火災保険には「電気的・機械的事故担保特約」という特約がある保険会社があります。「電気的・機械的事故担保特約」は、何が補償の対象でどんな時に補償してもらえる特約なのでしょうか。「電気的・機械的事故担保特約」は、火災保険の建物の補償の契約で自動セットになっている保険会社もあります。自動セットになっていない場合は、この特約の補償内容と保険料を考え契約が必要かどうか検討しましょう。
電気的・機械的事故担保特約とは?
「電気的・機械的事故担保特約」は、空調設備や厨房機器設備など建物に付属した機械設備が電気的・機械的事故(ショート・アーク・スパーク・過電流・機械の内的要因による焼付など)により損害が生じた場合に補償となる特約です。火災保険の「建物の補償」に対する特約なので冷蔵庫や洗濯機などの家電は対象とならず、建物に固定されていて簡単に取り外しができない設備が対象です。対象の設備がショートによって焦げてしまった、という場合や電流が通らなくなり壊れてしまった、というような事故の時に電気的・機械的事故担保特約で補償を受ける事ができます。住宅には電気的設備が多く使われています。オール電化住宅の普及でこれまでより更に電気的設備が利用されている住宅が増えてきています。電化設備が備わった住宅は、暮らしを便利で豊かにしてくれる一方で万が一の故障が心配です。住宅内部に設置された機材が多いため、修理に費用が嵩んでしまう可能性があります。そのような万が一の故障や事故による損害に対しての備えとして火災保険の「電気的・機械的事故担保特約」の補償内容についても確認しておきましょう。
建物に固定されている電気的設備の一例
- 空調設備
- 電気設備
- 厨房機器設備
- 給排水・衛生設備
- 消火設備
- 昇降設備
- 駐車機械設備
補償対象となる設備の具体例 | 補償対象外の電化製品 |
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・オーブンレンジ(ビルトイン) ・食洗器(ビルトイン) ・ビルトインコンロ ・給湯器 ・床暖房 ・太陽光発電設備 ・電動シャッター ・インターフォン ・照明設備 ・アンテナ設備 ・トイレ(温水洗浄便座) ・エアコン など | ・オーブンレンジ(据置型) ・食洗器(据置型) ・コンロ(据置型) ・自分で購入し設置した電化製品 ・建物に備え付けられていないもの |
特約の対象となる事故例
- 湯沸かし給湯器が異常着火となり、給湯器が故障して配線が焼けた
- 床暖房の給湯ポンプが故障し稼働音がする
- エアコンの室外機の部品が発火し故障した
電気的・機械的事故担保特約の注意点
「電気的・機械的事故担保特約」は、設備を設置してから10年以内の設備に限定されている保険会社もあります。火災保険は長期契約で最長5年までとなっています。そのため、新築の住宅であれば電気的・機械的事故担保特約への加入を検討する際に、機器が設置されてからの年数を考慮する必要はありませんが、設置から年数がたってからの契約の場合は注意しましょう。また、この特約への申し込みが新規契約時のみのと限られている場合もあります。電気的・機械的事故担保特約が自動セットになっていない場合は後から追加で特約を申し込むことが出来ないこともありますので注意しましょう。
- 設備の設置から10年以内の設備に限られる場合がある
- 火災保険申込時の特約同時申込に限られる場合がある
また、補償対象外となる場合についても確認しておく必要があります。火災保険では自然の消耗や劣化によって生じた損害は補償対象外です。電気的・機械的事故担保特約においても例外ではありません。電気的・機械的設備は、消耗部品や付属部品の交換が必要な機器もあります。そのような機器の部材交換は補償対象外となり、自己管理でメンテナンスをしなければいけません。機械設備に改造や改良を加えている場合も補償対象外となるので注意しましょう。
補償の重複で注意したい点は、住宅に設置された電気的・機械的機器には、各機器にメーカー保証がついている場合があるということです。電気的・機械的機器が故障してもメーカー保証で修理が可能な場合は、電気的・機械的事故担保特約の補償を受ける事が出来ません。メーカー保証があれば補償が十分な場合もあります。更に、落雷を原因とした過電流で電気的・機械的設備が故障した場合も、補償外です。落雷が原因となる故障の場合は、電気的・機械的事故担保特約ではなく、火災保険の「落雷」での補償になります。メーカー保証や火災保険で「落雷補償」に契約している場合など、保険料のことを考えると電気的・機械的事故担保特約が必要ない場合もあります。補償内容をしっかり確認し、理解をした上で契約をすることが大切です。
電気的・機械的事故担保特約の保険金の支払額はいくら?
「電気的・機械的事故担保特約」は、建物の補償に対して契約する特約となります。多くの保険会社で保険金支払額は、主契約である建物の保険金額を限度として保険金が支払われることとなっています。万が一、住宅の電気的・機械設備が故障し日常生活にどのような影響が起こってしまうかという点や万が一のときにはどれだけの修理費用が必要になるかという事も考慮し補償が必要かどうかを検討しましょう。
【損害保険金】
損害保険金 = 損害額(※1) - 自己負担額(※2)
※1 損害額は、事故発生直前の状態に戻すために必要な費用となり再調達価格が基準となります。
※2 自己負担額は免責金額です。免責金額の設定がある場合は注意しましょう。
まとめ
「電気的・機械的事故担保特約」は、建物に固定されていて簡単に取り外しができない設備が対象です。現在、私たちの暮らしは多くの電化製品に囲まれています。住宅にも建築当初から付属されている電気的・機械的設備が多くあり、オール電化住宅の普及に伴って、これまでより更に電気的・機械的設備の多い住宅が増えてきています。私たちの住まいを守るための火災保険にもそのような住宅設備を守るための補償が充実した特約である「電気的・機械的事故担保特約」があります。この特約の補償内容をしっかり理解し、万が一の事故に備えましょう。火災保険契約時の自動セットになっていない場合は、契約が必要かどうかメーカー保証の内容も考慮し検討するとよいでしょう。