火災保険の基礎知識

実家の火災保険の補償内容は大丈夫?確認すべきポイントは?

投稿日:2019年12月25日 更新日:

ここ数年、台風や集中豪雨による水災の被害を多く聞くようになってきました。こうした自然災害で家屋に損害が発生した場合は火災保険が役に立ちます。しかし、昔に入ったままの火災保険だと補償内容が十分でなかったり、契約期間が終了したあとに更新していなかったりすることがあります。あなたの実家の火災保険は大丈夫でしょうか?確認すべきポイントについて紹介します。

そもそも火災保険に入っている?

火災保険の補償内容が適切か否か以前に、そもそも火災保険に加入しているか確認する必要があります。古い家だから、と火災保険に入っていないケースも存在します。火災保険に入っていなかったら当然ながら火災や自然災害による被害が発生しても保険金は支払われません。

古い家だと火災保険に加入しても意味がないと考えているかもしれませんが、現在の火災保険ではそういったことはありません。以前の火災保険は時価額をもとにした保険金が支払われる契約が一般的でしたが、現在の火災保険では同等の住宅を再調達するのに必要な金額をもとにして保険金が支払われる契約が主流です。

火災保険に対する知識が昔のままで火災保険に入っていないようだったら火災保険に加入するように促してみてはいかがでしょうか。

補償内容は大丈夫?

火災保険に入っていたとしても補償内容が適切でないと十分な補償を受けられなかったり、補償がまったく受けられなかったりすることもあります。保険証券などで補償内容が不足していないか確認するようにしましょう。

新価か時価か

火災保険において保険の対象となる建物の評価の仕方には「新価」と「時価」の2つの考え方があります。新価は再調達価額とも呼ばれ、同等のものを新たに建築または購入するのに必要な金額です。時価は新価から経過年数による価値の減少や使用による消耗分を差し引いた金額です。時価での契約の場合、例えば火災で全焼してしまっても価値の減少分を反映した金額でしか補償を受けられません。

1998年以前に契約した火災保険の場合は時価での契約が一般的でした。昔に入ったまま見直しをしていないという場合は時価額で評価する契約になっていないか確認するようにしましょう。

水災補償があるか

水災補償が必要なのかは実家がある場所にもよりますが、水災のリスクが高い地域なのに水災補償が付いていない場合は補償内容を見直した方がよいでしょう。なお、水災というと洪水を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、大雨による土砂災害も水災補償での補償となります。河川から離れていても土砂崩れの危険性がある地域などでは水災補償が必要です。

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水災のリスクが高いかは自治体が公表するハザードマップを確認しましょう。「自治体名 ハザードマップ」などと検索するか、国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトから確認することができます。ハザードマップを作成するうえでの想定雨量の基準は「100年に1度程度」だったのが2015年の法改正で「1000年に1度」に変更となっています。すべての地域で対応が完了しているわけではありませんが、昔確認して大丈夫だったとしても、もう一度確認しておくのがよいでしょう。

免責金額がどうなっているか

昔からの火災保険の場合、風災・雹災・雪災補償の免責金額がフランチャイズ方式で20万円となっていることが多いと思います。これは、損害額が20万円に満たない場合は保険金が支払われず、損害額が20万円以上だとその損害額の分の保険金が支払われるという内容です。例えば、損害額が15万円の場合は保険金が支払われず、損害額が25万円の場合は保険金として25万円が支払われます。

最近の火災保険ではこのフランチャイズ方式ではなく、免責方式(エクセス方式)という方式で免責金額を設定するものが多いです。免責方式では、損害額がいくらであっても設定した免責金額が引かれて保険金が支払われます。例えば、免責金額が3万円の場合、損害額が15万円だと3万円を引いた12万円が保険金として支払われ、損害額が25万円でも3万円を引いた22万円が保険金として支払われます。

どちらの方式の方がよいかは考え方によりますが、現在の契約での免責金額がフランチャイズ方式で20万円となっている場合で、免責方式(エクセス方式)の方が好みだという場合は契約の変更を検討しましょう。

地震保険を契約しているか

地震・噴火またはこれらにより発生した津波による損害は火災保険だけでは補償されません。火災保険とセットで契約する地震保険が必要です。昔は地震保険を契約しない人が多かったので、その後に見直していなければそのまま地震保険に未加入となっていることが多そうです。日本全国どこで地震が起こるかはわかりませんが、大きな地震が起こると想定されている地域や津波の想定被害が大きい地域、液状化現象が起こりやすい地域などの場合は特に地震保険の加入を検討した方がよいでしょう。

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実家が空き家になる場合は?

親が施設に入った、親の死後に実家を相続したけど住んでいないなど、実家が空き家となっているケースも増えてきています。空き家の火災保険はどうすればよいのでしょうか。

まず、空き家であれば火を使わないから火災保険は必要ない、という考えは誤りです。空き家は人が住んでいる住宅よりも管理が徹底されていないことが多く、放火の被害に遭いやすいです。また、放火されなくても、電気系統からの火災や自然災害の被害に遭う可能性もあります。そのような場合に火災保険に入っていなければ保険金を得ることができません。

また、空き家の所有者が第三者に対して賠償責任を負う場合も考えられます。屋根の一部がはがれて近隣の住宅に被害を与えたり、塀が倒れて道路をふさいでしまったりした場合です。そうした場合を考えると火災保険を検討したほうがよいでしょう。

ただし、空き家の契約を引き受けていない保険会社もあります。また、引き受けている場合でも空き家は基本的に「一般物件」での契約となるので、住居専用として使用する「住宅物件」での契約よりも保険料が高くなります。一般物件での契約となった場合には地震保険の契約もできないので注意しましょう。

空き家だと必ず一般物件になるかというとそうではなく、住宅物件として契約できる場合もあります。普段は空き家だけど、家財が備え付けてあり定期的に宿泊しているなどの場合などです。保険会社による判断となるので、保険会社や代理店に相談してみるとよいでしょう。

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まとめ

日本では毎年何らかの自然災害による被害が発生します。火災保険に入っていればそうした自然災害による被害を受けた時に補償を受けることができます。しかし、昔火災保険に入った後は何もしていないという場合、補償内容が適切でなかったり契約期間が終了して補償がなくなったりしていることがあります。年末年始は実家で過ごすという場合は、この機会に実家の火災保険の補償内容を見直してみてはいかがでしょうか。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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