フラット35の利用条件の1つに返済を終了まで建物に火災保険をつけることがあります。フラット35に必要な火災保険には何か条件があるのでしょうか。フラット35を利用するときに必要な火災保険について説明します。
どこの火災保険・共済でも大丈夫
「フラット35を利用するのであれば、以下の提携会社の火災保険から選んでください」ということはなく、保険業法の規制を受ける保険会社の火災保険、あるいは生協法の規制を受ける共済団体の火災共済であれば、どこの火災保険・火災共済を選んでも大丈夫です。
「保険業法の~」や「生協法の~」と書くと難しく思えるかもしれませんが、一般に契約できる火災保険・火災共済であれば大丈夫だと思っていただいて構いません。自分にとって最も良いと思える火災保険・共済に加入しましょう。
何かほかに条件はある?
どこの火災保険を選んでも問題ないとして、火災保険の契約内容に何か条件はあるのでしょうか。
フラット35の利用条件には火災保険について以下のような条件が記載されています。
- 返済終了までの間、借入対象となる住宅については、火災保険(損害保険会社の火災保険または法律の規定による火災共済)に加入していただきます。
- 建物の火災による損害を補償対象としていただきます。
- 保険金額は、借入額以上※1としていただきます。
- 保険期間、火災保険料の払込方法および火災保険金請求権への質権設定※2の取扱いは、取扱金融機関により異なります。
※1 借入額が損害保険会社の定める評価基準により算出した金額(評価額)を超える場合は評価額とします。
※2 火災保険金請求権に質権を設定した場合の保険金は、建物の所有者ではなく、住宅金融支援機構に対して保険会社から優先的に支払われることになります。
上の条件に従うと、契約が必要な期間、保険の対象、保険金額に条件があります。また、取扱金融機関によっては他に条件が付くことがあることもあることがわかります。ここでは、フラット35自体で必要な条件について説明します。取扱金融機関による条件については、申込先の金融機関にご確認ください。
契約が必要な期間
まずは契約が必要な期間についてです。返済が終了するまでは火災保険に加入している必要があります。保険期間(契約期間)は1年でも10年でもよいのですが、返済が終わるまでは更新をするか別の火災保険に加入する必要があります。
保険の対象
続いて保険の対象です。火災保険の対象には建物と家財があります。一般には「建物のみ」、「家財のみ」、「建物と家財の両方」という選択肢がありますが、「建物の火災による損害を補償対象としていただきます。」という条件により、「家財のみ」という選択肢は選べません。また、補償内容について火災を補償に含むことが挙げられていますが、これは火災保険に入るのならば必須のものなので特に気にする必要はないでしょう。
保険金額
最後に保険金額についてです。保険金額とは、保険金の支払の上限額です。保険金額について、借入額以上にすることが条件に付けられています。なお、※1の注釈について、火災保険では評価額以上に保険金額を設定していても、評価額までしか保険金が支払われません。そのため、この注釈がつけられています。
氏名変更や増改築等で契約を見直すときは?
フラット35の返済期間中に氏名変更や建物の増改築等で火災保険の契約内容を見直す必要が生じた時、何か別の条件が発生するのでしょうか。
氏名変更など上の条件に関係がない変更の場合は、特に条件はなく保険会社に変更手続きをすれば大丈夫です。増改築等で契約を見直す場合も、保険会社に変更手続きをすれば問題ないのですが、上の条件や取扱金融機関が定めた条件を満たす必要があります。なお、保険金額については返済を開始しているので融資金の残額以上となりますが、基本的に保険金額は建物の評価額と同額に設定することをおすすめします。
なお、質権設定をしている場合は変更内容によっては質権者の同意が必要となる場合があります。事前に保険会社・質権者である金融機関に相談しておくとよいでしょう。
まとめ
フラット35を利用する場合、火災保険の加入が必須です。一般に発売されている火災保険・火災共済であれば基本的に自由に選べますので、住宅のリスク状況にあった補償内容で納得のいく保険料の保険会社と契約できるよう、各保険会社を比較してみましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。