火災保険の基礎知識

火災保険のよくある勘違い

投稿日:2021年1月7日 更新日:

火災保険は、「火災」という名前ですが、火事による被害の備えだけではなく、住宅に起こるさまざまな損害を補償する保険です。自然災害による被害から生活の中での突発的な事故による被害まで幅広くカバーしています。そのような火災保険のよくある勘違いをただし、加入する火災保険の補償は充実しているか確認しましょう。

勘違い1:火災保険は「火災」だけを補償する保険だと思っている

冒頭でも触れていますが、火災保険は「火災」による被害に備えるだけの保険ではありません。保険の対象となる建物や家財に火災やその他自然災害で損害が生じた場合に補償を受けられる保険です。住宅に起こるさまざまな損害を補償します。

火災保険の補償内容

「火災」保険という名前から火災による被害だけを補償する保険と思っている人も時々いますが、火災以外の風災や水災などの自然災害で損害を受けた場合に補償を受けられる保険です。近年、自然災害による住宅への損害が増えてきています。加入する火災保険の補償内容は充実しているか確認しておきましょう。

損害の種類内容
火災、破裂、爆発、落雷失火・延焼・ボヤなどの火災、ガス漏れなどによる破損・爆発の損害、落雷による損害を補償
風災・雹災・雪災台風等の強風による損害、雹(ひょう)や霰(あられ)による損害、豪雪の際の雪の重み、雪の落下などによる事故または雪災により生じた損害を補償
水災台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどにより生じた損害を補償
水濡れ給排水設備の故障や他人の戸室で生じた事故による水濡れ被害(水濡れ)を補償
物体の落下・飛来・衝突車の飛び込みや飛び石など建物外部から物体が落下・飛来・衝突したことにより生じた損害を補償
盗難家財の盗難や盗難に伴う鍵や窓ガラス等の建物の損害を補償
騒擾・集団行動等に伴う暴力行為集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償
破損・汚損など子どもが室内でボールを投げ、窓ガラスが破損してしまった等、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって生じた建物や家財の損害を補償

※補償内容は個別の状況や契約内容により異なります。加入する火災保険の補償内容を確認しましょう。

勘違い2:火災保険の重複契約で補償を手厚くしている

火災保険の同じ建物や家財に2つ以上の保険をかけることを「重複保険」といいます。複数の保険会社で契約し補償を手厚くし多くの保険金をもらえるようにという考えでの重複契約はメリットがなく、保険料の無駄払いとなるので気を付けましょう。

火災保険は複数の保険会社に加入することはできますが、保険会社から支払われる保険金は実際の損害額までです。2つの保険会社と契約していても2倍の保険金が受け取れるわけではありませんので注意しましょう。

また、火災保険に加入する時の告知事項に他の火災保険に入っているか否かという申告があります。保険会社に複数の火災保険に入っていることを伝えていないと告知義務違反として契約解除となる場合や保険金が支払われないといった場合もあります。

更に、共済火災に加入がある場合も同じです。火災共済同士の場合や火災保険と火災共済の組み合わせであっても同様に損害額を超える保険金・共済金は支払われません。

複数の保険会社で火災保険の契約を行っても保険金の支払いは「実損額」までのため保険料の無駄払いとなるケースが多い

重複契約が有効なケース

火災保険に重複して加入することはほとんどの場合、保険料の無駄払いになります。しかし、保険金額の合計が建物や家財の評価額を超えなければ保険料が完全に無駄になっているとは言えない場合があります。現在加入している火災保険の保険金額が建物の評価額に満たないので、不足分を補うために別の火災保険に入ったというような場合には有効です。ただし、この場合でも設定できる保険金額が上限値でも足りないなどの特殊な場合でなければ、契約手続きや保険料支払いなどの手間が倍必要となるので一つにまとめた方がスマートでしょう。

勘違い3:自宅が全損した場合は必ず火災保険で同じ物件を建て直せる

火災保険の契約を行う時には、建物の保険金額をどのくらいに設定するかを決めます。火災保険の保険金額は建物評価額をもとに決めますが、建物の評価額は、「時価」と「新価(再調達価格)」の2つの求め方があります。

現在では、同じ物件を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額で設定する「新価」(再調達価額)で契約することが一般的です。しかし、古い長期契約の火災保険では実際に保険金を受け取る事故が発生した時に、同じ物件を新たに建築あるいは購入するために必要な金額から経過年数による価値の減少と消耗分を差し引いた金額を保険金額とする「時価」で契約している事が多くあります。

「時価」での契約になっている人は、住宅が火災や自然災害などの被害で全損被害を受けてしまっても、同じ物件を新たに建築あるいは購入するための金額を保険金として受け取る事ができません。そのため、特に古い長期の火災保険に契約している人は火災保険の補償内容が十分か見直しを行ってみることが大切です。

【新価】

同じ物件を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額

【時価】

新価から経年劣化による価値の減少と使用による消耗分を差し引いた金額(建物や家財などの現在の価値)。

※火災保険の契約が時価の場合は、自宅が全損被害にあっても同じ住宅を建て直すだけの保険金を受け取ることができず、自己負担分が多く発生してしまう可能性があります。

保険金額の設定も確認する

保険金額の設定が建物評価額と同じ場合、多い場合、少ない場合とあります。同じ場合は「全部保険」、少ない場合は「一部保険」、多い場合は「超過保険」と呼ばれます。

■「全部保険」・・・建物評価額と保険金額が同一となっている
※時価の契約の場合は、時価額となるため十分な補償が受けられません。

■「一部保険」・・・建物評価額よりも保険金額を低く設定している
※損害額の一部しか支払われないため、十分な補償が受けられません。

■「超過保険」・・・建物評価額よりも保険金額を高く設定している
※建物評価額が限度のため、超過分の保険料は無駄になってしまいます。

新価(再調達価格)で契約していても正しく保険金額の設定ができていないと十分な補償が受けられません。保険金額の設定も確認しましょう。

その契約、大丈夫!?火災保険の「時価」契約を見直そう!
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勘違い4:火災保険で地震も補償できる

火災保険は自然災害による被害を含め住宅に起こるさまざまな損害を補償する保険ですが、地震の被害による損害は補償されません。地震による被害とは、「地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流出による建物や家財の損壊」といった地震に起因する損害です。

地震は自然災害による被害であるにもかかわらず火災保険の補償対象外となり、地震による損害の補償を受けるためには火災保険とセットで契約する地震保険で備える必要があります。火災保険で補償ができない理由は、地震は広範囲かつ大規模な損害を受けることがあるので、民間の保険会社だけでは保険金の支払が難しいからです。それゆえ、政府と保険会社が共同で運営を行う地震保険で補償を行うことになっています。

地震による損害に備えるためには火災保険とセットで「地震保険に契約」する必要がある

地震保険の補償内容は?いくら補償される?
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地震保険に「おすすめ」プランなどはない

地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営している公共性の高い保険です。そのため、どこの保険会社で加入しても保険料や補償内容に差はありません。地震保険は単独では契約することができないため、契約する火災保険とセットで加入しましょう。火災保険の加入後に地震保険に加入したくなった場合はあとから追加で加入することが可能なので保険会社や代理店に問い合わせましょう。

まとめ

火災保険は住宅に起こるさまざまな損害を補償する保険で「すまいの保険」というような言われ方もします。住宅の損害やトラブルを幅広く補償する保険のため、補償内容を十分に把握しておく事は難しいかもしれません。近年、自然災害による被害も増えてきており、いつどこで大きな災害が起こるか分かりません。火災保険の補償内容は定期的に見直し確認しておくようにしましょう。

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