住宅の基礎のヒビ割れを発見すると不安ですよね。ヒビの程度と種類にもよりますが、放置すると雨染みの発生や地盤沈下、家の耐震性低下など、様々な悪影響を及ぼす恐れがあります。この記事では住宅の基礎のヒビ割れの原因や種類、保険の適用条件などについて解説していきます。
目次
基礎のヒビ割れとは
どんな状態?
住宅は基本的に基礎部分の上に建設されています。住宅全体を支える重要な役割を果たしており、何らかの影響により基礎が破損してしまうと住宅全体に影響が出てしまったり、小さな亀裂からどんどん広がってしまい、建物が傾いたり地盤沈下を引き起こしたりする場合もあります。目立つヒビや破損を見かけたら放置せずに迅速に対応するようにしましょう。
ヒビ割れが起こる原因は?
●空気の乾燥により、内部の水分が蒸発し基礎が収縮した
●急激な気温の低下によって、コンクリートが収縮した
●地盤が弱く建物が斜めに傾き、基礎に負担がかかった
●大規模な地震や津波により、基礎が衝撃を受けた
●施工不良で、強度や厚みが十分でなかった
●コンクリートが化学反応を起こし、中性化し強度が低下した
基礎の亀裂(クラック)の種類
①ヘアークラック
髪の毛ほどの微細な線状のクラックで、0.2〜0.3mm程度の幅です。そこまで心配する必要はありません。
②乾燥クラック
乾燥による亀裂です。モルタルなどの材料の特性上、水分が蒸発して収縮する現象は必ず発生します。
③構造クラック
幅が0.3mm以上で深さが5mm以上の大きなクラックです。場合によっては早めに修繕を加える必要があります。
ヒビ割れは地震保険で補償される?
地震によって基礎にヒビ割れが発生した場合、地震保険に加入していれば保険が適用される可能性があります。 ただいくつか条件もあるので、以下にて説明します。
認定条件は?
木造である
基礎のヒビ割れが地震による損害としてカウントされるのは基本的に木造建築のみです。住宅が鉄筋コンクリート造などであれば、基礎は損害対象となりません。木造の場合、微細な基礎のヒビ割れは樹脂を注入するなどして耐震性能を取り戻します。 ツーバイフォー(枠組壁工法)も木造建築となりますので、条件が揃えば補償対象となります。
地震・噴火・津波を原因とする
保険会社から基礎のヒビ割れが地震・噴火・津波によるものであると認められれば、補償対象となります。震度1、震度2程度の地震で基礎にヒビが入ることはほぼないため、あまり揺れていない地震では保険会社も地震として認めない可能性があります。クラックは地震だけではなく地盤沈下や経年劣化でも起きるため、一概に地震保険の補償対象になるわけではないため注意が必要です。
構造クラックである
上にて説明した亀裂の種類の中の「構造クラック」によるヒビ割れは、建物の安全性に影響を及ぼす危険性があるため補償対象となる可能性が高くなります。構造クラックはコンクリートそのものが割れているため、迅速に補修等の対応を検討しなければなりません。ただしヘアークラックや乾燥クラックでも亀裂の数が多い場合などは対象になる可能性もゼロではないので、確認をしてみてもいいかもしれません。
保険金額はいくらでる?
地震保険の補償内容は保険会社一律に決まっており、保険金の支払額も上限が決まっています。地震保険は損害額が保険金として支払われるのではなく、被害の程度によって保険金が支払われます。 ヒビの数やヒビ同士の距離、亀裂の深さなど様々な点から保険会社が判断します。
支払い限度額は?
●大半損:地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度)
●小半損:地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度)
●一部損:地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度)
▼詳細は以下の記事を参考にしてみてください。
地震保険で保険金はいくらもらえる?
地震による建物や家財の損害に備えるには火災保険だけでなく地震保険の加入も必要です。大きな地震がいつ起こってもおかしくない日本においては必要性の高い地震保険ですが ...続きを見る
地震保険の請求方法は?
請求する流れ
step
1保険会社に連絡
まず、契約する保険会社に地震によって基礎がヒビ割れことを連絡してください。契約者氏名、保険証券番号、事故内容、被害状況などを伝えることとなります。
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2保険会社から必要書類等が送られてくる
保険会社に連絡すると、保険金の請求に必要な書類や案内が送られてきます。内容をしっかりと確認するようにしましょう。
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3保険会社に必要書類の提出
保険会社からの案内に従って必要な書類を用意して保険会社に書類を提出しましょう。保険会社指定の保険金請求書、修理費用の見積書、被害の状況がわかる写真などが必要となります。
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4保険会社による鑑定人の調査
鑑定人が被害状況の確認・調査を行います。調査結果と契約者からの申請書類などをもとに保険金の支払対象か審査を行い、支払われる保険金の金額が確定します。
step
5保険金の入金
保険金の金額が確定したら、契約者指定の口座に保険金が支払われます。
2回目以降も地震保険へ申請できる?
地震は一度起きると数日おきに何度か同じエリアで起こるケースがあります。同じ建物に再度基礎のヒビが発生した場合、1回目の請求のあと修繕を行った場合であれば2回目以降も請求は可能です。1回目のヒビが修理完了しておらずその後の地震でそのヒビが大きくなってしまった場合については、1回目で支払済の保険金を差し引いての損害認定になる可能性が高いでしょう。ただし、72時間以内に起きた2回以上の地震は1回の地震とみなされるので注意が必要です。(第三条の4)
地震保険が適用されないケースは?
ヒビ割れが軽微な場合
ヒビの数にもよりますが、特にヘアークラックの場合は鑑定人による鑑定の結果損害状況が一部損の基準まで至らないケースがあります。このような場合地震保険は適用外となります。
期日以内に請求しなかった場合
保険法による地震保険の請求期限は3年ですが、保険会社によってはそれよりも短い請求期限となっているケースが多々あるので約款を確認しておきましょう。大きな地震直後は多くの保険加入者から鑑定依頼が殺到することも予想されます。災害後はできるだけ早く連絡をし、現場の状況が把握できるよう写真に収めておくとスムーズに進めることができます。
災害発生日から10日経って生じたヒビ
地震・噴火・津波などの自然災害が発生した日の翌日から10日経った後に生じた損害は、それらの災害が原因であるヒビ割れだという根拠がなくなってしまいます。この場合、災害が原因のヒビ割れだという判断がつかず地震保険の適用となりません。ただ、基礎のヒビはふとした時に見つけるケースも多いですよね。地震が起こったら、住宅に損傷がないかしっかり確認するよう意識しておきましょう。
地震・噴火・津波以外の要因の場合
地震保険はあくまでも地震をはじめとした災害が原因である損害を補償するものです。そのため、地盤沈下や施工不良、経年劣化が原因で基礎にヒビが入っていると認定されてしまうと地震保険が適用されません。
火災保険の対象になる可能性もある!
定期的な見直しをしておこう
火災保険や地震保険は長い間補償内容を見直していなかった、仲介におすすめされた保険会社に加入した、などという人も多くいるのではないでしょうか。住宅を守る損害保険は、補償内容や保険料、サービスの改正が都度行われています。また家族構成や生活スタイルによって補償内容のニーズも変わるものです。定期的に保険の補償内容を見直してみるとよいでしょう。
効率よく保険会社を探すには一括見積もりサービスが便利です。一度の情報の入力で複数社から火災保険の見積もりを取ることができます。一社一社個別に見積もりを依頼する手間が省けます。利用は無料なので、ぜひ気軽に利用してみてください。
まとめ
今回は、住宅の基礎のヒビ割れの原因や種類、保険の適用条件などについて解説しました。基礎のヒビは様々な種類がありますが、亀裂の深さによっては安全性に影響が出てしまうため早めに相談をしましょう。万が一の災害で基礎に亀裂が入った場合は、期日を意識してスムーズに申請を行うことが大切です。火災保険、地震保険どちらも住宅を守る重要な保険なので定期的に保険の補償内容を見直すことをおすすめします。