけ早期に生活の再建ができるように地震保険で備えておくという事も考えておく必要があります。

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公的支援制度はどのくらい?

公的支援のメインとなるものの一つに被災者生活再建支援制度があります。しかし、この支援金で支払われるのは最大でも300万円です。この金額では住宅の再建築や再購入には足りないでしょう。

対象世帯

10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等の自然災害により
①住宅が「全壊」した世帯
②住宅が半壊、または住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
③災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
④住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯
⑤住宅が半壊し、相当規模の補修を行わなければ居住することが困難な世帯

基礎支援金
(住宅の被害程度)
加算支援金
(住宅の再建方法)
①全壊
②解体
③長期避難
100万円建設・購入200万円300万円
補修100万円200万円
賃借(公営住宅を除く)50万円150万円
④大規模半壊50万円建設・購入200万円250万円
補修100万円150万円
賃借(公営住宅を除く)50万円100万円
⑤中規模半壊建設・購入100万円100万円
補修50万円50万円
賃借(公営住宅を除く)25万円25万円

※世帯人数が1人の場合は、各該当欄の金額の3/4の額

実際、内閣府の防災情報のページによると、東日本大震災で全壊被害に遭った住宅の新築費用は平均して約2500万円なのに対し、公的支援として受給できるのは善意による義援金をあわせても約400万円にとどまりました。また、生活の再建のためには建物を新築するだけでなく家具や家電の購入が必要となります。東日本大震災の際には、被災者生活再建支援制度を申請した人の45.5%が家電・家具・寝具の購入など、住宅再建以外に50万円以上の費用をかけています(出典:平成24年度被災者生活再建支援法関連調査報告書)。

公的支援+義援金では約2100万円不足する

債務が免除となる「自然災害時特約」について

前項では、地震・噴火、これらによる津波を原因として住宅が全損するような事があっても地震保険では被害額の全額補填ができないという説明をしました。公的支援制度を利用してもローン残高が多く残っているような状況で自宅が全損するような被害にあってしまうと住宅ローンの返済を抱えながらの被災後の生活が予想されます。

そこで、住宅ローンに自然災害時用の特約を付帯して契約できる金融機関も登場しています。自然災害時用の特約は、通常の金利に0.1%~0.5%程度上乗せで契約することで自然災害時のローンの支払を損害状況に応じて一定期間免除してくれるという特約です。

台風による洪水で住宅が全損してしまうような被害を受けても、火災保険の水災補償に契約していなければ火災保険で補償を受ける事は出来ません。同じく、住宅ローンの債務が免除となる特約も契約する商品によって対象となる災害が異なるようです。地震・噴火、これらによる津波を原因による損害を含めた自然災害が対象の場合や対象外となっている場合など商品によって異なります。

【主な自然災害時ローン免除特約】

約定返済型残高補償型
損害の程度に応じて住宅ローンの返済を一部免除
・全損:24回分免除
・大規模半損:12回分免除
・中規模半損半壊:6回分免除
・一部損壊:1回免除
建物ローン残高の50%相当免除

【対象となる自然災害】

火災保険で補償の災害地震保険で補償の災害
・台風(風災)
・豪雨(水災)
・洪水(水災)
・落雷
・雪災
・雹災など
・地震
・噴火
・津波

被災者の住宅ローン減免制度も確認しよう

地震に限らず自然災害によって住宅ローンの返済にお困りの場合は全国銀行協会が策定した「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」をもとに住宅ローンを借りている金融機関に相談してみましょう。このガイドラインを利用した手続きのメリットとしては、個人信用情報として登録されないのでその後の借り入れに影響を与えないことや法的整理よりも預貯金などの財産の一部を自由財産として残しやすいことが挙げられます。

対象となるのは、2015年9月2日後の災害救助法の適用を受けた自然災害で影響を受けた方です。債務整理の成立には、ローンの借入先の同意が必要となります。手続きは以下の流れで行われますので、まずはローンを借りている金融機関に相談してみましょう。

step
1
手続着手の申出をする

まず、最も多額のローンを借りている金融機関に対して、自然災害債務整理ガイドラインに基づく手続に着手することを申し出てください。金融機関で借入先や借入残高、年収、資産の状況などを聴取されますので、借り入れ状況などを整理しておくとよいでしょう。

step
2
登録専門家による手続支援を依頼

金融機関から手続着手について同意を得られた場合、地元の弁護士会などを通じて全国銀行協会に対し、「登録支援専門家」による手続支援を依頼できます。「登録支援専門家」は、中立・公正な立場から債務整理の手続を支援する専門家です。弁護士のほか、公認会計士・税理士・不動産鑑定士が該当します(弁護士以外は一部業務を実施できません)。手続支援は無料で受けられます。

step
3
債務整理(開始)の申出

登録支援専門家の支援を受けて、申出書や財産目録などの必要書類を作成し、債務整理の対象としようとするすべての金融機関等に債務整理の申出を行います。債務整理の申出後は債務の返済や督促は一時停止となります。一方で、資産や負債の額を維持する必要もあります。

step
4
「調停条項案」の作成

登録支援専門家の支援を受けながら、ローンの免除や減額などの債務整理の内容を盛り込んだ書類(「調停条項案」)を作成します。

step
5
「調停条項案」の提出・説明

登録支援専門家を経由して、ガイドラインに適合する「調停条項案」を対象にしようとするすべての金融機関等へ提出し、説明します。金融機関は1か月以内に同意するか否かを回答します。

step
6
特定調停の申立

対象にしようとするすべての金融機関等から同意を得られた場合、簡易裁判所に特定調停を申し立てます。この調停には原則として債務者自身が参加する必要があります。特定調停手続について詳しくは以下のリーフレットをご確認ください。

裁判所「特定調停の申立てをされる方のために」

step
7
調停条項の確定

特定調停手続きにより調停条項が確定すれば、債務整理が成立します。

参考:政府広報オンライン「大規模な自然災害でローンの返済が困難になった方へ ご利用ください。 「自然災害債務整理ガイドライン」」

火災保険・地震保険の重要性

住宅ローンを返済中の人は、火災保険や地震保険の重要性は高いです。住宅ローン返済中の人は金融機関から加入を求められることもあり、契約している場合がほとんどですが、地震保険には加入していないという人もいるでしょう。住宅ローンは、自然災害により住宅を失ってしまうような被害を受けても基本的には免除されることはありません。火災保険や地震保険、公的支援制度、自己資金などからローンの返済を行う事になります。

そんな中、金融機関が販売する住宅ローンの商品で自然災害時の住宅ローンの債務が一部免除となる特約がある商品も登場しています。災害が多発する日本で住宅ローンの支払が免除される商品は人気となっているようですが、自然災害(地震など以外)で損害を受けた損害額を補償する火災保険、地震で損害を受けた後の生活再建のための地震保険は被災後にいち早く元の生活に戻るための備えとして重要です。

火災保険に加入している人も、近年、甚大化している自然災害に備えられる火災保険の補償内容で契約できているか、地震保険に未加入の人は地震保険の加入について検討するなど定期的に見直しが必要です。住宅ローン返済中の中で住宅に関わる損害リスクの備えができているか、被災後の生活に不安がある人は見直しておきましょう。

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