地震保険の基礎知識

地震保険を今やめたら損する?地震保険をやめた場合のデメリットを解説

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地震保険について、有事の際に備えて加入しておくべきだという意見が多いものの、本当に地震が発生するのかも分からないため、支払い損になってしまうかもしれないと加入に悩まれる方もいらっしゃると思います。
この記事では、地震保険に加入するメリット・デメリットを解説しますので、地震保険の新規加入・継続に迷われている方にとって参考になると幸いです。

地震保険とは

地震保険とは、地震・噴火・津波による災害で発生した損害を補償する保険のことを指します。地震保険は単体で加入することができず、火災保険に付帯して契約します。
ちなみに地震・噴火・津波による災害で発生した火災の場合、火災保険では補償されないので注意しなければいけないポイントです。

地震保険の世帯加入率、火災保険への付帯率は?

損害保険料率算出機構統計集2021年度版によるとによると、火災保険への付帯率は約70%、地震保険の世帯加入率は約35%となっています。

地震による損害に対する備えとしては、以下の2つに大別されます。

①民間の保険会社が運営している地震保険
②都道府県などの非営利団体が運営している共済等の地震特約(自然災害共済)

このようなものがありますが、今回ご紹介する世帯加入率・火災保険への付帯率は、いずれも②の共済等を含まない数値となります。

そもそも付帯率と世帯加入率の違いとはどのような意味なのでしょうか。この2つの違いについて以下で解説します。

火災保険への付帯率とは
火災保険への付帯率の定義は、「当該年度に契約された火災保険(住宅物件)契約件数のうち、地震保険を付帯している件数の割合」です。
前述した通り、これらの数値は共済等の地震に関する特約等は除外しているため、地震による損害への備えが十分でない世帯数の割合ということではないことをご承知おきください。
世帯加入率とは
世帯加入率の定義は「当該年末における地震保険保有契約件数を翌年1月1日時点の住民基本台帳に基づく世帯数で除した数値」です。
こちらも共済等の地震に関する特約等は含まれていません。

地震保険をやめた場合のデメリット

地震保険をやめた場合、どのようなデメリットがあるでしょうか?
こちらでは、2つに焦点をあてて解説します。

災害発生時、補償が受けられない

地震・噴火・津波などの自然災害が発生した場合、精神的・肉体的にも大きなダメージを受けてしまいます。そのうえで資産を失ってしまった場合はさらに金銭的ダメージを受けてしまうのですが、地震保険に加入していた場合は災害時に補償が受けられるので、心理的な負担が軽くなります。
しかし、地震保険をやめた場合は当然補償が受けられなくなってしまいます。

地震保険でもらえる保険金の目安は以下の通りとなります。

損害の程度建物の損害額家財の損害額補償額
全損主要構造部の損害額が
建物時価額の50%以上
or
焼失・流失した部分の床面積が
建物の延床面積の70%以上
損害額が時価の
80%以上
保険金額の100%
(時価が限度)
大半損主要構造部の損害額が
建物時価額の40%以上50%未満
or
焼失・流失した部分の床面積が
建物の延床面積の50%以上70%未満
損害額が時価の
60%以上80%未満
保険金額の60%
(時価の60%が限度)
小半損主要構造部の損害額が
建物時価額の20%以上40%未満
or
焼失・流失した部分の床面積が
建物の延床面積の20%以上50%未満
損害額が時価の
30%以上60%未満
保険金額の30%
(時価の30%が限度)
一部損主要構造部の損害額が
建物時価額の3%以上20%未満
or
全損、大半損、小半損に至らない場合、
床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水
損害額が時価の
10%以上30%未満
保険金額の5%
(時価の5%が限度)

地震保険料控除が使えなくなる

地震保険料は、その年に支払った地震保険料の額に応じて、一定の金額を所得税や住民税の計算に用いる課税所得から控除できます。(国税庁_地震保険料控除より)

地震保険をやめた場合、こちらの控除も適用されなくなってしまいます。

区分年間の支払保険料の合計控除額
(1)地震保険料50,000円以下支払金額の全額
50,000円超一律50,000円
(2)旧長期損害保険料10,000円以下支払金額の全額
10,000円超
20,000円以下
支払金額×1/2+5,000円
20,000円超15,000円
(1)・(2)両方がある場合(1)、(2)それぞれの方法で計算した
金額の合計額(最高50,000円)

地震保険のデメリット

地震保険を続けていく場合も考えて、地震保険のデメリットも確認しておきましょう。地震保険のデメリットには、主に以下の2点があります。

  1. 一部損に至らないと保険金が支払われない
  2. 継続的な金銭コストがかかる

ひとつずつ解説します。

一部損に至らないと保険金が支払われない

保険金が支払われる際の損害の程度とは、住居の損害の程度を判定する「被害の程度」にて認定されます。「保険金の目安」の表にて例示したように、一部損の基準以上の認定が受けられないと保険金が支払われません。
一部損は、建物の場合で主要構造部の損害額が建物時価額の3%以上20%未満、家財の場合は損害額が時価の10%以上30%未満となっているため、机上に置いていたお皿が地震で落ちて割れてしまった場合などの被害が小さい場合は補償を受けることができません。

継続的な金銭コストがかかる

地震保険に加入し続けている限り、継続的に保険料がかかります。また、地震保険は火災保険に付帯する保険なので、最低限火災保険にも加入することになります。
しかし、いざというときの安心を保証する保険なので、「安心を買う」という意味ではある程度の代償は必要です。

地震保険をやめた(加入しない)場合のメリット

それでは地震保険をやめた場合、どのようなメリットがあるでしょうか。
それは「地震保険料分の支払いが不要になること」に尽きます。

地震保険料分の支払いが不要になる

地震保険をやめた場合のメリットはただひとつ、地震保険料を支払う分の金銭コストがかからないことがあげられます。地震保険に加入している限りは継続的に保険料を支払うので、請求しない場合は支払い損だと感じる場合も。

しかし、これは地震による被害を受けない、あるいは軽微であることにかけ続けることになります。内閣府_防災情報のページよると、東日本大震災において、全壊被害から住宅を再建するには平均約2,500万円が必要とされていましたが、公的支援+義援金のみでは約400万円しか賄えなかったとのこと。つまり2,100万円が不足することになります。

地震大国である日本に住んでいる限り、大地震に襲われる懸念は払拭できないため、資金と安心を天秤にかけることが必要かもしれません。

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地震保険を安くする方法

地震保険をやめた場合、リスクが高いと感じた方もいらっしゃるでしょう。しかし、ネックになるのが保険料です。
「地震保険は継続したいが、支払い額を抑えたい」という方に向けて地震保険を安くする方法をお伝えします。

  1. 長期契約をする
  2. 割引制度を活用する
  3. 火災保険の見直しを行う

長期契約をする

1年更新ではなく、2年以上の長期契約であれば、保険期間に応じて保険料総額が安くなります。
下表の通り、長期係数というもので算出します。5年契約だと、4.7年分の保険料で済みます(2022年10月1日実施の改定に基づく長期係数)。

保険期間長期係数
2年1.90
3年2.85
4年3.75
5年4.70

割引制度を活用する

住宅の耐震性能による割引制度が4つあります。
該当する場合は活用して割引を受けるとよりローコストで保険を掛けられます。

割引保険料の割引
建築年割引10%
耐震診断割引10%
免震建築物割引50%
耐震等級割引耐震等級割引率
350%
230%
110%

※複数該当する場合、最も割引率が高いもののみが適用されます。

火災保険の見直しを行う

地震保険を契約するうえで、必ず契約しなければならない火災保険。火災保険を見直してみると、家を建てた・購入した際には必要だと思って保険を付帯したものの不要だったと感じるものもあるかもしれません。
地震保険は政府と保険会社が共同で運営する保険で、どこの保険会社でも同じ内容なので火災保険を見直してみるとよいでしょう。
火災保険の見直しをするならインズウェブの一括見積もりサービスをおすすめします。手軽に必要な保険を相見積もりできて便利なので、ぜひご活用ください。

まとめ

今回の記事では、地震保険をやめた場合のデメリットを解説しました。
地震保険をやめれば保険料の節約ができますが、災害発生時に補償が受けられなくなってしまう点は大きなリスクになってしまいます。継続的に掛かってくる保険料を抑えるためには長期契約や割引制度を活用することや、主契約である火災保険を見直すことが重要であることを紹介しました。
保険を使わなくて済めばなによりですが、不測の事態が発生した時に備えられると安心です。


重松 雄太

著者情報

重松 雄太
フリーランスのライター。
統計データと実体験をもとに、難しい内容をわかりやすく解説します。
好きなものはボクシング・バイク・ケーキ。

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インズウェブ

「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険のみならず火災保険に関する様々なお役立ち情報も提供しています。

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