一時に比べてペースは落ちているものの自宅屋根にソーラーパネルを取り付ける事例は増えています。屋根に取り付けたソーラーパネルが火災や自然災害などで損害を受けた時、火災保険の補償の対象になるのでしょうか。
基本的には火災保険の補償対象
基本的にソーラーパネルは火災保険の補償対象です。火災保険の補償対象は建物と家財に分けられますが、ソーラーパネルは多くの場合、建物の方の補償対象です。賃貸物件入居者がソーラーパネルを自費で設置する場合など建物所有者とソーラーパネル所有者が異なる場合や屋根一体型ではなく架台型のソーラーパネルの場合などでは家財の方の対象となることもあります。どちらの補償対象になるのかは自分が契約している、あるいは契約予定の保険会社にご確認ください。
後付けの場合、火災保険の見直しは必要?
ソーラーパネルを後付で設置した場合、既に入っている火災保険の見直しは必要なのでしょうか。建物として補償されるのであれば見直しの必要がないと思う方もいるかと思いますが、基本的には火災保険の契約を見直すことをおすすめします。
なぜなら、ソーラーパネルを取り付けるとその分建物の評価額が上昇するからです。ソーラーパネルは多くの方にとって安い金額とは言い難いでしょう。ソーラーパネルも含んだ建物評価額で保険金額を設定しておかないと、建物が全損してしまった場合などに補償額が不十分になる恐れがあります。
メーカー保証では不十分?
一般的に、ソーラーパネルには10年以上のメーカー保証が付いています。しかし、メーカー保証は初期不良や自然な故障については対応してくれますが、火災や自然災害については対象外であることがほとんどです。火災や自然災害にも対応するには自然災害補償をオプションで付ける必要があります。自然災害補償はすべてのメーカーが用意しているわけではなく、また、補償範囲も異なります。そして、10年や15年などと補償される期間が制限されています。
よく内容を確認して、補償範囲が十分であればオプションで自然災害補償に加入してもよいですが、いつの間にか補償期間が終わっていたということがないように気を付ける必要があります。火災保険であれば建物の一部として補償されるので、全く補償がなくなるという事態は避けやすいです。
地震や津波は地震保険に加入する必要あり
地震や噴火、それらによる津波によって受けた損害で補償を受けるには地震保険に加入する必要があります。火災保険のみに加入していた場合やメーカー保証のオプションの自然災害補償では補償を受けられません。南海トラフ地震の被害想定地域など、地震や津波による損害の危険性が十分にある場合は地震保険への加入を検討しましょう。
なお、地震保険の補償額は実損額ではなく、建物(家財)全体の全損・大半損・小半損・一部損の判定に基づいて決まった割合の金額での補償となります。全損でも最大で火災保険の保険金額の50%の補償しか受けられませんが、一部の保険会社では特約で補償額の上乗せが可能です。保険料とのバランスを考えて検討してみてください。
地震保険の基礎知識
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まとめ
屋根に設置したソーラーパネルは基本的には火災保険の補償対象です。多くの場合は建物での補償となります。建物とソーラーパネルの所有者が異なる場合に家財扱いとなる保険会社もありますので詳細については契約する保険会社にご確認ください。
後付けでソーラーパネルを設置した場合は火災保険の見直しを行いましょう。ソーラーパネルの分、建物評価額が上昇するので保険金額を合わせて上げておかないと全損時など十分な補償を受けられません。保険金額の見直しついでにそのほかの補償内容や保険会社自体の見直しも行ってみるのもよいでしょう。無駄な補償を省いたり保険料が安い保険会社への乗り換えで保険料の節約ができるかもしれません。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。