冷房に暖房、除湿などエアコンは年中活躍する機会があります。それゆえ、エアコンが万が一動かなくなってしまったら早く修理してしまいたいものです。しかし、修理をするとなったらやはり費用が気になります。火災保険では、エアコンの修理は補償されるのでしょうか。
目次
火災保険でエアコン修理は補償される?
火災保険では、火災のみならず落雷や風災などの自然災害や偶然の事故が原因で壊れてしまったエアコンの損害をカバーすることができます。
エアコンが壊れた原因が火災であれば火災補償、雪災であれば雪災補償、偶然の事故であれば不測かつ突発的な事故補償でカバーすることができます。以下の例のようにエアコンが壊れた原因が、火災保険の補償範囲に該当すれば、エアコンの修理は補償されることになります。
事故区分 | エアコンの修理が補償される例 |
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①火災、落雷、破裂、爆発 | 火災:隣家からの出火が燃え移り、エアコンが燃えた。 |
②風災、雹災、雪災 | 風災:台風により屋外の室外機が破損した。 |
③水災 | 水災:水災により、1階部分が床上浸水し、エアコンと室外機が破損した。 |
④物体の落下・飛来・衝突 水濡れ 騒擾・集団行動等に伴う暴力行為 | 物体の落下・飛来・衝突:子供が外で遊んでいたところ、バスケットボールが室外機にぶつかり、破損した。 |
⑤盗難による盗取・損傷・汚損 | 盗難による盗取・損傷・汚損:空き巣被害に遭い、貴金属を盗まれた他、室外機を破損された。 |
⑥不測かつ突発的な事故(破損・汚損など) | 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など):外壁、郵便受け、エアコンの室外機などがスプレー缶でいたずらされていた。 |
エアコンの機械的な故障は対象外
機械的・電気的な事故・故障によるエアコンの故障は火災保険では補償されません。
火災保険は、自然災害などの偶然の外来的な事故に直接起因した損害が補償されますが、機械的・電気的な内的要因から起因した事故・故障は補償されません。
上記①~⑥のような自然災害などの偶然の外来的な事故に直接起因した損害が補償されます。
ショート、アーク、スパークなどの電気的な作用、または機械の稼働によって伴って発生した故障は、機械・機器のもつ性質に起因するものであり外来的な要因とはいえず補償の対象にはなりません。
「建物電気的・機械事故特約」があればOK
「建物電気的・機械事故特約」の付帯があれば、電気的・機械的、いわゆる故障による損傷でも、補償を受けることができます。
この特約の補償対象となる電気設備は、エアコンだけでなく、空調設備、電気設備、給排水、昇降設備、など主契約の火災保険の対象である建物に備え付けられた付属機械設備が補償の対象となります。なお、建物に付加されていない室内に置いてある電気設備などは補償の対象にはなりません。
エアコンの故障が対象になる事例
- エアコンの室外機の電気部分が発火したことによりエアコンのファンが焼損した。
- エアコンの空調機の使用中に、空調室外機の基盤の故障により、突然、エアコンの運転が停止した。
- エアコンが急な電圧変動による過電流のため基盤、コンプレッサー、モーター等が破損し故障した。
- エアコンがオーバーヒートして、故障した。
経年劣化は対象外
自然消耗または経年劣化による損害は火災保険において補償の対象外です。上記でお伝えしたとおり、火災保険は偶然の外来的な事故によって生じた損害を補償する保険ですが、自然消耗または経年劣化は偶然性を欠くことからも対象外とされています。
エアコンは家財?建物?
建物とエアコンの所有者が同一であれば、エアコンは"建物”に該当します。 所有者が建物と別となる場合は、"家財”に該当します。
例えば、賃貸契約で入居者が後からエアコンを取り付けた場合は、エアコンの所有者は入居者になりますので、エアコンは家財として扱われることになります。したがって、入居者所有のエアコンが壊れてしまった際には、建物のみの火災保険契約では、エアコンの修理費用は補償されません。
これから火災保険を契約する方も、見直しをする方も、建物・家財でそれぞれどんな物が補償対象となるか代理店や保険会社の営業担当者に確認すると良いでしょう。
エアコンは室外機も含まれます
屋外に取り付けられたエアコンの室外機もエアコンと一緒に補償されます。
室外機はエアコンと一緒に補償されますので、エアコンが建物に該当すれば室外機も建物に該当し、また、エアコンが家財の扱いであれば室外機も家財補償に含まれます。
エアコンの水濡れ損害
エアコンの排水管の詰まりなどが原因で水漏れし、壁や床などの建物、あるいはテレビなどの家財が汚損した場合には、それらの汚損した建物や家財が補償されます。
火災保険の水濡れは、①給排水設備に生じた事故、②もしくは被保険者以外の物が占有する戸室で生じた事故に伴う水濡れによって保険の対象に損害が生じた場合に補償されます。
したがって、エアコンの排水管が給排水設備に該当すれば、エアコンの水濡れが原因で発生した汚損は火災保険の水濡れ補償でカバーすることができます。なお、給排水設備自体の損害は補償されませんので、エアコンの排水管は補償されません。
まとめ
火災保険は火災のとき以外でも、自然災害や偶然のトラブルの際などに使うことができます。しかし、機械的な内的要因による故障は補償されません。特約を付ければ補償されますが、もちろん保険料も高くなってしまいます。
また、エアコンの所有者によって建物か家財の扱いかが異なってきたりもしますので、補償内容だけでなく保険をかける対象もきちんと確認したうえで火災保険を選択する必要があります。
火災保険選びのポイントは、居住環境、補償内容や保険料を比較することです。火災保険一括見積もりサービスを利用すれば、1度に複数の保険会社から見積もりを取ることができます。新規契約も見直しも、より保険料やサービスが充実した会社が見つかるかもしれません。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。